デジモンアドベンチャー Miracle Light
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クリスマス
前書き
久々に書くから抑えが利かないかもしれない
少し早いけどメリークリスマス
ベリアルヴァンデモンへの蹂躙劇から十数年の年月が過ぎ、かつての選ばれし子供達も大人となり、結婚し、幸せな家庭を築いていた。
そして今日はクリスマス。
子供達にとって最高の一日となる日であり、それはかつての選ばれし子供のリーダーであった大輔の息子と娘も例外ではなかった。
「はーい、クリスマスプレゼントよ」
大輔の妻であるヒカリが幼い娘に大きめの箱を差し出して中身を開ける。
「わ~っ!!」
中身を見た娘の目が光り輝く。
何せこれは母親から昔話を聞いてずっと欲しいと思っていた物だからだ。
「お母さんお手製・チビモンぬいぐるみ!!」
「チビモンだあっ!!」
「ブフォオオオオッ!!?」
「うわっ!?汚ぇっ!?おい、ハツカネズミモン!!子供の前で水鉄砲するな!真似したらどうする!!」
箱から飛び出した巨大なチビモンぬいぐるみにヒカリのパートナーデジモンがジュースを水鉄砲し、大輔のパートナーデジモンであるブイモンが顔を顰めた。
「黙りなさい!ヒカリ、どうしてこんなアホ犬の幼年期のぬいぐるみなの!?普通は私のぬいぐるみをやらない!?」
「えー?だってこの子がチビモンぬいぐるみが欲しいって言うんだし…」
「んなぁ!?」
「フッ…我が幼年期の姿ながら…あまりの子供達からの人気ぶりに眩暈を感じるな……」
ドヤ顔を浮かべてテイルモンを見遣るブイモンにテイルモンは青筋を浮かべて娘に詰め寄る。
「ねえ!あんなアホ犬幼年期のチビモンより私の方が良いわよね!?ねっ!?ねっ!!?だから代わりに私が用意したテイルモンぬいぐるみを…」
「チ、チビモンのぬいぐるみが良いんだもん…っ」
チビモンぬいぐるみを奪われると思ったのか大粒の涙を溢しながらギュッとぬいぐるみにしがみつく娘を見たテイルモン以外の全員からテイルモンは冷たい目で見られた。
「あーあー、泣いちゃったよお前最低だなー」
「テイルモン、プレゼントってのは無理矢理押し付けるもんじゃないだろうが」
ブイモンと大輔が冷たい目で言い放つ。
「テイルモン、後でお説教だからね」
満面の怖い笑みを浮かべるヒカリ。
テイルモンにとって最悪のクリスマスとなった。
そして恐ろしい説教を受けたテイルモンはぐったりとした様子で、デジタルワールドから現実世界にまで進出した甘味喫茶店(一応普通の料理も出ます)の“喫茶店・BLACK DRAGON”に訪れた。
元々この店はハニービーモンが経営していた“喫茶店・MITSUBACHI”が前身なのだが、後継者にするつもりで拾ったダークタワーデジモンのブラックウォーグレイモンが引退して一乗寺家のベビーシッターに転職したハニービーモンの代わりに店長となった際にこの店名に改名されたのである。
因みに現在ハニービーモンは一乗寺家の子供達にデレデレであるのは言うまでもない。
「………ふう」
そしてクリスマスであるにも関わらず、店長であるブラックウォーグレイモンは溜め息を吐きながらクリスマスパンケーキを焼いていた。
特製の生クリームと新鮮な果物をふんだんに使い、そしてチョコレートソースをかけたとても視覚的にも味覚的にも美味しそうなクリスマス仕様のパンケーキ。
しかも甘いものが苦手な人のことも考えているのか、クリームとチョコレートソースの甘さは控えめで、ケーキの生地にはコーヒーを利用している為に甘いものが苦手な人でも無理なく食べられるようにしている。
因みにクリームとチョコレートソースの量やデコレーションは事前に伝えればそのようにしてくれるのでこの喫茶店にはかなりのお客様がやってくる。
特にクリスマスや子供達の誕生日には対応が大変な位のお客様がやってくるレベルだ。
しかし、今日はある客が来たせいで客が少ない。
