剣製と冬の少女、異世界へ跳ぶ
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043話 石化の解除
前書き
更新します。
俺とタカミチは学園長が手配してくれたジェット機を使いすぐに旅立つことになった。
どうでもいいが俺の作成した武具達はもうすでにあちらに送られているらしい。
それとあちらに着いたらメルディアナの校長の魔法使いの従者であるらしい『ドネット・マクギネス』という女性の方が道案内をしてくれるとのことだ。
機内の中で俺はタカミチと色々と話をしていた。
ちなみに招待席なので気兼ねなく裏の話も出来るからここらへんは感謝だ。
「それより士郎。昼間にいっていた一度殺されたというのは一体なんのことなんだい?」
「それか。なに、あの時もいったが俺が魔術の世界に入る切欠になった事件の事だ」
それから俺はタカミチになら話しても大丈夫だろうと過去の俺の始まりから聖杯戦争までの話をした。
それを聞いたタカミチはひどく驚いてしばらく会話はなかったが、
「そんなことがあったんだね…」
「ああ。それがきっかけで俺は姉さんとともに世界に出て結局こんなところまで来てしまったわけだよ」
「世界は似ているというのにここまで違うとなにか釈然としないけど腹が立ってくるね。士郎の世界はこちらからしてみれば牢獄に閉じ込められているようなものだ」
「そう思ってくれると俺も身が休まる…しかしそれが俺達の世界の常識で当たり前のことだったんだ」
「……そうか。なぁ士郎。僕も、魔術を習得することは出来ないだろうか?」
「それは、止めておいたほうがいい。エヴァですら回路を開いた時には絶叫をあげたらしいからな。
そして今も自分の属性を理解しようと最近は篭りがちだしな。
エヴァみたいに不死ならいずれは習得できるだろうが今からタカミチが一から魔術を習い始めるとなると習得する前に寿命を迎えてしまうぞ?」
「それほど魔術は魔法とは違い年月をかけなければいけないということかい?」
「そうだ。俺やエヴァのような例外はともかく、魔術師は代を重ねて魔術を継承していく。
それによって力をつけていくからおそらくタカミチはオーソドックスな魔術師になるだろうから一代では到底無理だろう。
俺も魔術の才能がないからタカミチの境遇は理解できるが今ある力をより高めていくのも一つの道だと俺は考えている。
ま、これはアーチャーの受け売りなんだけどな。アイツが俺の果てだと考えればどうしても納得してしまうんだ」
「英霊エミヤか…士郎もいずれはそれになってしまうのかい? 守護者という永遠の奴隷に…」
「いや、俺はなる気はないよ。それにエヴァに聞いたがこの世界には守護者という概念はないと聞く…。
ただ知られていないだけかもしれないが何百年も生きているエヴァが知らないのだから真実だろう。
そしてランサーは偶然の産物でこちらの世界にいるがそれも奇跡にようなもの。だから俺はもうそれになることも叶わないんだ」
「そうか…」
「安心したか?」
「まぁね。士郎のことは親友だと思っているからなお更だ」
「それは嬉しいことだ。俺もこの世界ではタカミチが一番の親友だと思っているよ」
「ははは…しかし男同士でこんな話もなにか変だから別の話をしようじゃないか」
「だな」
それからは二人でこれからについて色々と語った。
そしてしばらくして飛行機はこちらの倫敦に到着した。
そこで思う。やはりどの世界でも倫敦は魔的な関係が深い場所だなと。
しばらく歩くと待っていたのか一人の女性がこちらに向かってきた。
「久しぶりですね、タカミチ」
「やぁマクギネスさん。相変わらず時間にはきっちりしているね」
「いえ、職務ですのでお構いなく。それよりあなたが衛宮士郎さんですね」
「はい、そうです」
「お待ちしていました。メルディアナ学園長もさぞお待ちになっています。なんでも石化を解けるかもしれないという力を持っているという…」
