レーヴァティン
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第百七十一話 見破った伏兵その七
「まさに」
「そしてそこからだ」
英雄は目を鋭くさせて己の話を続けた。
「陸軍大将であられる李王殿下のお耳に入っていた」
「そうなると」
「そしてそこから陛下もお知りになられ」
「恐ろしい話になっていたであります」
「そうも考えるとだ」
「余計にないであります」
「なかったとしかだ」
その女流学者が言う様なことがだ。
「思えない」
「どうしても」
「それをあくまでわからないとな」
「学者としては」
「おかしいとしか思えない」
「流石にこの浮島にはそんな人いないね」
奈央もこう言った。
「あんなおかしな人は」
「戦後の日本だけか」
「というか戦後の日本でないと」
「それこそだな」
「ああした人は学者さんにはなれないわよ」
「それだけ戦後の日本がおかしいか」
「そうした面ではね」
「そうだな、この浮島でも流石にな」
「あそこまでおかしいとね」
それこそとだ、奈央はさらに言った。
「学者さんにはなれないわよ」
「務まるものではないな」
「とてもね」
それこそというのだ。
「そうした面ではこの浮島はまともなのかもね」
「色々あってもだな」
「ああした人では学者さんになれないだけでも」
「違うな」
「本当にそう思うわ」
「学者はおかしなことを言えばなれるか」
「違うわね」
「そんな筈がない」
英雄は断言した。
「普通はな」
「本当にそうね、まともな知性と知識がないと」
「務まらない」
「そうね、この世界では学者さんは軍師にもなるけれど」
「あんな学者は軍師にはな」
「とてもなれないわね」
「政に携わってももらうが」
それでもというのだ。
「とてもな」
「政の方もね」
「お花畑ではな」
とてもというのだ。
「なれない」
「そういうことね」
「理想と現実、この二つはな」
「お互いに見ていく」
「そうして考えてだ」
「ことを為していくことね」
「そうでないとな、戦も然りだ」
こちらもというのだ。
「やはりな」
「現実を見とらんとのう」
当季が応えた。
「どうにもならんぜよ」
「全くだな」
「理想、どう進めて戦うかも大事にしても」
それでもというのだ。
「現実ぜよ」
「戦の場がどう動くかな」
「それも見てぜよ」
そうしてというのだ。
「ことを進めていくべきぜよ」
「その通りだ、この戦でもな」
「そうして進めていくことぜよ」
「敵だが」
その敵の話もした。
「今もだな」
「こっちにぜよ」
「来ているな」
「逃げも隠れもせんと」
そのうえでというのだ。
ページ上へ戻る