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ある晴れた日に

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728部分:ある晴れた日にその二


ある晴れた日にその二

「ちゃんとね」
「だといいけれどな」
「それだとな」
「まあお菓子は食べてるけれど」
 それは静華もだった。
「お酒だって飲んでるし」
「やっぱ駄目じゃねえか」
「なあ」
 四人はそれを聞いて言うのだった。一年の時と同じで皆咲の机を軸にしてそのうえでそれぞれ円になっている。本当に何もかも同じであった。
 そうしてだった。その中で話すのだった。
「まあ俺達も菓子に酒はよくやってるしな」
「油断するとすぐにだからな」
「それはな」
 これについては四人も同じであった。
「人のこと言うにはちょっとな」
「油断できないからな」
「しかし野本はな」
 その彼の話になった。チェ=ゲバラのシャツが透けるピンク色のブラウスに紫の水玉のネクタイに黄色いブレザーである。そしてズボンは白である。何もかもが滅茶苦茶である。
「何処をどうやったらそんなセンスになるんだよ」
「高橋留美子の漫画か?」
「あの趣味の悪い状態な」
 漫画に例えられる始末であった。
「それみたいなんだけれどな」
「洒落にならないっていうかな」
「センス悪過ぎだろ」
「天才のセンスは理解されにくいんだよ」
 しかも本人はこんな態度だった。
「俺のこのセンスはな」
「いや、それは違うと思うよ」
 彼のその横から従兄弟が言ってきた。
「やっぱりね」
「おい、御前までそう言うのかよ」
「悪いけれどね」
 まさにそうだというのだ。
「無茶苦茶だと思うよ」
「血で俺のセンスがわからないのか?」
「相変わらず馬鹿だなこいつ」
「全くだな」
 今の野本には誰もが呆れていた。
「どういう頭の構造してるんだよ」
「全く」
「しかも」
 さらにであった。言われ続ける。
「よくそれで進級できたな」
「赤点だらけだったんでしょ?」
「よくそれで」
「ああ、何とかな」
 本人の言葉である。
「いけたよ」
「じゃあよかったじゃない」
「運がよかったな」
「全く」
「俺の進級は運かよ」
 流石にこう言われては彼もはいそうですかというわけにはいかなかった。感情的にである。
「あのな、それはな」
「違うって?」
「実際赤点幾つだったんだよ」
「全教科だよ」
 ある意味凄い話である。
「全教科だったけれどな」
「よくそれで本当に進級できたな」
「三年の時も卒業もこんなのかしら」
「無遅刻無欠席無早退だったんだよ」
 このことは胸を張って言うのだった。
「それはな」
「つまり馬鹿は風邪ひかない」
「丈夫だってこと」
「それなのね」
「俺は昔から風邪とか怪我とかとは全然無縁なんだよ」
 やはり胸を張っていた。
「全然な」
「まあ馬鹿だから」
「それも当然だな」
「そうよね」
「いいじゃねえかよ。皆一緒のクラスだしな」
 こういうことにしようとするのだった。
 
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