働け!船坂・・・。
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一話「俺は無職じゃない。」
前書き
開幕。
船坂。船坂幸次郎。それが俺の生まれた時からの名前であり、これからも改名する予定はない。
まぁ、にしてもだ。俺の両親ってモンはとんだ名前を付けてくださったもので。「幸次郎」なんざ今時流行らないというか、イカしてねぇっつーかよぉ。なんかグっとこねぇ・・・。
めんどくさいのでぶっちゃけてしまうと、「名前負け」してしまうのだ。
名前の中に「優しい」とか「勇ましい」とか、こういうのもなんだけど、アンタその名前通りに育たなかったらどーすんのーって話なわけでさ。だってさ?名前に「優しい」って入れて「優しい」人間に育つかい?「勇ましい」って入れて「勇ましい」男になるかい?ならんとも限られた話じゃあねーけど、5分5分。シュレディンガー法則だよ。何かとても失礼な話をしてるような気がしてならないけど、これだけは言わせてもらう。
「名前を付ける時にはもっと考えて付けやがれバーロー!!」
と、こういうことだよ。
さぁ、このお話になぞらえて俺の名前に話を移してみようか?さてさてさて!僕の名前はなんだったでしょーかッ?・・・うんうんうん、そうそうそう。そだねー、そう!僕の名前は「船坂 幸次郎」!
さぁこれのどこがいけないのか!?みんなで考えてみよー!よーし!シンキングTIME 30分だぁー!
ゴツンッ!!
俺の頭にゲンコツが落ちる。
「いって!バキャロゥ!いてぇじゃあねーか!クソ女!」
俺を殴った女はショートカットの髪を揺らしながら顔の中心にしわを寄せ憤る。
「うるせぇーよ!どんだけ遅刻理由語ってんのよ!もっと簡単に説明できないのかこのアンポンタンが!」
脳髄にまで届いたと思われしゲンコツの痛みを指でさすり抑え込みながら俺はしぶい表情で話す。
「バーカ!話はちゃんと聞くもんだぜ!学校で教わんかったのか!このシットガールが!」
「シットガールって何!?クソ女と言いたいの!?ってゆーか!アンタが早く本題に移らないのが悪いのよ!」
殴られるのもこれで通算358回目なのでもう慣れっ子。痛みはすぐに引いた。
「うるせぇーなー、今入るとこだっただろーが・・・耳にウンコつまってんじゃねーの?」
「つまってないわよ!」
さておき、本題に移る。
「とにかくだ。俺が言いたいのは、俺自信がもう「名前負け」してるってことさ。」
「はぁ?何言ってんのアンタ。頭にウンコつまってんじゃないの?」
「つまってねーよ。」
構わず続ける俺。
「俺幸次郎は幸せじゃない。何故かっつーとだなぁ・・・朝起きたら目覚まし時計が爆発し、朝飯を喰おうとしたらレンジが爆発し、あわてて家を出たら携帯が爆発して、道路に出たら車が爆発して、コンビニに入ったらレジが爆発して、今このアルバイト先の本屋に入ったら店先のリア充が爆発した。」
「どんだけ爆発してんのよ・・・キラークイーンでもついてるんじゃないの。」
いままでの経緯を説明して苦い表情をする本屋。
「まぁ、リア充が爆発したのが不幸中の幸いかな。」
「幸いじゃないわよ!客が爆発していいわきゃないでしょ!」
「どうせずっと立ち読みしてたんだろ?邪魔だし爆発してくれた方がハッピーじゃない。」
本屋はため息を付き、視線を落とした。
「はぁ~・・・もうなんかアルバイトとしてさえ雇いたくなくなってきたんだけど・・・まぁ、アンタのおかげで最近売上上がってるってとこもあるし・・・。てゆーかさ、なんでアンタ定職に着かないの?今年でいくつよ。」
「あ?なんだよ、いきなり。お母さんみたいな事いいおってからに・・・25だよ。」
俺もめんどくさそぅに返事をしている。
「はぁ!?25!?いいオッサンじゃないのアンタも~やだわ~。」
「完全にBBAだなお前。23じゃなかったお前。」
本名は忘れたが、何故か昔から年齢だけは忘れられない俺であった。
「いいのよ。23なんてまだピッチピチよ。ピーチ姫よ。」
「ピチピチってどこ基準でだぁよ。風俗か。」
あそこらへんの世界ならまだ20代後半でも若いはず。
「うるせぇなぁこのバカは・・・。」
しかもこいつ元ヤンですよ。元ヤン。
「あ、そうだこんな話してる場合じゃあないわ。仕事して頂戴。」
「それって楽?楽ならやるけど。」
「黙れ。ぶっ殺すぞ。やれ。」
なんでか俺はいつも力仕事ばかりなんだよね。いやだわー帰りたいなうだわー。
「これ二階まで運んで。全部。」
「全部!?うそだろ、うそだと言ってくれよジェニファー。」
「誰よ。いいから早く!40秒で!」
その腹立たしいことこの上ない言葉でシブシブと動きだす俺。
「重い!こんなのチェホンマンより重い者を持ったことのない俺には無理!ギヴアップなう!」
「チェホンマンの10分の1もないわよ!早く運びなさい!給料払わないよ!」
ッけ。これが本屋のやる仕事かよ。
そう思いつつ階段を上っていく俺だった。
後書き
まぁ、リア充は爆発して欲しい。
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