ドリトル先生の野球
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第三幕その五
「何処にどんなボールが来ても普通に捕球してるし」
「そうかな」
「別に普通じゃない?」
「これといって何も」
「凄くないけれど」
「僕が観るとね」
先生の目ならというのです。
「そう思うんだ」
「そうなんだ」
「そんなにいいキャッチングなんだ」
「そうなんだね」
「それにね」
さらにお話する先生でした。
「送球もいいね」
「普通にボール受けて返すだけじゃ」
「そうじゃないんだ」
「私達には普通に見えるけれど」
「先生が観たら」
「うん、プロでもね」
そちらでもというのです。
「充分以上に通用するかもね」
「そこまでのキャッチングなんだ」
「それで送球も」
「凄くいいんだ」
「あれなら」
まさにというのです。
「本当にプロでもいけるよ」
「ううん、それじゃあだね」
「これか凄い選手になるんだね」
「あの人は」
「期待出来るんだ」
「彼がこの野球部で一番凄い選手かもね」
先生はこう思ってです、野球部の監督さんにお話を伺いました。現場を預かる責任者でもある人にです。監督さんは落田雅士さんという初老の穏やかですが確かな目の光を放っている色黒で蛙に似たお顔立ちの人です。
「彼はうちの正捕手です」
「そうなんですね」
「はい、高校時代から注目されていて」
それでというのです。
「甲子園にも三度出ています」
「三回もですか」
「その時からプロのスカウトにも注目されていまして」
「今ではですね」
「うちの正捕手で」
それでというのです。
「四番も務めています」
「打つ方もいいんですね」
「安定した打率に長打もあって」
「それで、ですか」
「そちらでも主力です」
バッティングの方でもというのです。
「足は遅いですが」
「それでもですね」
「他のことは申し分のない」
「そうした人ですか」
「絶対にです」
監督さんはその人についてさらに言いました。
「今度のドラフトで」
「プロに指名されてですね」
「プロ入りしますよ」
「そこまでの人ですか」
「そしてプロでも」
そちらでもというのです。
「絶対にです」
「活躍してくれると」
「私は確信しています」
「そこまでの選手ですか」
「ですから」
それでというのです。
「期待しています」
「彼のこれからに」
「怪我にも強いですし」
「それが一番大きいですね」
「やっぱりスポーツ選手はですよね」
「怪我がないことです」
「そして怪我をしても」
万が一とです、先生も言いました。
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