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リアルバウトハイスクールD×D

作者:空風雷人
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第六話『聖女A』

 
前書き
ああ、サブタイが思いつかん……。 

 
 ──名も無き男(堕天使)を、(スレイ)した数日後の放課後。
 〝旧校舎〟の〈オカルト研究部〉部室では、小猫ちゃんがソファーでぐったり寝そべっていた。
 譫言で、何とかショージョだかショムジョだか呟いている。

「どうしたんですか、小猫ちゃんは?」

 部長席のグレモリー先輩に訊いてみた。

「昨日、あなたが帰った後に悪魔の仕事を回したんだけど……」

「小猫ちゃんがダウン──こう寝込(・・・・)んでいるって、どんな依頼だったんですか?」

「わざわざ言い直してつまらない駄洒落を挟まないでちょうだい。昨日の小猫の仕事は二件。守秘義務で名前は言わないけど、一件目は小猫の常連さんで内容は『魔法少女の格好をした小猫にお姫様抱っこをしてもらう』だったそうよ」

「なかなかマニアックよな」

 小猫ちゃんの魔法少女コスプレは俺も見てみたいけど。

「因みに、あれが小猫が代価として貰って来たその時の衣装よ」

 グレモリー先輩が指差した先には、数々のオカルトグッズと並んでファンシーなフリフリの衣装が吊されてある。違和感ぱない。

「あの、衣紋掛けに吊られているやつっすね」

 あれって『魔法少女ミルキー』の衣装か。出来が良いな。

「〝えもんかけ〟って何?」

「日本語でハンガーの事ですわよ。今日日、日本人でもあまり通じませんわね」

 小首を傾げるグレモリー先輩に、姫島先輩がお茶を淹れながら教えていた。

「そのくらいでグロッキーになりますか?」

「原因は二件目よ。衣装の下にDVDのソフトが置いてあるでしょ?」

「ありますね」

 気付いてはいたけど、衣装の下に同じく『魔法少女ミルキー』のDVDセットが置いてある。

「あれ、二件目の代価なんだけど」

「別々に貰ったのか……」

 てっきり衣装と一緒に貰ったものかと思ってたぜ。

「依頼は『自分を魔法少女にして欲しい』って、割と可愛らしい内容だったらしいわ。まぁ、流石に無理って事で代わりに小猫が依頼人と一緒にアニメDVDを観賞したり、自前の衣装を着た依頼者と一緒に小猫もあの衣装を着て写真撮影とかで遊んであげたみたいだけど」

「ゲームやアニメみたいに『先に手に入れたアイテムが後で役に立つ』とは」

 ──〝『魔法少女ミルキー☆キャット』爆誕!〟か。
 ネタで思い浮かべたけど、割と面白そうな作品にもっていけそうな気がする。

「小猫がグロッキーなのは、本来の依頼失敗の方じゃなくて、慣れない事をしたからじゃないかしら?」

 苦笑を浮かべるグレモリー先輩。

(※リアスは二件目の依頼者をきっと好奇心旺盛で活発な小さい女の子だと思い、小猫が振り回されたんだろうと微笑ましく思っています)

「因みに依頼者には召喚契約用チラシにアンケートと評価を記入してもらうんだけど、小猫への評価は一件目、二件目、共に〝星10[☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆(最高峰)]〟よ」

「まるで『ハー●ルン』のような評価段階ですね。そこは『暁 ~小説投稿サイト~』にしときましょうよ」

「こんな会話してて大丈夫なのかな~……?」

「おぉう!? 居たのか木場!」

「最初から居たよ!? 兵藤君と一緒に部室まで来たんじゃないか!」



 ──下校時間過ぎの帰り道。

『──はうわ!』

『──きゃー、大丈夫!?』

 アスファルトの路地をてくてく歩き、夕麻ちゃんとの最後のデートコースだった公園の前を通りがかると、公園内から女の子の声が聞こえてきた。
 すわ何事かと公園に侵入して見てみると、路上に倒れ伏した修道女らしき格好の人物が一人と、その周辺には斑模様の犬らしき丸っこいのが三匹転がっており、側には赤い番傘を手に慌てふためく茶髪の頭に犬耳が生えた〝小人〟が一人。
 ──あの〝小人〟は、妖魔『すねこすり』の幼魔【こすりちゃん】五姉妹の長女『はち』だ。


