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仮面ライダーの力を得て転生したったwwwww

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第9話

『お前の運命は、俺が変える』

その言葉を皮切りに、アナザージオウとアナザーエグゼイドは咆哮を轟かせて同時に駆け出す。
両者は全く同じタイミングで、互いを粉砕するための拳を振り抜く。

『◼◼◼ッッ!!!』
『ラァ!!!』

両者の身体が、衝撃に揺れる。 鎧をも貫く痛みにアラタは仮面の下で呼吸を乱す。 だが、それは奴も同じ事。 アラタはよろける足を力強く踏ん張る。その刹那。

『・・・・・・!!』

背筋がゾクリとする感覚。避けろ、と本能が警告してくる。上を見上げると、アナザーエグゼイドの鉤爪が目前まで迫っていた。アナザージオウはそれを無意識に地面を転がる事で躱す。鉤爪はアナザージオウを捉えることなく、背後にあった瓦礫を砕き、その破片を辺りへも転がす。
今の一撃を貰っていたら、すぐさま立ち上がることは出来ない傷を負わされていただろうと仮面の下でアラタが冷や汗を垂らす。

だが、攻撃というのは当たらなければどうということではない。倒れ込んだ反動を利用し、隙ができたアナザーエグゼイドの脇腹に蹴りを撃ち込んで吹き飛ばす。が、大したダメージは与えてはいないようで手首をスナップさせてこちらに憎しみの唸を轟かせる。と、体制を立て直したスズナとショータらレジスタンス面々が隣へ駆け寄ってくる。

「さーせん! 遅くなりました!」
「畳み掛けるわよ」
『・・・・・分かってる。 行くぞっ!!』

 アナザージオウはヨータとスズナの顔を交互に見合わせながら、スズナと共に突貫していく。 スズナは勢いのままに上段蹴りを放つが、アナザーエグゼイドに躱される。アナザーエグゼイドはがら空きのスズナの背中に向けて腕を振り下ろす。

『やらせるかよっ!』
『■■■ッッッ!』
『うおっ!?』

寸での所でアナザージオウが手刀を両手で掴みそれを阻む。だが、理性を失った事による強化なのだろうか。アナザーエグゼイドは止まることなく力任せにアナザージオウを地面に投げ捨てる。アナザーエグゼイドは立ち上がろうとするアナザージオウに追撃の蹴りを浴びせようと右足を振り上げる。

「やらせねぇ・・・・・すよ!!!」

その背後に回っていたヨータと、背後でライフル銃を構えていたゲンが銃のトリガーを引き抜く。寸分違わない、死角から正確無慈悲の射撃。だが、アナザーエグゼイドは瞬時に気づくや否や、振り上げた足を弾丸が放たれた方向へと向け---初発の弾丸をかかと落としの要領で踏みつぶし、一呼吸で2発目の弾丸を握り潰す。 握った拳を開くと、大中の口径の火薬が粉々になって地面に落ちる。

「嘘やろ…!」
「背中に目でもついてんのかよ…!?」

それでも、彼らの放った弾丸は無意味とはならない。現に、アナザーエグゼイドが最も警戒しなければならないアラタ(相手)に対して、無防備に背中を晒してるのだから。

『オオオオッッ!!!』

アナザージオウは無防備の背中に向けて、渾身の一撃込めた拳を振るーーーー!
だがその拳は、突如現れた影によって届かなかった。そして、その正体にアラタは仮面の下で驚愕を浮かべる。

『こいつら・・・・・・’バグスターウイルス’かっ!?』

しかも一体だけじゃない…アナザーエグゼイドを媒介として、数十体ペースで………!?
 
「何なんこいつら・・・・・・!うじゃうじゃ出てきやがる!」
 
スズナは逆手に持ち替えたアーミーナイフでバグスターウイルスを切りつけながら、苛立ちの叫びを上げる。・・・・・・正直に言って戦況は一気にあちらに優勢が傾いてしまった。今までのアナザーエグゼイドとの戦いでは、一体多数の戦闘だったからこそ生身の人間でもカバーし合いながらでも戦えていた。
だが、そのアドバンテージが消えた以上、支援は望めない。

