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レーヴァティン

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第百七十一話 見破った伏兵その二

「最悪名立たる将帥達も討たれてな」
「そうなってですか」
「そしてですか」
「致命的な傷を受ける」
「そうなりますか」
「そして今後の戦にも影響を与える」
 そうなってしまうというのだ。
「だからだ」
「釣り野伏せにはですね」
「絶対にかからない」
「そうしますか」
「ここは」
「気をつけてな」
 そしてというのだ。
「進むぞ、若し戦って勝ってもだ」
「その場合もですね」
「下手に追撃を仕掛けない」
「そうしますか」
「そうする、釣り野伏せかもしれないが」
 それでもというのだ。
「別の策で来る可能性もだ」
「ありますか」
「別の奇襲も有り得ますか」
「釣り野伏せ以外のやり方も」
「それで来るかも知れないからな」
 だからだというのだ。 
「用心をしてだ」
「迂闊に攻めない」
「そうしていきますか」
「戦になろうとも」
「そうする、夜はな」
 この時間はというと。
「決して追わず陣形を整え」
「守りを固め」
「そうしてですか」
「動きませぬか」
「そうする、出来れば一戦で敵の総大将を捕らえ」
 捕虜にしてというのだ。
「終わらせたいが理想だ」
「あくまで理想じゃのう」
 当季がここで言ってきた。
「それは」
「出来ればそうしたいがな」
「それを目指すにしてもじゃな」
「現実も見てだ」
 そのうえでとだ、英雄は当季に話した。理想と現実の二つをどう整合していくかが大事であることは二つの世界で学んできたことだ。
「そうしてだ」
「やっていくことじゃな」
「理想なくして高みは目指せない」
「決してのう」
「だが理想ばかりを追うとな」
「現実が見えなくなってぜよ」
「しくじる」
 ことをというのだ。
「そうなるからな」
「だからじゃな」
「理想は目指すが」
「現実で無理ならばじゃな」
「妥協してだ」
 そしてというのだ。
「出来る限りというところでだ」
「済ませるのう」
「完璧を目指して全てをふいにする」
「そうなってはのう」
「本末転倒だ」
「まさにのう」
「だからだ」
 それ故にというのだ。
「俺もだ」
「それがわかってじゃな」
「そのうえでな」
「やっていくんじゃな」
「そうしていく、この度もな」
「いいことぜよ、まっこと理想なくしてな」
 当季は彼の好むポーズを馬上で取っていた、着物の前から右手を出して顎に手を当てて右目を瞑るそれである。
 そのポーズになってだ、こう言うのだ。 
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