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DQ3 そして現実へ…~もう一人の転生者(別視点)

作者:あちゃ
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再会と再開

ナンパ野郎2人の元から立ち去る私は、急いでお母様の元へと戻る…
するとお母様が3人の神官に怒られてました。
「此処は神聖なるダーマ神殿ですぞ!」とか「騒動を起こさないで頂きたい!」とか…
まぁ当たり前でしょうね。
あんな所で、あんな威力の魔法を使えば…

しかし忘れては行けない事がある!
ヒステリックに怒る女性に対し、正論全開で説教をするのは、火に油を…いや、ニトログリセリンを注ぐ様な物なのだ!
「何が『神聖なるダーマ神殿』よ!そこで女をしつこくナンパする男こそが問題じゃない!私は被害者なのよ!あのバカ2人が、娘の目の前で口説いてくるから、仕方が無く追い払ったんじゃない!」
「し、しかし…あれ程の騒動を…」

「何より、アンタ達神殿側に問題があるんでしょ!!神聖な神殿の神聖さを維持する努力を怠ったから、私が仕方なく自分で解決したんでしょ!もっと早くに、アンタ達があのナンパ野郎を注意していれば、私がメラミを唱えなくても済んだんじゃない!」
怒り心頭のお母様の両手から、魔法力が漏れだして、薄っら炎に包まれる。
それを見た神官達は青ざめ、口々に自らの怠慢を反省し謝罪する。
そして大慌てで、遠巻きに見ているお偉い神官さん達の元へ逃げて行く。
お母様は彼等を目で追い、目が合ったお偉いさん達を睨み付ける。
睨まれたお偉いさん達は、威厳や対面をかなぐり捨て、逃げる様に奥へと引っ込んで行く!
あはははは、さいこ~!


さてさて、この世界へやって来て早1週間!
ナンパ野郎の一件以来、ダーマの人々の対応が優しく(脅えた風)になりました。
うん。居心地が良いですね。

しかしながら、お父様の情報が微塵も入ってこない為、お母様のイライラも天井知らずで、取っ付きにくいのが困りものです。
お兄様は、お父様を捜すフリして逃げようとするので、涙ながらに訴えました。
「お、お兄様ぁ…私をお母様と二人きりにしないで下さい…今、お母様が怖いんですぅ…」
私には避雷針が必要なのよ!
「分かったよマリー…僕も此処に残るから泣かないで」
そう言って私の避雷針(おにいさま)は、私の事をギュっと抱き締め頬擦りをする。
一瞬シスコン野郎に犯されるかと、身構えてしまいましたが、付近に他の人々の目があった為、私の処女は守られました。


ダーマでの生活も10日を迎え、誰に対しても笑顔を作れなくなってしまったお母様を宿屋へ残し、私とお兄様で情報を収集してます。
勿論、物陰に連れて行かれたら大声を出す用意はありますよ♥…まぁ、コイツはヘタレだから多分大丈夫だけどね。
そんな事を思いながら、見慣れてしまったダーマ神殿を見回っていると、2階の宿屋からお母様の叫び声が聞こえるではありませんか!
私とお兄様は慌てて宿屋のお母様の元へへ向かいます。
大勢の不細工な男共に、押し倒され犯され汚されたお母様を想像し、じんわり濡れてしまった私…

しかし勿論の事ながら、私の妄想は的はずれで、お母様は男の方に抱き付き熱烈なキスをしておりました。
「母さん、どうかしまし………うわっ!!」
お母様を心配し、慌てて声を掛けたお兄様が引くその光景…
「…ぷはっ…ティ、ティミー…それにマリーまで…どうして此処にいるの!?…っん!」
何と其処には、私のイケメンお父様が、お母様に無理矢理唇を奪われてるではありませんか!
「まぁ素敵!お父様とお母様がラブラブですわ!」
「ちょっと母さん!こんな公衆の面前で…それに父さんに状況を説明しなきゃならないんですから…」
放っておけば良いのに、体面を気にするお兄様は、お父様とお母様を引き離し取り繕う。
この二人がパコパコ始めたって、会話は出来るのだから、さっさと説明だけしちゃえば良いのに…


「え?なに!?ビアンカ…どういう事?…ちょ…ティミー…説明してよ!…あれ?マリー…?何で君まで居ちゃうの?」
お父様が混乱してます。
こんな姿はなかなかお目にかかれませんよ。

「…父さん…落ち着いて聞いて下さい…父さんは本に吸い込まれ、物語の中に居るのです!」
「あ゛!?何言ってんの?大丈夫、お前…?」
あはははは、私も最初聞いた時はそう思った!
「父さん…憶えてないんですか?本に吸い込まれた事を…」
「それは憶えてるよ!落書きしたら本のヤツが怒って、僕をこの世界に放り出したんだ!」
「そうです…そして父さんが行ってきたこれまでの冒険は、物語としてあの本の白紙のページを埋めているのです!」
お兄様が深刻ぶって説明をする…似合うわ!

