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銀河転生伝説

作者:使徒
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第11話 カストロプ動乱

銀河帝国の名門カストロプ公爵家。
先の財務尚書であったカストロプ公オイゲンはその職権を乱用して私腹を肥やし、様々な者たちから恨みを買っていた。

そのカストロプ公が宇宙船の事故で死去し、帝国政府はその不正に得た資産の返還を求めたが、カストロプ公の嫡男マクシミリアンはこれに反発。
その財力を背景にして反乱を企てた。

そこで、帝国軍上層部よりアドルフ・フォン・ハプスブルク大将にマクシミリアンの討伐命令が下った。

これは、ある情報筋からカストロプに『アルテミスの首飾りが』配備されていることを知ったブラウンシュヴァイク公やリッテンハイム侯が圧力を掛けたことが原因の一つである。

アルテミスの首飾り……それは自由惑星同盟の首都星ハイネセンの軌道上にも配備されている12個の防衛人工衛星からなる全自動防衛人工軍事衛星群の総称である。
レーザー砲、荷粒子ビーム砲、レーザー水爆ミサイルといったありとあらゆる兵器で360度全方向に対して攻撃能力を有し、表面には準完全鏡面装甲が施してある。
そのうえ、動力は太陽光によって半永久的に持続することができる。
まさに、究極の防衛システムと言っても過言ではないだろう。

ブラウンシュヴァイク公とリッテンハイム候の目論見は、この『アルテミスの首飾り』によって現皇帝フリードリヒ4世の死後、自分の娘の皇位継承に際する強力なライバルであるハプスブルク公を戦死させようというものであった。

もっとも、ハプスブルク公が討伐を任せられたのはそれだけが理由ではなく、当のハプスブルク公自身が真っ先に名乗りを上げた事も大きく関係している。

原作知識のあるハプスブルク公にとってはアルテミスの首飾りなど脅威でも何でもなく、手柄を立てる機会でしかない。
ましてや、彼は大将。
ここで反乱を鎮圧すれば上級大将への昇進は確実であり(第四次ティアマト会戦ではそこそこの戦果を上げたが昇進はしていない)、他の人間に譲ってやる気はさらさら無かった。
その点で言えば、むしろ彼はブラウンシュヴァイク公やリッテンハイム候のこの策謀に感謝すらしていた。

いずれにせよ、双方の思惑通りハプスブルク公は1個艦隊15000隻を率いて討伐に向かったのである。


* * *


<アドルフ>

「ラインハルト・フォン・ローエングラム上級大将率いる遠征軍はアスターテ星域における会戦で反乱軍に大勝したようです」

「ほう、戦果は?」

「報告によりますと、敵2個艦隊を壊滅させ残る1個艦隊にも打撃を与えたとのことです」

「ラインハルト艦隊の損害は?」

「詳しい数値は分かりませんが、損害は軽微とのことです」

「将官の戦死は?」

「ありません」

エルラッハは死ななかったか。
原作……つーかOVAのあいつ意味不明なんだよな。
反転迎撃しようとしたのはもちろんのこと、たかだか1艦で反転して何がしたかったのか? 何を出来ると思ったのか?
ホント謎だわ~。

まあ、アスターテはほぼ原作準拠ってところか。
なら特に問題はないな。

ラインハルトが元帥になるのは忌々しいことだが、バタフライ効果で先が分からなくなるのも困る。
最低でもリップシュタットまではある程度原作準拠で行ってもらわないと。

もちろん、原作から既に乖離している部分も多くある。
俺の横に立っている2人の参謀がまさにそれだな。

ハンス・エドアルド・ベルゲングリューン大佐
フォルカー・アクセル・フォン・ビューロー大佐

メックリンガーが昇進して中将になったため、代わりにこの2人が配属されてきた。
原作でキルヒアイスの下に配属された時期を考えれば、俺のところに来ても不思議じゃない。

また、メックリンガー、ミュラー、シュタインメッツの3人も既にこちら側に取り込んである。
この中で、本来なら一番先にラインハルトにスカウトされるのはメックリンガーだが、ラインハルトの危険性については十分に教えてあるし、昇進祝いに家の蔵で埃を被っていた高そうな芸術品をいくつか進呈したりと賄賂も送っている。
それに、俺が実家に飾られていた芸術品などを博物館に無償提供したことも耳に入っていて、俺への好感度がうpしてるかもしれん。

