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悪人達がサキュバスに転生しましたが、容姿が見た事のあるキャラばかりでした

作者:黒の汚水
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もとスパイは、とある眠りの向上を求める姫となる

はあー、永眠できると思ったのに…。
変な爺に転生させられた。
あれはきっと、悪魔に違いない。
スパイだった俺は働いた。
ブラック企業も真っ青になる程、滅茶苦茶働いた。
上層部め。
優秀だからって、こき使いやがって。

「ガルルウウウウっ!」

寝たい。
とにかく寝たい。
死んでもいいから寝たい。
スパイを辞めてもよかったが…。
俺の盗んだ情報のせいで、沢山の人間が死んだ。
だから辞めない。
償いみたいなもんだ。

「バウッ!バウッ!バウッ!」

でも、せめて1日ぐらい休暇が欲しかった。
あの漫画も、もう1度読みたかった。
魔王城でおやすみ。
羨ましい生活をしている姫の話。
そう思ったのが悪かったのか。
転生したら、姫の姿に。
オーロラ・栖夜・リース・カイミーンに。
通称、スヤリス姫。
漫画と違って、眠れない状態だが…。
いや、諦めるな俺。
環境を整えて、良い睡眠生活を手に入れるのだ!

「ワオオオオオーーーーーン!」

そろそろ、現実逃避から戻ろう。
アイズとエヴァンジェリンの3人で、ダンジョンの探索をしていた。
広い上に、魔物の数が多い。
さっきから、炎を吐く黒い毛並みの大型犬。
ヘルハウンドに襲撃されている。
倒しても倒してもきりがない。
相手にするのが、面倒になってきた。
まあ戦っているのは2人だけど。
アイズの強さは分かる。
チート能力が武の力。
剣の一振りで、ヘルハウンドの首が、スポポーンといくつも飛ぶ。
怖くて近寄れない。
おかしいのが、エヴァンジェリン。
チート能力は確か、女性をサキュバスに変える力。
強い要素はない。
見た目も幼女だし、魔力で作った武器は扇子。
ところが、開いて状態で振れば、ヘルハウンドが真っ二つ。
閉じた状態で振れば、ヘルハウンドの頭が陥没。
こっちも怖くて近寄れない。
2人とも、生き物を殺すのに躊躇がない。
生命の危機もあるが、中身は一体何者だろう?
ちなみに…。
俺が魔力を武器にすると、巨大なハサミになった。
スヤリス姫が持っていたアレと同じだ。
驚いた事に、スパッとヘルハウンドの胴体が切れた。
とんでもないハサミである。

「「「「「ワオオオオオーーーーーン!」」」」」

「げっ。」

ヘルハウンドが、また沢山きた。
しかも、通路で挟まれた。
何とかなりそうな気もするけど、仕方ない。
チート能力を使う。
魔物を強制召喚する力。
さあ、来い!

「どこだここ!?」

「うおっ!?知らない犬の魔物が、いっぱいいるぞ!?」

「あっ、姫!また姫の仕業か!?」

…うん?
見た事のある魔物達だ。

「誰?」

「ミノタウロスだよ!」

「ゴブリンだよ!」

「はりとげマジロだよ!」

おおおっ!?
魔王城でおやすみに登場する魔物達だ!
この3人。
頻繁に、スヤリス姫の被害を受けている仲良しトリオ。
召喚する魔物って、魔王城でおやすみの魔物?
とりあえず、答えないと。