「ドネットさん…今ここでは」
「っと、そうでしたね。私とした事が嬉しさのあまりはしゃいでしまいました」
「やっぱり君も嬉しいんだね」
「ええ。彼らのことを思うと今も心が痛みますから…とくにネギ君は心に深い傷を負ってしまった事件でしたから」
「それは聞きました。だから自分も役に立ちたいがために本日はまいった次第です」
「ふふ…感謝しますね、衛宮さん。さ、それでは向かいましょうか」
それからドネットさんに案内をされて俺とタカミチはウェールズに到着した。
…そういえば、ウェールズはセイバーの故郷の近くの場所であったな。
ぜひとも時間があれば色々見物していきたいものだ。
そんなことを考えているうちに俺達は草原に建っているネギ君の故郷に到着した。
ドネットさんは先に用があるというのでメルディアナ学園長のもとへと向かった。
それで変わりの案内役が出てきてくれたのだが、どこかで見覚えが…
「あなたがネギの副担任をしていらっしゃる衛宮さんですか?」
「ええ、そうです。そういうあなたは話に聞くネギ君の姉の…」
「はい。私はネカネ・スプリングフィールドです。お会いできて光栄です、衛宮さん」
「士郎で構いませんよ、ネカネさん」
「そうですか。ではシロウさんと…」
「!」
…驚いた。一瞬だが彼女が俺を初めて名前で呼んだセイバーに被ってしまった。
それでなにか疑問の表情をしているようだったから俺もすぐに普段どおりにして話を進めた。
それからはというもの、ネカネさんは俺とタカミチにネギ君のことを色々と心配して話を聞いてきた。
それで俺も「最初はやっぱり不安でしたが今ではしっかりと先生の仕事を頑張っていますよ」と伝えた後、
「ほんとうにネギ君の事を大事に思っているんですね」
それで急に話し続けていたことに気づいたネカネさんは顔を赤くしてすみませんと謝ってきていた。
そうしていると突然後方から、
「ネカネお姉ちゃーーーん!」
「アーニャ! 来てくれたのね」
二人はまるで中睦ましい姉妹のように抱き合っていた。
「ええ。なんでもすごいことをするっていうんですぐに戻ってきちゃった」
「ええ、そうよ。きっとあなたも喜ぶことだわ」
「そうなんだ! …ところでタカミチさんはいいとしてこの白髪のおじさんは誰なの?」
グサッ!
そういう擬音がまさに俺の胸を貫通した。
ぐおぉっ!? まさか…またおじさんといわれる時が来ようとは…! やはりこれか!? この白髪がいけないのか!!?
おもわず俺は前のメリにあまりのショックに倒れそうになったがそれをタカミチが支えてくれた。
「すまないタカミチ…」
「いや、いいんだ。なぜか士郎の気持ちがダイレクトに伝わってきたからね」
「アーニャ! いきなりシロウさんに失礼でしょ!?」
「あわわ…! ごめんなさい!」
「大丈夫だ…この白髪で言われるのは慣れているからな…ハハハ…」
それからなんとか気持ち立ち直った俺はこの赤い髪の少女に挨拶をした。
この子も確かネギ君の記憶に出てきた一つ上の幼馴染の子か。
「俺は衛宮士郎。ネギ君の補佐をやらせてもらっているものだ」
「あ、これはご丁寧に…私は『アンナ・ココロウァ』…アーニャと呼んでください。…えっと、シロウさん?」
「わかった、ではアーニャと呼ばせてもらうとしよう」
「はい! でもタカミチさんと一緒にいるっていうことはこっちの関係者でいいんですか?」
「ああ、そうなるな。ネギ君の補佐もそれでやっているものだからな」
「そうですか。それでネギは今どうしてますか!?」
「順調に勤務や修行に励んでいるよ。本当に十歳とは思えないほどだと常々思っている」
「そっか。アイツもしっかりと頑張ってるのね…もっと話を聞きたいところですけど今はネカネお姉ちゃんに聞きたい事があるので…」
「構わない」
それでアーニャはネカネさんに話を移らせていた。