廊下に高価な壺とか絶対誰か割るだろ。
というか俺も既に5、6個……(ry
それに使用人が誤って割ってしまったら可哀想だろ……ということで廊下にある壺は全部撤去。
物置か博物館行きとなった。

前世が庶民な俺には芸術品なんて高かろうが安かろうが金に変えないならただの物でしかないし、その金額も領地経営が順調で莫大な資産のある俺にとってみれば雀の涙みたいなもんだ。
なら、家にあっても邪魔なだけなんだよね。

そんなわけで、メックリンガーはラインハルトからスカウトされても辞退するだろう。
第四次ティアマトで俺の参謀長になって接点が無かったから、そもそも声すら掛らん可能性もあるし。

うん、なんか気分が良くなってきた。

「こんな任務ばかりなら楽でいいんだけどな~。そうは思わないか? ベルゲングリューン」

「しかし閣下、あのアルテミスの首飾りは脅威ですぞ」

「アルテミスの首飾り自体は別に大した問題じゃあないさ。そもそも、ハードウェアに頼って戦争に勝ったためしなんて無いしな。て言うか、処女神《アルテミス》なんて完全に行き遅れのババァじゃねぇかwww 何万年純潔守ってんだよw 貰い手がいなかったんだな、可哀想に」

「…………」

ってコラ、ベルゲングリューン。
可哀想な人を見る目で俺を見るな。

「間もなくカストロプ星系に入ります」

あ?
もう着いたのか。

「敵ラパード星の衛星軌道上に戦闘衛星」

「よし、はるばる持ってきた氷の塊をあの軍事衛星に叩きつけてやれ」

バサード・ラム・ジェット・エンジンを装着した巨大な12個の氷塊がアルテミスの首飾り目掛けて突っ込んで行く。
アルテミスの首飾りは迎撃を開始するが、光速に近い速度まで加速し、相対性理論に添って重量を増した氷塊を止める術は無い。
12基の軍事衛星は一瞬にして破壊され、ただのゴミとなり果てた。

敵味方、双方があまりの出来ごとに唖然とする。

「敵に通信を繋げ」

「はっ、直ちに」

『私は、帝国軍大将のアドルフ・フォン・ハプスブルクだ。見ての通り、アルテミスの首飾りは破壊した。この上は無益な抵抗を止め、降伏することを勧める』

その瞬間、ブチッと通信が切れた。

「やれやれ、予想通りだな」

「しかし、あの様子だと楽にはいきませんかな?」

「いや、案外楽に済むと思うね。あの男に人望があるとは思えませんから」

・・・・・

「ラパード星より通信、『我々は悪虐な支配者から解放された』とのことです」

やはり、マクシミリアンは部下に殺されたか。
人望の無いやつはこうなると惨めだねぇ……いったん劣勢になると非常に脆い。

「ベルゲングリューン、上陸部隊を指揮せよ。それと、略奪・暴行の禁止を全軍に徹底させ、破る者は極刑に処すことを通達せよ」

「はっ!」


こうして、カストロプ動乱は俺の活躍(?)によって鎮圧された。
僅か2日の、それも無血占領だった。


* * *


俺はマクシミリアン・フォン・カストロプによる反乱を鎮圧した功績で『双頭鷲武勲章』を授与され、上級大将に昇進。
しかも、新型艦をくれるらしい。

……って、バルバロッサじゃねぇか!!

キルヒアイスじゃなくて俺にきたのか?
しかも艦長がアレクサンデル・バルトハウザー大佐。

で、また新たにレオポルド・シューマッハ大佐、ホルスト・ジンツァー大佐の2人の参謀が俺の下へ配属されてきた。
まあ、シューマッハは俺が引き抜いたんだがね。
ジンツァーは完全に棚ボタのラッキーだが。

それと、ミュラーとシュタインメッツが少将に昇進して分艦隊司令官になり、ヘルムート・レンネンカンプ少将とエルンスト・フォン・アイゼナッハ少将を分艦隊司令官として抜擢することに成功。
フォーゲル、エルラッハ、シュムーデ、ソーディンの4人の提督も俺の派閥に取り込んである。
ファーレンハイトとも接触中だ。
俺の地盤は着々と固められてきているな。
ラインハルトを打ち倒し、安泰な生活を手に入れられるのも、そう遠いことでは無いだろう。


追伸
某メーカーの新作エロゲの初回版(初回特典として抱き枕付き)を入手することにも成功した。
 
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