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もう二度と

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第一章

                もう二度と
 オットー=クライストはビスマルクの話を聞いて友人達に話した。
「同じオットーだしな」
「そのこともあってか」
「ビスマルクを意識しているか」
「君はそうなのか」
「外交官や政治家になるつもりはないけれどな」
 それでもというのだ。
「ああした凄い人間になりたいな」
「確かに凄い人だったな」
「外交官としても政治家としても」
「かなりの業績を残しているな」
「ドイツを統一した最大の功労者だ」
「その後の外交と内政も見事だった」
 クライストはこのことも指摘した。
「あそこまでの人物になりたいものだよ」
「謀略を使うことはともかくとして」
「エムス電報事件なり」
「あと決闘好きだったことも今はマイナスか」
「ああ、二十数回の決闘に勝って」
 クライストもこのことを知っていた。
「乱暴者ビスマルクと呼ばれていたな」
「顔には向こう傷もあったらしいな」
「これは相当迫力があっただろうな」
「写真を見ると結構威圧感のある顔立ちだしな」
「若い頃は美男子だったがね」
 クライストはビスマルクのこのことも話した。
「確かに威圧感のある顔だよ」
「政治家だった頃は」
「しかも背は一九〇超えていたらしいし」
「余計に迫力があったそうだな」
「そう、彼は大柄だった」
 ビスマルクのこのことも話した。
「今から見てもそうだな」
「今のドイツ人から見てもな」
「確かに大きいな」
「一九〇超えていると」
「それで大柄なせいか」
 クライストはさらに話した。
「大食漢でもあったな」
「ハンバーグが好きだったな」
「大きなものを食べていたそうだな」
「その上に目玉焼きを乗せていたな」
「ステーキにもそうしていたらしいな」
 これは実際に彼が食べていたものだ、尚ハンバーグの上に目玉焼きを乗せるのはビスマルクが考案したという。
「どうも」
「卵も好きで」
「ゆで卵も十数個食べたとか」
「そんな話もあるな」
「それで僕もゆで卵食べてみたよ」
 実際にとだ、オットーは笑って話した。
「十数個な」
「実践しかのか」
「実際にゆで卵十数個食べたのか」
「そうしたのかい」
「幸い僕も大柄だしね」
 見ればそのビスマルクより大きい、二メートルはある。実は職業は駅員だが毎日体力育成を欠かしていない。
「だからだよ」
「食べられたのかい」
「ゆで卵十数個」
「それを食べたのかい」
「そう、そしてね」
 そのうえでというのだ。
「今度は牡蠣に挑戦しようと思ってるよ」
「牡蠣?」
「ビスマルクは牡蠣も好きだったのか」
「そうだったのか」
「何でも生牡蠣を百個食べたらしい」
 クライストは友人達に話した、岩の様な厳めしい顔を笑みにさせて。筋骨隆々で短く刈った金髪に優しい光を放つ青い目が目立っている。
「彼は」
「それも凄いな」
「生牡蠣を百個か」
「むしろゆで卵より凄いな」
「今度はそちらに挑戦しようとね」
 その様にというのだ。 
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