「へー…じゃぁ、この物語の結末は?」
「…いえ、まだ物語は途中で…」
あ~…このチャラい口調を聞いてると、ホッとするわねぇ…
お母様なんか人目も憚らずお父様にベッタリです。
「相変わらず頭が固いなお前は!だから何時まで経っても右手が恋人なんだよ!」
なるほど…じゃぁ、あの右手には『リュリュ』って名前を付けてるわね。

「(イラッ)父さんこそ相変わらずですね!」
「いいかいティミー…此処は物語の世界ではない!僕等の住んでいた世界とは別ではあるが、此処も現実世界なんだよ。あの本に書き綴られているのは、いわば伝記の様なモノだ…しかも現在進行形で綴られる…」
「た、確かにそうですが…表現の違いでしょう!状況は変わりませんよ!」
「違うね!物語だったら、基本ハッピーエンドになるだろうが、現在進行形の伝記は何が起こるか分からないんだ!この先、死ぬ事だってあるかもしれない…スタンスが変わるんだよ!」

「くっ…で、では…尚のことこの世界から抜け出さないと!」
「うん。そうだね…で、君達はどうして此処に来ちゃったの?」
やっと飛ばされた経緯を話せるのか…
お兄様が此処までの流れを、懇切丁寧に語り出した。



「………と、言うわけで僕が吸い込まれ、助けようと手を差し伸べてくれた二人と共に、この世界へと放り出されました…」
「な!!こ、この馬鹿野郎!!」
(ドカッ!!)
流石にビックリ!
お父様が怒る所なんて初めてだ!
しかも息子に手を上げるなんて!!

「お前、助かりたい一心でビアンカを巻き込んだのか!?よりによってビアンカを!!」
「リュカ!許してあげて…ティミーは悪くないの!私が手を掴んだからいけないの…」
「お父様ー!お兄様を叱らないで下さい!不幸な事故なんですぅ!」
お父様に殴られて、口から血を流すお兄様を見ては流石に庇わざる負えない!
「お前にとってビアンカは只の母親なんだろうが、俺にとっては命より大切な存在なんだ!…それなのにこんな危険な世界に連れてきやがって!手を捕まれたとしても、振り払うぐらいしろよ!」
お父様の一人称が『僕』から『俺』に変わってる…
それ程お母様を愛してるって事なのね…

「…も、申し訳ありません…父さん…」
お父様の怒りを目の当たりにして、皆さん声も出せないで居る様子…
仕方ありません…お兄様を利用してしまった手前、助けないわけにもいかないでしょう…
「酷いですわ、お父様!!お母様の事は心配するのに、私がこの世界へ来てしまった事では怒らないんですのね!」

「あ、いや…違うって…マリーの事でも怒ってるよぉ…」
お父様は娘に甘々な人なのです。
「でも私の名前は出ませんでしたわ!」
「いや…それは咄嗟だったから…」
「お兄様も咄嗟の事でお母様と私の手を掴んでしまったんですわ…お父様と同じです!もう許してあげて下さい」

うふふ…どうですか、ブリッ子プンプン攻撃は!
言ってて苛つきますけど、我慢して下さい。
観念したお父様…お兄様に『ホイミ』を唱え苦笑い。。
「あ、ありがとうございます…でも、これくらいでしたら自分で治せますから…」
「僕が付けた傷だ…僕が治さないとね………娘に嫌われたくないし…」
貴方達は私の手の平の上で踊ってるのですよ!


「さて…ビアンカがこっちの世界に来ちゃったという事は…アルル、悪いんだけど…僕はこれ以上旅を続ける理由が無くなっちゃた…」
「はぁ~!?い、いったい何を言ってるんですか?旅をしながら元の世界へ戻る手立てを探すんでしょう!?」
何でよ!
これからやっと本格的にドラクエ世界を堪能出来るのに!