「い、いやっ・・・・・・!」
『やめろ!・・・・・・ラァっ!大丈夫か!?』
「あ、アラタさん・・・・・・」 

槍の刺突や拳を受け流しながら、長剣と短剣による斬撃で一掃したところで、体を震わせて動けないサキと迫るバグスターウイルスの姿を捉える。あらんかぎり力で地を蹴り、10m程の距離を一瞬にして駆け抜け、バグスターウイルスを一刀両断にする。

「すまない、遅くなった!」
『悪い、彼女を頼む!そいつ腰抜かしてるぞ!』
「・・・・・・分かった」
「うう、すみません・・・・・・」

遅れてやってきたサトシにサキを任せる。・・・・・・元々、彼女はそういったことには不慣れなんだろう。手足が震え、腰を抜かしてるのが何よりの証拠だ。石田さんは少し近寄りがたいが…信頼は出来そうだ。

アラタはそんなことを考えながら振るわれる槍を剣で打ち払いつつ、何処かにいるはずの奴を探す。

『・・・・・・いた』

空中にブロックを作り、高見の見物をしてるアナザーエグゼイド。奴はレジスタンスの面々があがいてる様子を堪能しているのか、こちらにはまだ気付いてない。
・・・左手に持った剣を逆手にし、狙いを定める。少しの気の乱れも許されない中、はやる気持ちを抑える。

『いっっ・・・・・・けえ!!』

今。アラタは強化されたその剛腕から、オーバースローに左手に持った短剣を投げる。剣は途中で落下することもなく、一直線にアナザーエグゼイドへ飛ぶ。音速を超える投擲。並のものなら、その必殺の一撃に対応できず地に伏せたであろう。だが、相手は仮面ライダーの紛い物であるアナザーライダー。それすらもアナザーエグゼイドは反応し、跳躍する。直後、奴の乗っていたブロックを短剣が貫き塵と化す。

『■■■ッッ!!!』
『っぐ、ちょこまかと・・・・・・!』

接近を許し、振るわれた斬撃でアナザージオウの装甲を火花が散らす。激痛に苦悶の声を漏らすが、アナザーエグゼイドの胴を薙ぎ払おうと剣振るう。しかしそれを胴体を反らし擦れ擦れで躱し、再び肉薄を許して一撃を貰う。エグゼイド(オリジナル)の主体としていたアクロバティックな動きから放たれるヒットアンドアウェイに、着実とアナザージオウのダメージを蓄積していく。
痛みの臨界点などとっくに超えている。片膝を地に着け、それでも完全に倒れはしまいとアナザーエグゼイドの猛攻によるダメージを剣を使い最小限に抑える。

だが、ジリ貧状態なことには変わらない。 せめて、1度でも良い。大きな隙を晒してさえくれればーーー!!!
アナザーエグゼイドは勝ち誇るように歪んだ顔でコチラを嗤い、跳躍して左足を突き出す。 避けきれないと、せめてもの抵抗として剣を盾にし備えた、直後。

アナザーエグゼイドの身体に、少し大きな球のようなが滞空当たったと思うと、それは破裂し爆発する。 爆発の余波をモロに受けたアナザーエグゼイドは吹き飛ばされ、激しく地面を転がる。

『◼◼◼ッッ!?』
『今、のは……』
「気を緩めんじゃねぇ!!」

背後からアラタを叱咤する声が聞こえる。振り返るとそこには、汗を垂らし足をガクガクと震わせながらも銃を毅然と構えるヒロキ。

『・・・・・・良いのか』
「・・・・・・コレでも元レジスタンスだ。覚悟は決めた」

言うだけなら簡単な事。だけど、その心情に何を思ってるか等分かるはずもない。 今俺に出来ることがあるとするなら、今暴れているアナザーエグゼイド(ヒロキの親友)を、止めることだけなのだから。

アナザージオウはこの瞬間を逃すまいと、懐から1つのウォッチを取り出す。そのウォッチはーーー『アナザービルドウォッチ』。

『さあ、実験を始めようか』

軽口を叩いてはみるものの、実際には賭けだ。ただでさえ自我を取り込む程のアナザーライドウォッチを2つ装填するのだ。下手をすれば、アナザーエグゼイドをも上回る化け物となってしまうかもしれない。だけど、やるしかない。
フラフラと立ち上がるアナザーエグゼイドを見据え、アナザージオウはアナザービルドウォッチを起動する。

《BUILD・・・・・・!》


アナザージオウ(アラタ)はそれを、躊躇いなく黒いジクウドライバーの左側のD'3スロットへと装填する。直後。

『うぐっ・・・・・・ッ!!?』

胸が締め付けられるような激しくなる鼓動に、胸を抱えて苦しむ。

ーーー闘え。

ーーー殺せ。

ーーー生きとし生けるもの、全てを喰らい尽くせ!!!


