ある晴れた日に
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710部分:冬の嵐は過ぎ去りその十
冬の嵐は過ぎ去りその十
「何かクリスマスらしいっていうか」
「まあ月並みだけれど」
「確かにね」
もう寒さは気にならなくなっていた。全くである。
そのうえで帰路に着く。病院にだ。
正道はその中で未晴の車椅子を押していた。その中で言うのだった。
「これで全部終わったな」
「そうだね」
その彼に竹山が応えてきた。
「これで本当にね」
「少なくともあいつは終わった」
「中々捕まえられなかったけれどね」
「彼の親父さんも終わりかな」
加山はここで吉見の父についても言及した。
「これで」
「証拠が一つでも出ればそれで終わりよ」
恵美も言ってきた。
「それでね」
「そう、終わりなんだ」
「一つだけで」
「証拠にもよるけれど」
こう五人にも話す恵美だった。
「一つでも見つかったら終わりよ」
「もう未晴は誰にも傷付けられない」
「それに傷付けたそいつも終わったのね」
「完全に」
「そうよ。これで終わりよ」
恵美もまた終わったと話すのだった。
「完全にね」
「ああ、そうね」
茜がここでふと気付いた。そうしてだった。
自分の鞄から何かを出してきた。それは折り畳み式の傘である。赤い色をしたそれを出してきてまた言うのだった。
「はい、これ」
「傘か」
「そうよ、未晴このまま雪にあたったら風邪ひくじゃない」
正道に差し出しての言葉だ。既にもう広げてさえいる。
「だからね」
「そうだったな。傘も」
「私達はいいけれど」
「こいつはそうはいかないな」
「そうだよ。だからね」
こう話す茜だった。
「どうぞ」
「悪いな」
「いいわよ。さて、それじゃあ」
「帰るか」
また帰る話になった。
「今からだ」
「まだパーティーできるか?」
「パーティーって何だ?」
「だからあれだよ」
坂上が野茂に言うのだった。
「病院に帰ってから。皆でな」
「それは無理だろ」
「そうだよな」
佐々と坪本が野茂のその言葉に突っ込みを入れる。
「時間だってぎりぎりだしな」
「それはな」
「ああ、それだったのか」
野茂もそれを聞いて言う。皆ここでこのことを思い出すのだった。
そしてだった。雪の降る中を歩きながらそのうえでその話をするのだった。
「それじゃあ帰ったら」
「どうしようか」
「一体」
「今日は遅いから」
ここで明日夢が言った。
「帰ったらそれで終わりましょう」
「それで終わりなの」
「解散なのね」
「ほっとしたからね」
こう凛と静華にも話す。
「だからこれで終わりにしましょう」
「クリスマスなのに?」
「折角用意したのに」
「そうよね、それは」
「勿体なくない?」
凛と静華に続いて咲と奈々瀬も言う。
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