 〈すねこすり〉──人の足の間を通り足を擦る、犬とも猫とも言われる獣の妖魔。人懐っこい妖魔で、疲れた人間を見かけたら、少しでも力になろうと眷属の獣で人間を囲み、「あにまるせらぴー」で癒そうとする。だが、その圧倒的な癒しは人々を中毒にしてしまい、結果的に脅威の妖魔と化している。(※『ヤマトクロニクル 覚醒』の武将カードテキストより一部抜粋)


「ちゃーちゃーちゃぁーん♪
 ちゃーちゃーちゃぁーん♪」

 と某曜日サスペンスドラマのBGMを口ずさんでみた。

「えっ、家政婦が見てたの!?」

「番組がちげーよ」

 首をキョロキョロするはちにツッコミを入れた。

「……って、イッセー!」

「よう、はち」

 俺ははちに軽く挨拶をし、倒れている人物の傍らに片膝を立てて屈んだ。

「──はっ!? これは青酸カリ!」

「そんな事件じゃないわよ! ていうか、アンタ屈んだだけで何の確認もしてないじゃない!」

 そんなコントをやってる間に丸犬達は起き上がったが、女の子の方は起きやしない。

「……すぅ……」

 寝てる。

≪相棒。この娘、〝神器所有者〟だ≫

 マジかよ。
 それはそれとして、女の子を抱きかかえて公園のベンチに仰向けに寝かせた。

 ──丸犬の一匹が枕代わりになっている女の子の頭の向きにある隣のベンチで、はちと座って待つ事数分。

「──はっ!?」

 女の子はガバッ!と起きた。

「お? 起きたか」

「──えっ!?」

 女の子はぐりん!と顔をこっちに向けた。眼は碧眼である。

「ここは!? あなたは!?」

「ここは日本の〈駒王町〉の公園。俺はこの公園で倒れていた君を介抱した者」

「そ、そうだったんですか!? 御親切にありがとうございます!」

 立ち上がって深々と頭を下げる女の子。素直な子だな~。

「さっきはごめんね」

「え? あ! さっきの妖精さん!? 夢じゃなかった!?」

 俺の隣で謝るはちを見て吃驚する女の子。

「──へぇ、イタリアから」

 女の子から事情を訊く俺。
 女の子はある程度落ち着き、俺と同じベンチで膝の上に丸犬一匹(枕代わりだった奴)を乗せて間にはちを挟んで座っている。

「はい。今日付けでこの町の教会に赴任する事になりまして。貴方もこの町の方ですか? 宜しくお願いします」

「うん、宜しく。日本語が上手だね?」

「ありがとうございます。イタリアの教会で『マイク=オーエン』という神父様から教わりました。神父様も日本人の御友人から教わったそうです」

 名前を聞いたことが有るような無いような……。

「この町に来てから困っていたんです……。道に迷っていたんですけど、道行く皆さんに話しかけても逃げてしまわれて……」

「〝日本人あるある〟だな~」

 外国人から話しかけられるのが苦手ってやつ。序でに彼女の格好から宗教勧誘と思われもしたんだろう。

「それで落ち込んで、偶々立ち寄ったこの公園で休んでいた所で此方の妖精さんに声を掛けられて」

「成る程。君を元気づけようと大道芸の『傘回し』をして失敗、傘に乗せて回していた犬達があちこち飛んで一匹が君に直撃──と」

「う……」

「え~と……はい、顔に……」

 女の子は気まずそうなはちを見て少し躊躇いながらも正確に答えた。
 ぶつかったのは膝の上の奴かな? 枕にもなってたし〝縁〟ができたのかも知れん。

「ちゃんと角度を計算した筈なのに……」

 はちの場合、毎度の事である。
 それで寝てしまってたんだから、かなり疲れが溜まってんな。

「とりあえず、頭にも怪我は無いか確認しておこう」

 女の子に、頭に被っていたヴェールを脱いでもらった。
 真っ直ぐの長い金色の髪が夕陽に煌めく。

「わあ可愛い!」

 女の子の可憐さに惚けた。
 はしゃぐはちのおかげで意識が現実に戻った。

「じゃあ見せて……うん、怪我は無いな」