『ア゛ア゛ア゛ァァァァアアァッッ!!!??!!!!!!?!?!?!』

ウォッチから促される本能の叫びが、身体を、骨の髄まで貪られる。両手を広げ、黒いオーラがアナザージオウの周りを囲い、閉じ込める。 その異様な光景に、周りにいた者は皆手を止め、言葉を失う。

『はァ・・・・・・ぁっ!! がはっ・・・・・・!!!』

想像を絶する痛み。 だが、アラタは苦悶の嬌声は上げても、心だけは折れない。 今までの彼ならば、途中で力尽き、アナザーライダーの力に身を飲まれただろう。だが、今の彼は違う。
レジスタンスの仲間が。琴音が。守るべき者が出来た。故に、彼は足を、抗う事を止めやしない。 この戦いに身を投じる当事者としての責任として。

誰かの笑顔を、守るために。

『うぐっ・・・・・・おおおおおっっっ!!!!』

そんな彼の気持ちに呼応するかの如く、黒いオーラは、配管パイプの様にアナザージオウを囲い……赤と青の、ハーフボディへと代わりーーー。アナザージオウの装甲を上書きするように纏う。

《BUILD・・・・・・!》

外見はアナザービルドであるものの、ベルトは歪んだビルドドライバーではなく、黒いジクウドライバーのまま。 彼はライダーであらずとも、ライダー足り得る精神力で(・・・・・・・・・)自我を保ったまま、さしずめ『アナザージオウ ビルドフォーム』に転身を遂げる。
アナザージオウBとなったアラタは、指を歪んだ兎の角をなぞり、呟く。

『勝利の法則は決まった、てな』

アナザージオウBが右足を前へと突き出し、後ろの左足に力を込めるーー歪んだラビットシューズがバネのように伸縮し。それを解放させて、アナザーエグゼイドとの距離を瞬時に縮める。

『◼◼ッッ!?』
『よっ、はっ!!』

ラビット()タンク(戦車)の力を秘めたラビットタンクフォーム。 素早さに優れるが火力に劣るラビットと、素早さを削る代わりにパワーがあるタンクは、互いのデメリットを打ち消すベストマッチフォーム。 アナザービルドの姿になってもその力は健在であり、素早い打撃と、重一撃が交互にアナザーエグゼイドを捉える。

『◼◼ッッ・・・◼◼ッ!!!』
『オラァっ・・・・・・!!』

蓄積したダメージに膝を屈するアナザーエグゼイドに、右足で回し蹴りを放つ。アナザーエグゼイドはそれを止めようと足を掴むが、生憎とその足は戦車の力。足裏のキャタピラが高速回転し、アナザーエグゼイドの装甲を削り、強引にそのまま足を振り抜く。アナザーエグゼイドは威力を殺しきれず、きりもみ回転しながら瓦礫の山へと衝突し、余波で粉塵が飛び散る。

『コレで、決めるっ・・・・・・!!』

《FINISH TIME !》
《BUILD……!》

長剣を投げ捨て、ジクウドライバーにセットしたアナザージオウとビルドのウォッチのボタンを押し、ドライバーを回転させる。

『はぁ・・・・・・!!』

ラビットシューズを限界まで力を集約させ、飛躍する。 高く。もっと高く。ラビットシューズが出せる最高点へと到達。同時に、グラフ型の標的固定装置が展開され、x軸がアナザーエグゼイドを挟み込むように拘束する。

『◼◼ッ・・・・・ァァアアアアアッ!!!』
『うぉおおぉぉりゃぁあっっっ!!』

藻掻くアナザーエグゼイドに対し、アナザージオウBは右足を突き出しグラフ線上を滑走しながら加速していく!!!