「私は…スヤリスであって、スヤリスではない!」

「「「何言ってんの!?」」」

綺麗にハモったな。
かくかくしかじかと、テキトーに説明。
俺の中身については話さない。
ややこしくなるし、別人のスヤリスにしといた。

「マジで!?」

「おい!あの魔物達は何だ!?」

「囲まれているぞ!?」

「敵。助けが欲しくて、君達を強制召喚した。」

笑顔で言うと、一瞬の沈黙。
そして、3人の絶叫。

「巻き込まれた!?別人でも姫は姫か!」

はりとげマジロが頭を抱える。
ごめんね。
だけど、そんな暇はない。
ヘルハウンド達が襲ってくる。

「ま、待て!同じ魔物だ!話し合おう!」

「だあーっ!言葉が通じねえっ!」

「もうやけだ!やったれ!」

ミノタウロスが、話し合いを提案。
異世界の魔物は言語が違うようで、絶望するゴブリン。
叫び声と共に、はりとげマジロのパンチ炸裂。
うんうん、戦闘開始だ。
アイズとエヴァンジェリンが、味方だと伝えておく。
間違って攻撃したら、俺の責任になって怒られる。
人手も増え、圧倒的有利。
さあ、殺戮の宴だよ!
剣で斬って、扇子で斬って、ハサミで斬って、拳で殴る~。

「「「キャイン!キャイン!」」」

あっという間に数が減った。
残っているヘルハウンド達も、戦意喪失状態だ。
逃走を始めているけど…。
アイズとエヴァンジェリンからは逃げれない。
南無南無。

「あの2人…勇者や魔王様より、強くないか?」

「俺も思った。」

「異世界怖いなー。」

2人の圧倒的な戦力に、はりとげマジロ達が怯えている。
よく分かるよ、その気持ち。
強さの次元が違う。
というか、ダンジョンの探索に、俺は要らなかったのでは?

「ほんと、あの2人は化け物だよね。」

「「「………。」」」

おりょ?
3人に、こいつ何言ってんの?って、目で見られた。

「姫も十分化け物だよ。」

「自分の姿と辺りを、よーーーく見ろ。」

「こっちの世界の姫より、数倍強いぞ。」

何を言って…あー。
血の滴るハサミを持ち、返り血で全身真っ赤な俺。
辺りには、内臓を撒き散らした死体が沢山。
てへ。

「笑って誤魔化すな!」

「余計怖いわ!」

「っ!?おい、避けろ!」

グシャッという音と共に、ミノタウロスが潰された。
犯人は、ヘルハウンド。
ただし、さっきのヘルハウンド達より、大きさが違った。
5倍はある巨体だ。
動かなくなったミノタウロスの身体が光る。
強制送還だ。
強制召喚された魔物が死んだ場合、もとの場所に戻される。
あれ?
頭の中に情報が流れた。
強制送還先について…。

「消えた!?」

「姫、ミノタウロスは!?」

「大丈夫。悪魔修道士の所に、強制送還されただけ。」

「大丈夫じゃねえよ!」

「死んでんじゃねえか!」

むう、正直に答えたのに怒られた。
解せぬ。
悪魔修道士の魔法で、生き返るのに…。

「ギャワン!」

放置していた巨体のヘルハウンドは、アイズに瞬殺されました。
一瞬の登場だったね。
ミノタウロスは無駄z…ごほごほ。
周りを見れば、ヘルハウンドも全滅。
はりとげマジロとゴブリンも強制送還しよう。
その前にお礼か。
何も持ってないし、うーん。
そうだ!
身体で払おう。
ちゅっと、頬にキスした。

「「っ!?!?」」

何故だ?
固まって動かなくなったぞ。
お気に召さなかった?
まあいいや。

「強制送還!」

ミノタウロスと同じく身体が光り、光りと共に消えた。
困ったら、また呼ぼう。
他の魔物達も召喚できるかな?
楽しみだ。

「1度帰還するぞ。少々疲れた。」

「分かった。…ところで、その背負っているものは?」

アイズが背負っているのは、ヘルハウンドの死体。
どうするつもり?

「魔物だが、肉は肉だ。」

なるほど。
小説や漫画では、魔物が食べれる話もある。
高級品って場合も。
幸いにも、鑑定できる能力者がいる。
食べれるなら、食事が助かる。
エヴァンジェリンと俺も、ヘルハウンドの死体を背負う。
よし、帰ろう。
里美にかけてもらった、帰還の魔法を使う。

「「「リターン!」」」 
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