「はぁ……良かった~」

 ほっと胸を撫で下ろすはち。

「あ! ワンちゃんの方にお怪我は無かったですか!?」

「確認してなかったな……」

 というわけで確認。流石はこれでも妖怪眷属、三匹怪我は無し。
 はちが丸犬達に対して抱きついたり、撫でたりしている。

「あ……あのぅ! 最初からずっと気になってたんですけど、あなたは其方の妖精さんとお知り合いなんですか!?」

 突然、女の子が意を決した感じで訊いてきた。

「友達だぞ」

「友達!?」

「他にも大勢居るぞ。こいつ自身にも妹達が居るしな」

「まあね」

「妖精さんがいっぱい!?」

「正確には〝妖精さん〟じゃなくて〝幼魔ちゃん〟な。〝異世界(ここではない)異時間(いつか)異空間(どこか)〟の日本妖怪の幼児達だ」

「ちょっと分かり難いです」

「こいつは異世界の妖怪でな、こいつのような異世界の日本妖怪が、此方の世界の日本に遊びに来ているんだ」

 現代の我が日本(くに)は異世界妖怪の一方的観光攻撃にさらされていたのである。

「なんだか凄いお話ですね」

 感心した様子である。

「興味があるなら後で他の子達も紹介しよう」

「是非お願いします!」

 凄い食いつきである。

「応」

「わたしも妹達にも話をしておくわ」

「わぁ、お会いするのが楽しみです!」

 満面の笑顔である。
 ──だいぶ日が暮れてきた。

「──あの、そろそろ教会に辿り着かないと……」

「おっと、そうだな。この町の教会なら場所を知っているし、俺が道案内をしよう」

 昔、幼なじみに連れられて行った事もある。

「ありがとうございます! 主よ、導きに感謝を!」

 修道女らしく祈りを捧げる女の子。
 この場に〈悪魔〉が居たら、さぞかし頭痛がした事だろう。

「じゃあ、着いて来てくれ。名乗り遅れたが、俺は兵藤一誠。イッセーと呼んでくれ」

「わたしは、はち」

「イッセーさんとはちさんですね。申し遅れました、私は『アーシア=アルジェント』です」

 ──そんなこんなで〈駒王町〉郊外の教会の建物近くまで辿り着いた。
 はちも丸犬達を連れて一緒に着いて来ている。最後まで面倒を見るタイプだな。

「──案内してくださってありがとうございます!」

 深々と頭を下げるアーシア。

「あ……あのぅ、お礼がしたいので中でお茶でも……」

 別れるのが名残惜しいのか、そんな提案をしてきた。

「悪いけど遠慮しておこう。まぁ、また会おう。約束した事もあるし」

「またね」

「は、はい! 必ず、またお会いしましょう!」

 ──アーシアは教会の中に入り、俺達もそれぞれ帰路に着いた。 
 

 
後書き
 ──帰宅。
 途中、最近黒歌がとある猫缶のTVCM(※内容は皆さんの想像に任せます)を観て気になっていたっぽいのを思い出し、土産としてスーパーに寄り道して購入した。

「黒歌、ほれ土産」

「ありがとにゃん、イッセー!」

 黒歌は黒猫姿で受け取り、早速猫缶を缶切りで開けて中身をガラス容器に移しスプーンで掬って一口食べ──。


〝拝啓
 貴社の猫缶を食べたのですが、とんでもなくマズイです。
 私は特別口のおごった猫ではありませんが、それにしてもあのTVCMとは全然……〟


「棄却」(龍気の炎)

「ああ!? なにするにゃー!」

「阿呆、どこの日本に抗議文を書き送る猫が居る!」


 ──〈オカルト研究部・部室〉──

リアス「小猫へのお見舞いに、小猫が最近TVCMを観て気になっていたっぽい猫缶を用意したわ!」

小猫「……ありがとうございます、部長!」

 ──で。

リアス「(抗議文の)棄却」(滅びの魔力)

小猫「ああ!?」

 ──今日も駒王町は平和(かは知らん)です。 
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