レーヴァティン
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第百八十九話 流れは次第にその十
「あの王様のミスだな、まあそれでも装備が悪くて訓練を受けていないとな」
「弱いですね」
「例え士気が高くとも」
「そうした兵は」
「どうしても」
「ああ、もうそこはな」
このことはというのだ。
「どうしようもないからな」
「装備と訓練のことは」
「そして経験のこともですね」
「やはり士気が高くても素人は素人です」
「弱いですね」
「そんな兵隊数があってもな」
それでもというのだ。
「正直それだけだからな」
「まさに烏合の衆です」
「役に立ちません」
「実際に我々は何なく破っています」
「そのことを思いますと」
「やっぱりしっかりとした兵隊に限るぜ」
軍のそれはというのだ。
「まともな装備をさせて訓練もしてな」
「軍規軍律も教える」
「そうしてですね」
「しっかりとした兵にする」
「そうしますね」
「ああ、それでな」
そのうえでというのだ。
「戦わないとな」
「左様ですね」
「ではですね」
「この国の民達にしても」
「兵にするのなら」
「無理に徴兵はしないさ」
それは避けるというのだ。
「それでいくぜ、じゃあこのまままずはな」
「敵を破っていきますね」
「その民達が相手でも」
「今はそうしていきますね」
「左様ですね」
「そうしていくぜ」
こう言ってだった。
久志は軍勢を率いて敵軍彼等から見れば雑軍に過ぎない彼等を次々と破っていき領土を拡大させていった。
そうして遂に北の大国の領土をペテルブルグとその辺りまでにした。そしてペテルブルグを大軍で囲んでだった。
久志は自分達の前にいる百万はいようかという軍勢を見た、その兵達はというと。
女も多くいた、しかも皆服はそのままで粗末な武器それこそトンカチや包丁を持ったままの者も多い。
中にはまだ立ったばかりの子供や肩を担がれている年寄りもいる、久志はその兵達を見て眉を顰めさせた。
「おい、もうな」
「街にいる民を誰でもでござるな」
進太も彼等を見て顔を顰めさせている、そのうえでの言葉だ。
「引っ張って来たでござるな」
「無理矢理にな」
「もう主婦でも子供でも」
「まともに動けない爺さん婆さんでもな」
「それこそでござる」
「民を根こそぎ兵にしてな」
「戦うでござるか」
進太は苦い顔のまま言った。
「もうこれはでござる」
「戦じゃないな」
「はい」
まさにというのだ。
「ここに至れば」
「だよな、何考えてるんだ」
敵の王はというのだ。
「もうなりふり構ってねえのか」
「これがこの国ということでござるか」
「そうなるか?しかしな」
「もうこれはでござるな」
「こんなの兵隊じゃないだろ」
その兵達を見ての言葉だ。
「どう見ても町民だからな」
「鎌や包丁を持っているだけの」
「こんなので戦いになるかよ」
到底というのだ。
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