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レーヴァティン

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第百五十六話 一騎当千の者達その十一

「ゲリラ戦術の目的よ」
「正直外道な戦術だな」
「そうよね、私達の感覚だと」
「軍人の恰好で攻撃せずにな」
「一般市民を巻き込むことが念頭にあるから」
「本当にな」
 嫌悪、それを込めた言葉だった。
「俺は絶対にしないしな」
「されたらね」
「すげえ嫌だけれどな」
「私達はね」 
 留奈はここでこう言った。
「そう思うわ」
「俺達は、か」
「戦術戦略の外道だってね」
 その様にというのだ。
「思うけれど。それでも」
「使う奴は使うか」
「それしかない場合もあるし」
 ゲリラ戦術及び戦略を採るしかというのだ。
「例えばそのナポレオンの時のスペインとか」
「ナポレオンに抵抗するならか」
「ナポレオンのフランス軍に正面から戦って勝てるか」
 留奈は久志に問うた。
「それはどうか」
「ナポレオンは軍神でな」
 それでとだ、久志は留奈の今の言葉に答えた。
「フランス軍もな」
「強いし」
「ああ、だからな」
「勝てる相手じゃないわね」
「当時のスペイン軍は大して強くなかったしな」
「そう、だからね」
 それでというのだ。
「ゲリラ戦術で抵抗したのよ」
「そうだったんだな」
「そうよ、それで結果としてね」
「ナポレオンを追い出したんだな」
「それが出来たのよ」
「すげえ犠牲出てもか」 
 フランス軍とスペイン国民達は血みどろの殺し合いに入った、その惨たらしさはゴヤの絵にもなっている。
「それでもか」
「そう、それでもね」
 留奈はさらに話した。
「目的は達したでしょ」
「自分の身体に火を点けて相手に体当たりして焼き殺すみたいだな」
「相手を焼き殺すけれどね」
「自分も大火傷だろ」
「下手したら自分も死ぬわね」
「そうなるよな」
「けれどね」 
 例えそうなってもというのだ。
「目的を達する為なら」
「敵に勝つっていうか」
「採れるのよ」
「成程な」
「好ましくなくてもですね」 
 それでもとだ、夕子もどうかという顔で言ってきた。
「勝つ為にはですね」
「選択肢としてあるんだな」
「そうなりますね」
「ああ、それでスパルタ軍もか」
「そうしてきますね、地の利を活かして少数で一撃離脱で攻めてきたり」
「してくるか」
「はい、ただ彼等は武装して戦ってきますね」
 ここで夕子はこのことを指摘した。
「そうですね」
「みたいだな、別に農民とか市民とか羊飼いに化けてな」
「村や町で後ろから攻撃したりはしないですね」
「その本来のゲリラ戦術はな」
 それはというのだ。
「してこないな」
「その様ですね」
「武装してな」
 そうしてというのだ。 
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