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第二章

「子供なのにいい度胸だとか言われて」
「ヤクザ屋さんになの」
「違いますって言ったけれど結構言われたから」
「それは災難ね」
「それが凄く嫌だったから」
「外需角時はサングラスなの」
「先生にも許可得てるから」
 それでというのだ。
「登下校の時もね」
「サングラスかけてるの」
「そうしてね」
 そのうえでというのだ。
「難儀がない様にしているから」
「大変ね」
「いや、サングラス好きだから」
「かけるのはいいの」
「日光から目をガードしてくれるお洒落だから」
 そうした意味もあるからだというのだ。
「だからね」
「いいのね」
「そう、いいから」
 こう言ってだ、そうしてだった。
 花楓は体育の授業を平和に過ごした、だが目のことでとやかく言われることは諦めて学校や家の外では常にサングラスだった。 
 その彼女がある日登校して自分の下駄箱を開けると。
 そこに一枚の手紙があった、あまりにも古典的なので嘘かと思ったが。
 それでもだ、花楓はトイレの個室の中でこっそりと手紙を読んでそのうえで手紙に書かれている様に放課後に体育館裏に行くと。
 背が高くてすらりとした茶色の髪の毛を七三に分けた子の高校の制服である黒のブレザーとグレーのズボン、赤のネクタイと城のブレザーの少年がいた。花楓はその彼女を見てすぐに言った。
「ああ、二組の山田君」
「うん、山田恒興だよ」
「通称池田さんだよね」
「恒興だからね」
 彼は笑って自分の名前から応えた。
「織田信長さんの家臣だった」
「あの人よね」
「小牧の戦で死んだね」
「そうだったわね」
「あの人がそのまま僕の仇名になってるよ」
「そうだったね」
「そう、それで今日こっちに来てもらったのは」 
 恒興は真剣な顔で花楓に話した。
「手紙に書いたけれど」
「嘘でしょ」
 花楓は制服のスカート、かなり短く折って脚をかなり見せているそれのポケットに両手を突っ込んだうえで恒興に言葉を返した。
「悪ふざけでしょ」
「いや、違うよ」
 恒興は花楓の言葉を全力で否定した。
「それは」
「本気なの?それじゃあ」
「そう、本気だから」
 恒興は花楓に真面目そのものの声で答えた、身振りも必死なものだ。
「本当に」
「私と付き合いたいの」
「そうなんだよ、是非ね」
「正直ここに来ないでさっさと部活に行くこともね」
「考えたんだ」
「けれどまあ。からかいなら受け流すつもりで」
 その考えだった、実際にドッキリみたいなのだとそれで?と言ってさっさと部活に行くつもりであった。
「来たし」
「クールだね」
「元々の性格だし。けれど」
「うん、井上さんがよかったら」 
 恒興は花楓に真剣な顔で言った。
「付き合ってくれるかな」
「本当にいいの?」
 花楓は恒興をその三白眼で見つつ問うた。 
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