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ある晴れた日に

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729部分:ある晴れた日にその三


ある晴れた日にその三

「そうだろ?」
「それはそうだけれど」
「何ていうか」
「しかし」
 それでもであった。彼等はさらに言うのだった。
 そうしてだ。さらに話されていく。ただし話は変わってきていた。
「あいつも正式に逮捕されたし」
「親子共々ね」
 加山と千佳が話していた。吉見親子のことだ。
「麻薬に拉致に監禁に虐待に器物破損だからね」
「父親も凄かったわよね」
 千佳はあの父親についても話した。
「完全に犯罪者だったのね」
「過激派とつながっていて」
「武器や麻薬の密輸にも関わっていて」
「あのテロ国家とのつながりもあったし」
 次から次に疑惑が真実になってきていたのである。灰色を通り越して暗黒の有様であった。今や吉見親子は日本の『悪』そのものだった。
「あんな奴だったんだな」
「全くね」
「あんな奴に未晴が」
 そのことを思うといたたまれない気持ちになる一同だった。未晴のことを思ってだ。
「けれど天罰だよな」
「そうよね」
「それはな」
 しかしであった。同時にこうも思うのだった。
「完全に捕まって」
「それで終わりか」
「死刑かしら」
 凛がふと言った。今も明日夢に身体を絡めさせている。本当にこの二人の仲のよさは学年が進級してもそのままであった。まさにずっとである。
「やっぱり」
「殺人はしてたのかな」
 凛の言葉に応えて桐生が言った。
「それはどうかな」
「怪しいみたいだよ」
 それに竹山が答えた。
「まだ公には出ていないけれどね」
「それもしていたんだ」
「うん、特に父親の方がね」
 そちらであった。
「自分の関わっていた事件を揉み消す為にね。記者を何人か本当に裏社会に頼んで消したらしいし」
「おい・・・・・・」
「マジ?それ」
「何だよ、そりゃ」
 皆竹山のその話に真っ青になった。
「本物の犯罪者っていうか」
「邪悪っていうの?それって」
「刑事ドラマじゃないんだけれど」
「息子だってね」
 竹山は彼の話もするのだった。
「行方不明になっている女の子がいるらしくて」
「じゃあそれも」
「まさか」
「山に埋めてあるのか。若しくは他の方法で隠したか」
 どちらにしろとんでもない話であった。
「しているらしいよ」
「じゃあ本当に」
「死刑?」
「だよな」
「絶対にね」
 人を殺せば死刑になる。少なくとも常識で考えればそうである。その考えは漠然としたところはあるがそれでも彼等も頭の中にあることだった。
「絶対になってもらわないとな」
「あんな奴は」
「未晴の為にも」
 真剣な顔で俯き気味に話すのだった。それが今の彼等の願いであった。
 
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