レーヴァティン
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第百八十一話 東から西へその五
「絶対にな」
「そう喧伝しますね」
「実際にそうするしな」
「政として」
「そんな恐怖政治とかな」
「好ましくないですね」
「それってな」
久志は眉を顰めさせて言った。
「果てはな」
「かえって国が弱まりますね」
「ああ、国に余裕が一切なくなってな」
「実際に息苦しくです」
夕子も述べた。
「そしてです」
「閉鎖的でな」
「治安はよく国力も上がっていますが」
「誰もそんな国好んで近寄らないしな」
「領主に意見する人もおらず」
「間違っていても誰も諫めないか」
「若しそうすれば」
領主を諫めればというのだ。
「その時は」
「自分が殺されるな」
「実際に何人もの家臣がです」
「処刑されているんだな」
「それも家族ごと」
「それじゃあ周りはイエスマンしかいなくなるな」
久志もこのことが即座にわかった。
「絶対に」
「そうならない筈がないですね」
「惨たらしく、家族まで殺されるとかな」
「何でも奥さんを八つ裂きにしてその肉を食べさせてから殺すとか」
「ほお、完全に殺し方と苦しめ方楽しんでるな」
久志はこのことも察した。
「いってる奴独特のな」
「やり方ですね」
「諫めて気に入らないなら聞かなかったいいんだよ」
久志は言い捨てた。
「せめてな」
「的を得ていると思ったら受け入れてね」
双葉も言ってきた。
「そして違うと思ったらね」
「その見極めこそ大事だけれどな」
「いい意見は聞いて悪い意見は聞かない」
「それで自分で言ったからってだけで殺すなんてな」
「しかもそんな残虐な方法でね」
「もうそれはな」
それこそというのだ。
「人じゃねえな」
「人でない何かになっているわね」
「例え戦に強くて国がまとまって今は強くなっていてもな」
それでもとだ、久志は言った。そうした極端に残虐なことを好む様な輩は例え今は結果を出していてもというのだ。
「化けものになってるな、化けものはな」
「生かしておけないわね」
「幾ら能力があってもな」
それでもというのだ。
「用いないしな」
「もうしたことの罪を思うと」
「戦に勝って捕まえたなら」
その時はというのだ。
「もうな」
「処刑するわね」
「ああ、モンスターは使えるさ」
使役することが可能だというのだ。
「巨人以外はな」
「そうね、けれどね」
「ああ、モンスターと化けものもまたな」
「違うわね」
「人は心で人になるんだよ」
久志はその目を怒らせて述べた。
「あくまでな、例え姿形が人でもな」
「心が化けものだとね」
「そいつは化けものなんだよ」
「そうなるわね」
「逆もだよ」
「姿形が違っていても」
「心が人ならな」
それならというのだ。
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