「うおおおおおおおんっ!!何でっ!?何でなのよぉおおおっ!!?何であんなアホ犬幼年期のぬいぐるみが私のぬいぐるみより子供受けするのよおっ!!?」
「そんなことを俺に言われても困るのだが…まあ、これでも食べて落ち着け」
ブラックウォーグレイモンがクリスマスパンケーキとカフェラテを出すと大泣きしながらテイルモンがやけ食いを始める。
「うう…美味しい…と言うかあいつずるいのよ!あいつが子供達を独占するから子供達はあいつにばかりに懐いて…あいつは…あいつは表面上は気さくな良い奴に見えてもその本性は餡まんの餡ようにお腹の中がどす黒い鬼畜野郎だって言うのにぃっ!!!」
「ここにあいつがいなくて良かったな。ソウルビートからのインファイトを打ち込まれていたぞ」
「他作品ネタ止めなさいよ!前回は不覚を取ったけど…次は私がインファイトぶちかましてやるわ!!」
「そんなことを言って…殆ど敗北しているだろう?この前など落とし穴に落とされて敗北したと聞いているぞ…そんな罠に引っ掛かり、敗北する時点で勝ち目はないと思うが」
「ふぬうっ!?」
ブラックウォーグレイモンの言葉に呻くテイルモン。
しかしテイルモンはあることを閃いた。
「………ん?そうだわぁ…実力で殺れないなら搦め手を使えばいいのよ…フフフフフ…」
「…………」
目を血走らせて笑うテイルモンを見て、“あ、これ絶対に碌でもないこと考えている顔だ”とブラックウォーグレイモンは理解する。
「(……まあ、結果は分かりきっていることだな)」
然り気無く酷いブラックウォーグレイモンであった。
そして近くで感じるどす黒い気配を感じながら溜め息を吐いた。
しばらくしてテイルモンは帰宅し、ある物をブイモンに差し出す。
「………何だよ?」
「あんたへのクリスマスプレゼントよ。有り難く受け取りなさい」
ラッピングされた箱を受け取り、包装紙を破いて中身を確認すると喫茶店・BLACK DRAGONのクリスマスパンケーキであった。
「……これは…」
「喫茶店・BLACK DRAGONのクリスマス仕様のパンケーキよ。私に感謝しながら食べなさい」
「ほーほー、腹壊し薬入りのなぁ」
「んなぁ!?むぐっ!?」
ブイモンへの復讐のために仕込んだ結構ヤバめの薬を仕込んでいたことを知られていたことに驚愕するテイルモンの口にパンケーキを押し込められ、それを飲み込んでしまう…次の瞬間。
「あがががが…」
腹を押さえて悶絶するテイルモン。
それを黒笑しながら見下すブイモン。
「残念だったなテイルモン。俺はお前のやろうとしていることなんてお見通しなんだよ。お前が出掛けるのを見て追いかけてたんだ。そして喫茶店では天井に張り付きながらお前達の会話を聞いてたんだよ」
「あんたは、忍者か……っ!」
「お前如きが俺に一服盛ろうなんて百年早いんだよ馬~鹿」
無駄に高い隠密スキルの無駄遣いにテイルモンは歯軋りする。
「くううう…私が…あんたなんかに、この…私があああぁ…っ!!おのれ…おのれおのれおのれおのれぇえええ……っ!!」
「さーて、俺からの素敵なクリスマスプレゼントと行こうか?」
黒笑を浮かべ、拳を鳴らしながら近付くブイモンにテイルモンは無念そうに目を閉じた。
「(許して…私の可愛い天使達…)」
数秒後にテイルモンの悲鳴と鈍い打撃音が響き渡ったが、子供達は怯えるどころか何時も通りの光景に楽しそうに笑っていたのであった。
「「(将来大物になるだろうなぁ…)」」
薬を盛って謀ろうとしたテイルモンの上を行き、圧倒的な力で捩じ伏せる光景を笑って見ている我が子達の図太さに親となった大輔とヒカリは親馬鹿な感想を抱くのであった。
メリークリスマス☆
HAPPY☆END♪
「HAPPY☆END♪じゃな…げぼおっ!!」
「HAHAHAHA!黙れアホネズミ。それじゃあ、みんなも良いデジモンクリスマス☆ライフを~♪」
【良いデジモンクリスマス☆ライフを~!!】
ブイモンに足蹴にされたテイルモンを除いた全員での締めの挨拶。
以上、本宮家のクリスマスでした。
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