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レーヴァティン

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第百七十九話 渡河その十

「上下水道もあるしな」
「それも大きいわね」
「ああ、間違っても街の端に捨てるとかな」
「そうしたことないから」
「衛生的にもしっかりしてるな」
「そのこと大きいわね」
「起きた世界のかつての欧州だとな」
 久志はこちらの世界のことも話した。
「道の端に捨てていたからな」
「そうそう、うんことかおしっことかね」
「あとゴミもな」
「もう街全体が臭くてね」
「汚くてな」
「そこからペストが流行したから」
 不潔な環境で鼠が増えて鼠に寄生しているダニにあるペスト菌があってだ。
「大変なことになったからね」
「上下水道があるといいな」
「この場合は下水道だけれどね」
「それがあると全く違うな」
「私達も政で真剣にやってるしね」
「その辺りのこともな」
「だから衛生的にしっかりしていてな」
「疫病も流行らないのよ」
 そうしたことになっているというのだ。
「ペストにしても」
「このことは大きいよな」
「本当にね」
「ペストは怖いわよ」
 双葉も眉を顰めさせて言ってきた。
「敵の軍勢やモンスターよりもね」
「巨人並にな」
「もうその域ね」
「ペストがこの世界を脅かす脅威でもおかしくないな」
「それでもね」
 双葉も否定しなかった。
「実際ね」
「本当にな、だからな」
「政で衛生をしっかりすることも」
「大事だよな」
「本当にね。こうした些細なこともね」
 街の衛生管理もというのだ。
「結果としてね」
「世界を救うことになったりするな」
「少なくとも多くの人を救うわ」
「そうなんだよな、だから馬糞もか」
「出たらすぐに回収されて」
 そうしてというのだ。
「再利用されているわ」
「そういうことだな」
「それで実際はね」
「まあそこまで馬糞臭くはないな」
「この街もね」
「ああ、ただな」
 ここでだ、久志は今自分達がいる建物の窓から外を見た。そうして言った。
「馬が多いのは事実でな」
「馬の匂いは凄いですね」
 順一が笑って言ってきた。
「実に」
「そうだよな」
「これだけ馬が多いと」
「全体で何十万頭もいるな」
「五十万はいます」
「実際に多いな」
「騎兵に回すだけでなく」
 その馬達をというのだ。
「荷駄隊にもです」
「回せるな」
「馬は多ければ多いだけいいです」
「色々使えるからな」
 騎兵隊に荷駄隊にというのだ。
「だからな」
「多ければ」
「多いだけいいな」
「そうなりますね」
「あとな」
 久志はさらに言った。 
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