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負けたとしても

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第四章

「あの人達本当に品性ないから」
「下劣の極みにあるわね」
「ちゃんとね」
「しないと駄目よね」
「野球の応援も」
「それがわかってるならね」 
 それならというのだ。
「いいわよ」
「そう、だからね」
「これからもなのね」
「品性を守って応援してね、チームを応援出来ることが第一っていう姿勢はいいと思うわ」
 すみれのこのことについても話すのだった。
「本当に」
「そうよね」
「だからね」
「これからもなのね」
「品性は守ってね」
「そうしていくわ」
 すみれは母に答えた、そしてだった。
 カープの応援を彼女のスタイルで続けていった、それで球場に行ってもだった。
 礼儀正しい応援をした、それは応援団の人達からも言われた。
 神宮の三塁側で私服の奇麗なロリータファッションにカープの帽子と法被姿のすみれに彼等は笑顔で声をかけた。
「嬢ちゃん今日も来たな」
「じゃあ今日も応援するんだな」
「そうしてくれるんだな」
「はい」
 すみれは彼等に笑顔で答えた。
「今日もそうさせてもらいます」
「そうか、じゃあ一緒に楽しもうな」
「カープの試合観ような」
「今日はどうなるかわからないけれどな」
「今日も応援しような」
「そうしような」
「是非、勝っても負けても」
 それでもともだ、すみれは言った。
「楽しみたいです」
「そのスタイルいいな」
「勝っても負けてもってな」
「どうあっても応援するってな」
「そのスタイルは立派だぜ」
「子供の頃から応援してきて」
 すみれは応援団の人達にもこのことを話した。
「ずっとBクラスでしたし」
「そうだったんだよな、カープって」
「本当に地味でな」
「暗黒時代の阪神程じゃなかったけれどな」
「親会社がTBSだった頃の横浜みたいじゃなかったけれどな」
 どちらも長い長い暗黒時代を味わい最下位の常連だった。
「それでもな」
「広島もずっとな」
「前の世紀に優勝してからだったよな」
「一九九一年だったな」
 勿論すみれが生まれる前である。
「あの時からな」
「長い長い低迷期でな」
「Bクラスばかりで」
「前田さん怪我したりな」
「選手は巨人に強奪されてな」
「辛い時代だったよな」
「広島ローカルとか言われてな」
 応援団の人達もしみじみと思うことだった。 
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