それにしても本当に元気な子だ。
「それでネカネお姉ちゃん…すごいことって一体なにをするの? 詳しく聞いていないからなんのことかさっぱりなんだけど…」
「それは、ある場所に案内してから話すわ…シロウさんも関係していることなのよ?」
「シロウさんが…?」
「ええ。それでは学園長もお待ちでしょうし向かいましょうか」
「ええ」
そして俺達はメルディアナ学園長がいる部屋に案内された。
そこにはあちらの学園長とは違い威厳がある人物がいた。
さすがは魔法学校の校長だ。貫禄がやけに様になっている。
「よく来てくださった。衛宮士郎殿。タカミチ、案内感謝するぞ」
「いえ、僕も士郎には感謝しなければいけません」
「え? え? なんのことなの? なにか重要な会議でもあったなら私は外で待っているわよ?」
「いや、アーニャ。お前も聞いてなさい。これはここ数年誰も…ワシですら成し遂げられなかった事が起きるかもしれない事態じゃからの」
「そうよ、アーニャ…」
「それでは早速だが地下に向かうとするかの士郎殿」
「わかりました」
「え…」
そこでアーニャの声が途絶えた。
先ほどのなりは陰に隠れて代わりに怒りのようなものが沸きあがっていた。
…当然か。まだ会ったばかりの俺に不信感を持たない方がおかしい。
そして思った通り、
「おじいちゃん! なんでシロウさんをあそこに連れて行くの!? 関係者以外立ち入り禁止なんでしょ! ましてまったく関係ないシロウさんを連れて行くなんて…!」
「これ、失礼じゃぞ。士郎殿はもしかしたら彼らを救えるかもしれないのじゃぞ?」
「それって…!」
「そうだよ、アーニャちゃん。士郎はもしかしたらやってくれるかもしれない。それは僕も実証するよ。なんせ士郎は僕よりも強いからね」
「よしてくれタカミチ。何度もいうが…「本当に救えるの!?」…アーニャ…」
アーニャは目に涙を溜めて俺にすがるように問いかけてきた。
…タカミチの話によるとアーニャの親も石化されたと聞く。
だから、俺は一度頷いて、
「俺は、そのためにこの場に来た…ネギ君の過去を垣間見たからには救わねばと…」
「本当に、助けてくれる、の…? お母さん達を…」
「出来る限り尽くしてみる。だから…泣き止むんだアーニャ。君は笑顔の方がとっても似合っているぞ」
「うぐっ…うん、ありがとうシロウさん! それじゃ私が連れて行ってあげる!」
「おっと!」
アーニャは一転して俺の手を掴んでその場所まで案内してくれると言ってくれた。
だから俺もとくに抵抗もせずについて行った。
後ろでネカネさんとタカミチ、メルディアナ学園長の優しい笑い声が聞こえてきて俺はこの思いは決して間違いではないと感じた。
そしてその場に到着して…その光景に圧倒された。
そう…そこには石化された人々がすべて運び込まれていたからだ。
思わず俺は歯軋りをした。どうしてこのようなひどい事をしたのか召喚者を見つけ出してすぐにでも尋問したいほどに。
「シロウさん大丈夫…? 顔が怖いよ…」
「いや、すまない。少しばかり怒りがこみ上げていただけだから…もう、大丈夫だ」
「それでは士郎殿。さっそく取り掛かってくれんかの…ワシもこの目で見たいんじゃ。コノエモンが言っておった異界の魔術という奴を…」
「やっぱり学園長は話していたんですか。ま、今回限りは目を瞑りましょう。どうせ今使うことですから」
「え、異界って…」
「…どういうことですかお爺様?」
「コノエモンに聞いた話じゃが士郎殿ともう一人のここにはいないイリヤという姉君はこことは別の世界からやってきた魔術師なんじゃ」
「「えっ!?」」
「このことはネギ君達には話していない…だからネカネさんもアーニャも内緒にしておいてくれ」
「「………」」
二人はもう頷くことしかできないでいた。
だから俺も魔術回路を開いて研ぎ澄ませて硬く、力強く魔力を高めていく。
この人たちを救うためにも…!
