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レーヴァティン

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第百八十九話 流れは次第にその九

「正直勝ってもな」
「後味が悪いですね」
「無理に戦わさせられている者達が相手では」
「それではですね」
「例え戦って勝ったとしても」
「正直相手がベルセルクならな」
 この者達ならというのだ。
「戦って勝ってもな」
「気分がいいですね」
「相手は戦う気に満ちています」
「まさに狂ったが如く」
「そうした者達なので」
「だからいいけれどな、それがな」
 どうにもというのだ。
「こんな民を無理に戦わせている相手なんてな」
「我等も同じ気持ちです」
「戦っても武人として気分がよくありません」
「やはり戦うなら戦う気のある相手です」
「そうした相手と戦ってこそ気持ちがいいです」
「やはり」
「そうだよな、武士道とか騎士道とかってあるな」
 久志は今このことを実感していた。
「戦うならな」
「やはり心意気があり」
「士気の高い相手と戦いたいです」
「そして士気の高い相手とです」
「やはり戦いたいです」
「全くだよな、さっさとこの戦いはな」
 北の大国とのそれはというのだ。
「終わらせたいな」
「左様ですね」
「早く終わらせて民達には村や街で働いてもらいましょう」
「畑や店で」
「そうしてもらいましょう」
「そうしような、それで兵はな」
 その者達はというと。
「志願して来る連中を入れてな」
「訓練を施して」
「確か装備をも持たせて」
「そうして戦ってもらうべきです」
「確かな兵で」
「正直徴兵は確かな数を揃えられるさ」
 その利点があるというのだ。
「事実な、けれどな」
「それでも基本士気は低いですね」
「無理にやらされていると」
「どうしてもそうなりますね」
「自分達の村とか家族を守るって気持ちがあれば高いけれどな」
 士気がというのだ。
「そうだけれどな」
「それでもですね」
「それがないと」
「この国の様にそうした気持ちを備えさせるのではなく」
「王の為となると」
「それもな」
 久志はさらに言った。
「自分達に重税を課していて賦役も多くてな」
「圧政を敷いている」
「そうした王ならですね」
「しかも自分の家族や村や街を守れとはいわない」
「国を守れ」
「そう言っていますね」
「国を守るって自分達を守るってことでな」 
 そうなるからだというのだ。
「それはそれでいいけれどな」
「やはり家族や自分達の村や街ですね」
「そうしたものの方が守るという実感がありますね」
「だからですね」
「そうしたものを言う方がいいですね」
「むしろ」
「ああ、それを言わないことはな」
 このことはというのだ。 
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