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レーヴァティン

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第百五十六話 一騎当千の者達その十二

「攻撃してくるな」
「武器を持って鎧兜で身を包み」
「そうしてくるな」
「つまりこちらはスパルタ軍とわかるので」
 そこにいる者がだ。
「そのことはいいかと」
「ゲリラは一般市民に化けているのが問題だしな」
「はい、そうです」
「アメリカの独立戦争でもな」
「正規軍や民兵の他にです」
「アメリカ人は市民も銃持って戦っていたしな」  
 そうしてイギリス軍と戦っていたのだ、イギリスはアメリカ軍だけでなく彼等も敵に回していたのだ。
「それでな」
「イギリス軍は負けましたね」
「市民が普通に銃持っていてな」
「家の中や道で撃ってきたので」
「それじゃあ洒落になってねえな」
「だからイギリスは敗れました」
 正規軍を相手にするだけでなかったからだ。
「その為にです」
「そうだよな」
「ですから」 
 それ故にというのだ。
「ゲリラは服装が重要です」
「正規の軍人の恰好をしているかしていないか」
「そのことが極めて重要です」
「スペインでもそうだったしな」
「はい、日中戦争でもそうでしたし」
「便衣兵な」
「彼等もでした」
 これは国民党軍が行っていた。
「街や村で民衆の服を着た兵が襲って来るのです」
「それで日本軍も苦しんだな」
「これが一番怖いです、普通に奇襲や遊撃戦なら」
 それを仕掛けられてもというのだ。
「まだ楽ですね」
「考えてみれば遥かにな」
 久志もこう答えた。
「それなら」
「ですから深刻にはです」
「考えなくていいか」
「そうかと」
「スパルタはそれはしないんだな」
 市民の恰好をして戦うことはというのだ。
「それで市民もか」
「市民の恰好では戦わないかと」
「それで奴隷もか」
「はい、彼等は戦わないです」
 スパルタの市民出ない者達はとだ、夕子は久志に話した。
「絶対に」
「訓練もさせていないしか」
「ただひたすら生産活動に従事させています」
 奴隷達にはそれを強いているのだ、そうして市民達は徹底した訓練によって精鋭になっているのである。
「そうさせていますので」
「戦うことはないんだな」
「奴隷達は」
「そう聞くと極端な国家だな」
 スパルタはとだ、久志はあらためて思って述べた。
「つくづく」
「そうですね、確かに」 
 夕子もそのことは否定せず言った。
「実に」
「そうだよな、けれどな」
「戦っていきますね」
「正直正規の軍人が攻めて来るならいいさ」
 例えゲリラ戦術を仕掛けてきてもというのだ。
「それならな」
「そういうことですね」
「ああ、そしてな」
 久志はさらに言った。
「攻めてきたらな」
「その都度ですね」
「倒していくな」
 そのスパルタの将兵達をというのだ。
「そうするな」
「それで、ですが」
 順一が言ってきた。 
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