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レーヴァティン

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第百七十一話 見破った伏兵その三

「何もぜよ」
「出来ない」
「高い場所を目指さんとな」
「人も国もだ」
「よくならんぜよ」
「そうだ、だからだ」
 それでというのだ。
「俺も理想を定めてだ」
「それに向かうのう」
「そうするが」
「現実じゃな」
「これはどうしても大事だ」
「ほんまにのう」
「現実は時として残酷だ」
 英雄はこうも言った。
「それを見て動かないとな」
「ほんまに全てはふいになるぜよ」
「だからだ」
「理想を適えるにはのう」
「現実を見てな」
 そうしてというのだ。
「やっていくことだ」
「ほんまそうぜよ」
「確かに。若しもであります」
 峰夫も言ってきた。
「現実を見ないで理想ばかり言っても」
「それで動いてもな」
「何も出来ません」
「お花畑という言葉があるが」
「それになりますね」
「現実の花畑はいいが」
 これはいいというのだ。
「頭の中がそうだとな」
「お話にならないですね」
「妄想だ」
 それになるというのだ。
「それはな」
「理想も過ぎると」
「全く現実を見ないならな」
「その様になりますね」
「妄想はな」
 英雄は苦い声で述べた。
「創作なら大いに生かせるが」
「現実を語るとなると」
「齟齬があまりにも多くなる」
「そうなるので」
「よくはない」
「というかっちゃ」
 愛実も言ってきた。
「よく学者さんでいるっちゃ」
「テレビに出ているな」
「起きた世界では」
「あの眼鏡をかけた女流学者にしろな」
「あの人っちゃな」
「俺は今あの学者を念頭に言っているが」 
 妄想もっと言えばお花畑と言われるそれのことをというのだ、それはまさに彼にとっては忌むべきものだった。
「あの女は本当に学者か」
「違うというっちゃ?」
「そうだ、現実を見ないだけではない」
 このことも問題だがというのだ。
「学ぼうという姿勢がない」
「そういえばずっと同じことを言ってるっちゃ」
「他人に何を言われてもだ」
 それこそというのだ。
「全く変わらないからな」
「自分が間違っているとはっちゃな」
「全く思っていなくてだ」
 そしてというのだ。
「論理的思考もな」
「学者さんなのにっちゃな」
「全くないからな」
「本当に学者さんなのか」
「俺は疑っている」
 それも本気でだ。 
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