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レーヴァティン

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第百七十九話 渡河その九

「一人二頭も三頭も馬を持っていてでござる」
「乗っている馬が疲れるとか」
「別の馬に跳び乗って」
「馬に乗っていてか」
「そしてでござる」
 そのうえでというのだ。
「別の馬に乗り換えていたでござる」
「跳び移ってたんだな」
「文字通りに」
「それも凄いな」
「モンゴル人だからこそ出来るでござるな」
「ああ、けれど馬もな」
「多いとでござる」
 それだけというのだ。
「有り難いでござる」
「じゃあここはか」
「騎兵隊の戦力増強の為にも」
 その視点からもというのだ。
「そうして欲しいでござる」
「うちにはそれだけの馬持つ国力もあるしな」
「ですから」
 それならばとだ、進太は久志に述べた。
「騎兵隊としてもです」
「ええ案か」
「まことに」
「そういうことか」
「馬を買い占める勢いで買ってこそです」
 浮島東方の馬達をというのだ。
「よいかと」
「ほなな」
「そうしてくれますか」
「ああ、ほな金使っていこうか」 
 久志はこう言ってだった。
 実際に多くの馬達を買わせた、するとガラツには忽ちのうちに数えきれないだけの馬が集まってきた。その馬達を見て。
 英雄は会心の声で仲間達に言った。
「こっちは馬が揃ってな」
「東方の諸侯は馬は持っていてもね」
 剛が応えた。
「余分にはね」
「もっていないか」
「そしてこっちはね」
「持っているな」
「このことは大きいよ」
「そうだな、いい感じだよ」 
 久志は笑って話した。
「本当にな、ただな」
「ああ、馬が多いとね」
「いななきが五月蠅くてな」
「うんこも多いからね」
「この世界に来てわかったぜ」
 久志は剛に少し苦笑いになって述べた。
「馬ってのはよく食ってな」
「うんこも多いね」
「ああ、鯨飲馬食って言うけれどな」
「実際によく食べるし」
「うんもな」
 こちらもというのだ。
「凄いな」
「そうだよね」
「そのことがわかったぜ」
「街が馬糞臭くなったわね」
 留奈も笑って言ってきた。
「そんな気もするわね」
「そう言うと笑い話だな」
「実際はその馬糞はすぐに処理されてるわ」
「出たらか」
「ええ、馬糞も資源だから」
 それになるからだというのだ。
「肥料に使えるし」
「この浮島の農法だとそうだな」
「それに燃料にもね」
「なるしな」
「意外とそうしたものは資源になるわよ」
 排泄物はというのだ。
「馬糞にしてもね」
「肥料に燃料にか」
「そうよ、暖房の燃料にもなるから」
「あとものを燃やす時にもな」
「乾燥させた馬糞はいい燃料になるのよ」
「そうだよな、まあこの浮島はそうするからいいな」
 排泄物を肥料や燃料にすることはとだ、久志はいいとした。そうしてそのうえでこうも言うのだった。 
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