そして、
「―――投影開始」
そう呟き俺はすべての工程をすべからく完了させていき歪な短剣を剣の丘から引きずり上げる。
「――投影完了。是、破戒すべき全ての符」
「むぅ…なんと。話には聞いておったがこれがすべての魔術をリセットする短剣か。魔力が尋常ではない!」
「ええ。ですからこれも口外は避けてもらっているんです。こんなものが作り出せる俺はまずこの世界でも実験材料に使われる可能性が高いと聞いていますから」
「そうじゃの…」
「それよりアーニャ…君の母親はどれだね? まず君から願いを叶えてあげよう」
「別にいいのに…でも、ありがとうシロウさん!」
アーニャに案内された場所には一人のアーニャに似た女性が石化されて立たされていた。
「この人か。よし…みなさんは少し下がっていてください。まずは突いてみます」
そして俺は女性に破戒すべき全ての符を突きつけた。
途端、俺の体になにかが逆流してくる感じがしてすぐに離した。
そこで見たがやはり悪魔の石化は強力…どうやらさっきのは弾かれた反動だったのだろう。
破戒すべき全ての符ですら弾くとはすごいな。
だが…調子に乗るなよ。
俺は再度神経を集中させた。
魔力は喰われるが一時的なものだ。救えるなら何度でも唱えてやろう!
「“破戒すべき全ての符”!!」
真名を開放した途端、光が溢れ女性の石化された全身がまるで砕けるように吹き飛びその場にはもとの姿を取り戻したアーニャの母が横たわった。
アーニャは石化が解けた途端にすぐに駆け寄った。
「お母さん! お母さん!!」
「………」
だが、母親から返事は返ってこない。
そこで俺はまた遠坂の講座を思い出した。
『いい、士郎? 石化された人間は運良く解呪できてもすぐに解くならともかく早くて一年…遅くて三、四年は目を覚まさないわ。
期間もそれに関係してくるから破戒すべき全ての符を使う際はここだけは覚えておきなさい。焦ってもことはすぐに解決するわけじゃないんだから』
…本当に教わっておいてよかった。やはりお前は最高の魔術師だったよ遠坂…。
だから俺も遠坂の言葉を借りることにした。
「大丈夫だアーニャ。石化の期間が長ければ長いほど目を覚ますのも期間が必要だが、いつかきっと目を覚ましてくれる」
「ほん、と…?」
「士郎殿の言う通りじゃ…しかしまさか本当にやってくださったとは…感謝するぞ」
「ええ…私も心より感謝します」
「僕もだよ…ありがとう士郎」
「いや、感謝されるにはまだここにいるすべての人を解いた後でも構いません、それに俺の自己満足でしていることですから」
それだけ伝えて俺は何度も真名を解放しては人々を石化から解いていった。
だが半分くらい解呪して魔力もなくなってきて真名も言い続けた反動で激しい頭痛と眩暈が襲ってきて俺は地面に思いっきり倒れてしまった。
みんなは急いで駆け寄ってくるが、俺は手で静止して震える手で起き上がり再度、破戒すべき全ての符を構えるがどうやら魔力の限界は近いらしくもう力が入ってこない。
ここまで、なのか…。
だがそこで頭に直で姉さんの声が聞こえてきた。
《まったく…少し見ていたけどもう我慢ならないわ。シロウ、私の魔力も使いなさい! ここまでやったんだから全員救うのよ!》
「姉さん…感謝する」
「今の声は…イリヤ君かい?」
《そうよ、タカミチ。私達魔術師はパスさえ繋いでいれば魔力を分け与える事が出来る。だから存分に持っていって、シロウ!》
「ああ!」
そして姉さんの魔力が俺の体を満たしていくことを感じつつ、もう効率は悪い方法はやめた。
「――――投影開始。工程完了。全投影、待機」
設計図に残り人数分の数、破戒すべき全ての符を作り出し、
「―――I am the bone of my sword―――……停止解凍!」
瞬間、俺の頭上に複数の破戒すべき全ての符が浮かびがった。
それにさすがのみんなも驚きの表情をしていた。
だが、今は構っていられない。
ランサー戦に続いてまた魔術回路が悲鳴を上げだす。
だがこの程度、死ぬよりはまだマシだ!