「うん。僕が元の世界へ帰りたかった理由はビアンカなんだよね。大好きなビアンカが、向こうの世界に居るから帰りたかったんだけど…こっちに来ちゃったからねぇ…帰る理由が無くなっちゃった!もう王様なんかやりたくないしぃ…ビアンカとこっちの世界で、イチャイチャ平和に暮らすのもありじゃね?」
ありじゃねぇーよ!
「ありじゃありません!仕事はどうするんですか!?現在、国は大変な事になってるんですよ!」

「じゃティミーがアルル達に付いて行って、元の世界に帰ればいいじゃんか!ついでに王位を継いでよ!そうすれば僕が帰らなければならない理由も無くなるし!うん。そうしよう!…頑張って、ティミー国王陛下♥」
「いい加減にして下さい、リュカ国王陛下!グランバニアの国民は、貴方の情けない息子の事より、貴方自身を望んでいるんですよ…たった数年で国力を倍にした貴方を…」
あれ?
お兄様…自覚あったんだ!?

「ちょ…ちょっと待ってよ!え!?何?国王…陛下?リュカさんが…?嘘…マジ…!?」
分かるわ~…信じられないもんね、この男が…なんて!
しかしこの子可愛いわね…お持ち帰りしたいわぁ…
「前に言ったじゃん…王様してた事…忘れちゃった?」

「た、確かに…言ってた…け、けどさ!」
「ウルフ君!悪いんだけど、後にしてくれないかな…確かに父さんは、いい加減で、チャランポランで、不真面目で、女誑しで、トラブルメーカーだけど…これでも立派な国王なんだ!嘘みたいだけど、国民の支持が極めて高いんだ!だから説得の邪魔をしないでくれ」
「ご、ごめんなさい…」
「いや、謝る事はないよ。…それに君達にも死活問題なのでは?…確かに父さんはトラブルを引き寄せるし、戦わず歌を歌い傍迷惑だけど、危険な旅路では生存率を上げる効果もあると思うんだ!」

「わぁ…息子の言葉から、父への尊敬の欠片も見つけられない…」
あるわけ無いじゃない!自覚しなさいよ!
「何を今更…大分前からでしょ」
「えぇぇぇ!マジッスかビアンカさん!気付かなかったなぁ…」
うん、バカだ…でも私好きだわぁ~…

「リュカさん!元の世界に帰らないのは構いませんけど、この世界を平和にする旅には来て下さい!まだ私はリュカさんから学びきってません!」
「え~…危険な事は嫌いなんですけど~」
「何だよ!リュカさんどうせ戦闘しないんだからいいじゃんか!」
え!?じゃぁ何の為に、この人を連れて行くの?
「どうせ戦闘しないんだから、行かなくてもいいじゃんか!」
「「「くっ!」」」

皆さんがお父様の事で難儀しております…
するとお母様が、私に目で訴えてきました。
…下手に逆らうと、後々怖いので従いますぅ。
「お父様…お父様とお母様が帰らないのならば、私もこの世界に残ります!…でもアレですよね…この世界ってどこもかしこも治安が不安定で、私みたいな幼い少女は攫われちゃうかもしれませんよね…攫われちゃったら、あーんな事や、こーんな事をされちゃうかも…平和な世界かぁ…まぁ私はお父様とお母様が居れば幸せですけどね!」
「マリーを出しに使うなんて…ズルイよ!」
私も、こんな事を言うのは本意じゃ無いんですけど…

「ふふふ…ごめんなさいリュカ。でも、勇者様が2人も居る旅なのだから、そんなに危険じゃ無いわよ…それにアルルちゃん達も強くなってきてるじゃない」
「………僕等の勇者様の装備が情けないんだけど…コイツ、グランバニアの剣しか装備してないよ!」
「仕方ないじゃないですか!僕はグランバニアの兵士なんだから!それにこの剣はザイル君が作ってくれた特注品ですよ!」
へー…特注品なんだ…何がどう特注なのかしら?
「そうよリュカ!ティミーはもう一人前なんだから…装備は関係ないわ!…それに私は帰りたいわ…お父さんが向こうの世界に居るのだから…」
「分かったよ!ビアンカにお願いされたら、断るわけにはいかないじゃんか!」
何よ!最初からお母様が説得すれば、万事解決だったのに…

そして、やっと互いの自己紹介が始まる…
あのウルフちゃん…
狙いを定めておかねば…
あぁ…楽しいドラクエライフになりそうですわ~!



 
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