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レーヴァティン

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第百二十九話 博多から福岡へその一

               第百二十九話  博多から福岡へ
 英雄は十二人の仲間達と共に十六万の大軍をそれぞれの船に乗せ萩を発った、そうしてそこから博多を目指すが。
 英雄は波を見てこんなことを言った。
「穏やかでしかもな」
「風は我の背に当たっている」
「そうだな」
「これならだ」
 まさにというのだ。
「速く進める」
「そうだな、いいことだ」
「むしろだ」
 それこそというのだ。
「下関から攻めるよりもな」
「今はな」
「いいな」
「そうだな、今下関はな」
 こちらの湖はというのだ。
「荒れているからな」
「港も船も揺れている」
「風も乱れていた」
「そうした有様ではな」
「攻める拠点としてはどうかと思ってだ」
 それでというのだ。
「避けたがな」
「それがよかったな」
「そうだな、距離はそれだけで重要だ」
「近いならだ」
 まさにそれだけでとだ、幸正は言った。
「それだけでだ」
「大きい」
「そうだな」
「巨大な国はその国土だけで武器になる」
 所謂空間要塞という、敵の本拠地が遠ければ遠いだけそれが防御になるのだ。このことはナポレオン戦役や第二次世界大戦でロシアそしてソ連が証明したことだ。
「だが攻める場所が目と鼻の先なら」
「それだけでな」
「攻める方にとっては大きな利点だ」
「下関と博多はすぐそこだ」
 湖を挟んでだ。
「この浮島でもな」
「俺達の世界と同じくな」
「だが、だな」
「その場所が荒れていてはな」
「他の場所となってな」
「この浮島の萩は良港にも恵まれている」
 それだけにというのだ。
「丁度よかった」
「大軍を置くことにな」
「博多から離れていたが」
 目と鼻の場所にある下関と比べてだ。
「そうだったが」
「それでもだな」
「使える場所だからそこから攻めたが」
 それでもというのだ。
「まさか波が静かでな」
「しかも風も追い風だ」
「これは運がいい、ならだ」
「その運をだな」
「使わせてもらう、幸運は使い」
 英雄は幸正に強い声で話した。
「不運は跳ね返す」
「そうしていくな」
「そしてだ」
「戦に勝つ」
「そうしていく、では博多から見て真北からだ」
「攻めるな」
「上陸してな、博多と太宰府を手に入れ」
 英雄はさらに話した。
「その後でだ」
「福岡城だな」
「あの城も手に入れる、あの城が今の敵の拠点らしいが」
 その一帯を守る為のそれだというのだ。
「だが、だ」
「その福岡城もだな」
「攻めてだ」
 そのうえでというのだ。 
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