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レーヴァティン

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第百三十話 北九州攻めその八

「その実はだ」
「とんでもないおっさんやったな」
「色々な作家がいるが」
「やらかしたことでは最悪やろな」
「脚気のことはな、夏目漱石も問題だったが」 
 今で言うDV夫であり子供に対してもヒステリックにステッキで打ち据える等かなりの暴力行為も行なっている。
「しかしだ」
「そのレベルちゃうな」
「漱石は人は死なせていない」
「そうした立場にもおらんかったしな」
「それを考えるとな」
「漱石の方がましやな」
「確かに問題はあったが」
 それでもというのだ。
「人を死なせていない」
「そのことは大きいな」
「下手をすれば戦局にも関わっていたしな」
「日清戦争でも日露戦争でもな」
「それだけ脚気患者が多かった」
 軍だけでなく日本全体で深刻な問題になっていたのだ。
「そうだったからな」
「ほんまな」
「そこまで考えるとな」
「日本を負けさせたかも知れんし」
「責任は重大だ」
 森林太郎、彼の軍医としてのそれはというのだ。
「それも極めてな」
「全く以てやな」
「そこまで考えるとな」
「あの人はやな」
「作品はともかくな」
「人間、医師としてはやな」
「嫌いになる」
 そうならざるを得ないというのだ。
「正直あの様な人間とは思わなかった」
「偉人といえどです」
 紅葉も言ってきた。
「その功績がどうかであり」
「人間性はか」
「はい、それは」
 このことはというのだ。
「実はです」
「二の次か」
「ニュートンも」
 紅葉はこの偉大な学者の名前も出した。
「その人間性は」
「よくなかったな」
「嫌いな相手の業績を歴史上から抹殺しようとしたので」
「私怨でだな」
「そこから見ますと」
「お世辞にもだな」
「立派な人だったとはです」
 そうとは、というのだ。
「言えないかと」
「業績は偉大でもな」
「人間性は別です」
「まあニュートンは人間として屑やったな」
 耕平もこう言った。
「どう見ても」
「そうなるな」
「森鴎外さんもな」
「人間としてはだな」
「あかんわ、それで鴎外さんが頑として認めんかったが」
「麦飯はな」
「実際身体にええ」
 このことは事実だというのだ。
「それでや」
「今こうして食うことはだな」
「ええことや、山芋もあるしな」
「いや、山芋の味付けのお味噌ですが」
 紅葉はこちらの味も楽しみつつ話した。
「こちらもです」
「いい味だな」
「はい」
 まさにと言うのだった。
 
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