ある晴れた日に
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711部分:冬の嵐は過ぎ去りその十一
冬の嵐は過ぎ去りその十一
「幾ら何でも」
「ちょっとでも時間があれば」
「いや、いいんじゃね?」
春華は明日夢の話に賛成するのだった。
「それで」
「いいっていうのね」
「あんな事件があったしな」
先程のことである。
「今日はもうこれでいいじゃね?」
「じゃあ何時やるんだよ」
野本がその春華に怪訝な顔で尋ねた。
「今日やらないでよ」
「明日やればいいじゃない」
「そういうこと」
彼女だけでなく明日夢も言ってきた。
「明日ね」
「明日って」
「明日に?」
「明日にするのかよ」
皆明日夢と春華の言葉にまずは考える顔になった。
「明日って」
「何でなのよ」
「今日はクリスマスイブ」
明日夢はその彼等に言ってきた。
「そして明日はクリスマスじゃない」
「じゃあクリスマスにパーティーやっても」
「別にいいか」
「そうね」
皆もそれで頷くのだった。
「それじゃあ明日か」
「そうする?」
「プレゼントだけあげてね」
皆それは忘れなかった。忘れる筈はなかった。
そうしてだ。そのうえで皆明日夢と春華の言葉に頷くことにした。そうしてそのうえで皆未晴を病室に送った。
するとである。そこに晴美がいた。彼女は娘を見てすぐに言ってきた。
「未晴、いたの」
「はい、いました」
「何とか」
こう言う彼だった。
「あいつに捕まってましたけれど」
「終わらせてきました」
「あいつってまさか」
それを聞いてであった。晴美の表情が強張った。そのうえで彼等に問うてきた。
「この娘をこうした」
「あいつです」
牧村が答えるのだった。
「あいつでした」
「そうだったの。まさかとは思ったけれど」
「あいつのこと知ってたんですね」
「やっぱり」
「聞いていたわ」
そうだったのである。
「竹山君だったわね」
「僕ですか」
「ええ、そうよ」
彼を見てからまた言うのだった。
「貴方が病室で話していたことがあったじゃない」
「あの時ですか」
「あの時に聞いたのよ」
そうだったというのである。
「私はいつも未晴のところにいるじゃない」
「そして僕達も」
「それで話を聞いたのよ。盗み聞きみたいになったけれど」
「そうだったんですか」
「ええ。それで」
知った訳が今話された。
「わかったのよ」
「でしたか」
「けれど。終わったのね」
ここまで話してだった。急にほっとした顔になってそれからまた話す晴美だった。不安が急に消え去っていくようだった。
「これでもう」
「はい、終わりました」
「本当に」
「よかったわ」
また言う晴美だった。
「未晴はこれでもう誰からも」
「仇も取ったんですよ」
今度は静華が彼女に言ってきた。
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