「全投影連続層写!!」
俺の命令に忠実に従って短剣達はまだ石化している人達全員に突き刺さった。
そして俺の新しい呪文。
「開放されし幻想!!」
その効果は『壊れた幻想』のように破壊ではなくその宝具の力を最大限解放するもの。魔力も馬鹿にならないほど使うが一々真名を開放するよりは効率はいい。
そして、それによってすべての人々は石化から開放され地面に横たわっていた。
とうの俺も魔力はまだ残っているが、回路がちらほら焼きついている感覚を覚え、激しい頭痛に襲われ意識は暗くなった。
だが、その際に姉さんの笑顔が一瞬垣間見えたので俺は安心して眠りについた。
◆◇―――――――――◇◆
…しばらく眠りについていたらしく見ると外はすっかり暗くなっていた。
タカミチが言うにはゲートが開くのは朝方だというからちょうどいい時間帯だっただろう。
そして見ると俺が寝ていた部屋にはタカミチが椅子にもたれ掛かりながら眠っていてネカネさんとアーニャは俺の看病をしていたらしく俺の布団の上で一緒に眠りについていた。
それで二人の頭を優しく撫でてやるとネカネさんが起きたらしく俺にいきなり抱きついてきた。
……はい? なんでさ!?
「ありがとうございます! ありがとうございます!」
「い、いや一回落ち着こうネカネさん…アーニャやタカミチも起きてしまう…!」
ネカネさんは気づいてないらしいが俺の顔を自分の胸に押し付けているのだ。
俺は大人の態度で接しているが内心かなりやばい。
しかし俺の声が届いていないのかネカネさんは嬉し涙を流していて話を聞いちゃいない。
そこでやはり二人は起きてしまい、アーニャは顔を真っ赤にしてタカミチも心持ち頬を赤らめている。
…色々な意味で俺は悲しくなった。
魔術回路(神経)が焼き焦げていてまだ鞘が修復中なため、動かせないこの体は自業自得といってしまえばしかたがないが今は憎い…。
しばらくしてメルディアナ学園長がやってきてネカネさんを落ち着かせた。
それで先ほどまでの自分のしていた事を思い出して顔を盛大に赤くしてネカネさんは俯いてしまっていた…。
「ほっほっほ、若いというのはいいの。それで士郎殿、体は動きそうかね?」
「今はまだ駄目ですね。普通なら全身麻痺で一生動かせないようなことをしていましたから…」
「やはりな…宝具をああも連続で酷使したのだから廃人にならなかっただけよかったの」
それにやっと俺の体の異常を知った三人は切迫した顔になり俺の体を気遣って、そして怒ってくれた。
「…聖剣の鞘に魔力を流して今現在神経を修復中ですから朝までには完治させますよ」
「よかったよ。せっかく村の人々が助かったというのに士郎が代わりに死ぬなんて事があったら顔向けできない…」
「そうですよシロウさん! もっと自分を労わってください!」
「そうよ!」
「すまない…」
「しかし、君の体には彼のアーサー王の失われた鞘が埋め込まれているとは凄い話じゃの」
「ええ、まぁ…それで今、解かれた人々はどうしていますか?」
「あまりに機密な話だから今はワシの信頼できる部下達だけに情報を知らせてベッドを手配させていつ目覚めてもいいように緊急の措置魔法も構築中じゃ。だからまだあの地下室に全員寝かしてある」
「そうですか…それできっと今その話を世間に出すと混乱しますから…」
「士郎殿の言いたいことはわかっておる。ネギにはもちろん関係者にも当分は隠すつもりじゃ。もちろん解いた方法なども伏せての」
「それを聞いて安心しました。あちらの学園長ではすぐに話してしまいそうで怖いですから…」
「ははは…確かに否定できないね。それで士郎、朝には治るといっていたけどそれまでに動けるかい? 予定の時間は迫っているけど…」
「なにかつっかえ棒があれば…」
「わかった。その程度なら僕が肩を持ってあげるよ」
「すまないな…」
「なに、士郎なら軽いものだよ」
それから朝までネカネさんやアーニャが積極的に面倒を見てくれたので俺は回復に専念することができた。
だが、なぜだろう? ギンノアクマがとてもお怒りになられている感じがひしひしと伝わってくる。
もしかしたら気絶する前に見た笑顔は怒っていた笑顔だったのかもしれない。
…これは帰った早々ガンドをもらうかもしれないな…。
そして朝になり俺はタカミチに支えられながら三人に送られて魔法世界へと旅立った。
後書き
原作ではこのかがいつ解いたかはわかりませんが、もう石化を解除しました。
次回、ネカネに異変がッ!
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