《ANOTHER!》
《VORTECH! TIWEーBREAK!!》

加速と無限軌道装置から放たれる必殺のキックが、身動きの取れないアナザーエグゼイドのボディ装甲を削り、火花を散らす。

ーーーありがとう。

不意に、誰かの声が聞こえる。 その声音は、何処か満足してたかのようでーー。

『◼◼◼ーーーーーッッ!!!』

そんな幻聴が聞こえると共に、アナザージオウBのライダーキックが、アナザーエグゼイドの装甲を貫き、断末魔を上げてアナザーエグゼイドは爆散する。アナザージオウBは、地面にラビット側の足を着き、跳躍。月面宙返(ムーンサルト)を決めて、タンク側の足で地に足をつけ、大地を踏む。その衝撃に、地面がめり込む。

アナザーエグゼイドが敗れたことで、彼を媒介として生み出されたバグスターウイルスは、一体たりともその存在を四散させた。

「終わった・・・・・・のか」
「ふぃー・・・・・・」

激戦を生き残り、息をつくレジスタンスの面々。その表情には疲労と、生き延びた事による安堵が伺えた。

「っ、ナオヤ!!!」

迸る炎から、アナザーエグゼイドの変身者であったナオヤがぐったりと倒れていく。既の所でヒロキが飛び出し、抱き抱えるが、ナオヤの身体はゲームのピクセルの様に、塵となりつつあった。

「・・・・・・ぁっ。 ヒロ、キ」
「ナオ、ヤ」
「ゴメン、迷惑、かけちまって」

彼の消滅は覆らない。 ゲームのように、何度もコンテニュー(蘇る)なんて出来ない。それはナオヤも、ヒロキも分かっている。だが、ナオヤは謝罪を口にし続ける。

「優奈が意識を失って、そんな時アイツが現れて。・・・・・・ホントは、そんな事をしても優奈は喜ばないって、分かってたのにさ」
「そんなわけねぇだろ!・・・・・・お前は、お前は」
「うん・・・・・・でも、このまま消えるのは、なんか・・・・・・嫌だな」

変身を解き、彼等を見守るアラタにナオヤは視線を向ける。 彼の意図を察し、アラタはゆっくりと彼らに近づき、膝を傾げ、ナオヤへと視線を合わせる。
保つのも辛い朧気な身体を震わせつつも、彼は地面に転がっていたアナザーエグゼイドウォッチを拾い上げ、アラタの手へと乗せる、

「・・・・・・君、には責任も、コレから君が、歩む辛い事とか、何もかも・・・・・・押し付けちゃうかも、しれないけど。それでも、コレを、託すよ。 ・・・・・・君の、力になりたいんだ」
「・・・・・・分かった」

アラタは何も言わず頷き、彼の手ごとウォッチを両手で握りしめる。彼のピクセルがブレが強まり、崩壊が始まる。それでも、アラタはナオヤという青年の手を掴み続ける。 運命に狂わされても、誰かの笑顔を取り戻すために戦った戦士の事を、忘れない為に。

「・・・・・・あり、がとう。 君は・・・・・・その力で、誰かの明日を・・・・・・笑顔を」


ーーー未来を、守って。


そう口ずさみ、ナオヤという青年はこの世界から消滅した。


レジスタンスの面々は、青年の死を弔い。


ヒロキは彼の亡骸があった場所を必死に握りしめ。


アラタは彼から託されたモノを、噛み締めるように、力強く握りしめた。





ーーーアナザーエグゼイド、敗北。




残るアナザーライダーは・・・・・・・・・


後、18体。

ーーーー

この世界とは違う、何処かの世界。
しかし、そこは世界の原型を留めていない程に、崩壊していく。 地は抉れ、海は荒れ、火山は噴火し、台風が全てを薙ぎ払い。世界の至る所で災厄が起きる。

人々が逃げ惑う。そんな行為を嘲笑うように、ゴミ屑の様に消える。

その光景は、何時か騒がれた「世界の終焉」の顕在化。

彼、否、彼女。 宙に浮かびながらも災厄を諸共しない、男や女にも見れるその存在はその光景に対し何も思うことがないように見渡し、微笑む。

「さあ―――滅べ」

両手を広げ、そう呟くと、彼から光が放たれーーー刹那。

1つの世界は、虚空と化した。
虚空となったソコで、その存在は名を呟く。



「我はゼノ・・・・・・世界を終わらす存在なり」
 
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