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レーヴァティン

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第百二十八話 博多からその十二

「一秒一秒ごとにのう」
「そうなっているか」
「まっこと凄い勢いでぜよ」
「それでは明日はだな」
「いい戦が出来るぜよ」
 当季はこうも言った。
「楽しみぜよ」
「そうか、ではな」
「明日からの戦存分に暴れるぜよ」
「お前自身が戦ってだな」
「采配もぜよ」
 軍勢を率いてのこちらでもというのだ。
「暴れるぜよ」
「俺もだ、九州を制すればな」
「浮島の西は全て掌握したぜよ」
「そうなるからな」
「だからじゃのう」
「九州もな」
 この地域もというのだ、この浮島の。
「攻めていく」
「ほなのう」
「そしてだが」
 英雄はさらに話した。
「もうその干し飯も武具も用意してある」
「だからじゃな」
「明日になればな」
「船に乗り込んで」
「そうしてだ」
 そのうえでというのだ。
「すぐに出陣だ」
「萩から博多までのう」
「一旦下関に入るかも知れないが」
 それでもというのだ。
「そこからだ」
「あらためてじゃな」
「そしてだ」
 そのうえでというのだ。
「そこからさらに攻める」
「ほなぜよ」
「そしてだ」
 英雄はさらに話した。
「下関の方だが」
「そっちじゃな」
「船だとすぐだ」
 これならというのだ。
「本来ならあの場に拠点を置きたかったが」
「湖が荒れてたぜよ」
「だからだ」
 残念な口調でだった、英雄は話した。
「萩になった」
「そうじゃったな」
「だがそれもだ」 
 萩に拠点を置いたこともというのだ。
「考えていたしな」
「だからじゃな」
「下関から攻めるよりも時間はかかるが」
 萩は下関の様に九州の目と鼻の先にはない、長門の方にある下関からわりかし離れた場所にある街だ。
 そこにいてだ、英雄は言うのだ。
「今はここは波も穏やかでな」
「船を停まらせておいてのう」
「港で傷まない」
「だからじゃな」
「ここからだ」
 この萩からだというのだ。
「攻める」
「わかったぜよ」
「それではな」
「若し下関が静かならどうしたぜよ」
「当然下関に入っていた」
 これが英雄の返事だった。
「まさに九州から目と鼻の先だからな」
「それでじゃな」
「あそこに船と大軍を置いてな」
 今萩にそうしている様にというのだ。
「攻めていたが」
「そうじゃな」
「しかし今下関は波が高い」
「下関と博多の間ものう」
「そこが気になってな」
「萩にじゃな」
「拠点を置いた、それでだ」
 萩から船を出してというのだ。
「そこから真北からだ」
「博多を攻めるのう」
「そうする、ではな」
 下関からなら博多の北東からそれを攻める、それがというのだ。
 だがそれでもとだ、英雄は言うのだった。
「明日の朝からだ」
「戦ぜよ」
「そうする」
 こう言ってだった、そのうえで。
 英雄は今は風呂に入り酒の酔いを醒ました、そうしつつ次の日の戦に心を向けるのだった。


第百二十八話   完


                  2019・9・1 
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