デジモンアドベンチャー Miracle Light

今日も今日とて選ばれし子供達のおやつ会である。

｢ほいほーい、選ばれし子供の最強の菓子職人である大輔のカスタードクリームパイだぞー｣

【な、何だってー！？】

｢おい待て、何を大袈裟に言ってるんだお前は？｣

｢因みに早い者勝ちー。一番大きなパイは俺が頂く｣

ブイモンが我先にとパイに手を伸ばすが、ヒカリがそれを阻止する。

｢…何の真似だヒカリ？早い者勝ちで大輔のパートナーデジモンである俺が先に手にする資格があると思うんだけどな？｣

｢寝言は寝て言ってくれる？大輔君の彼女である私がこの一番大きなパイを手にする資格があるんじゃない？｣

｢それを言ったら大輔の幼なじみで大輔とのプライベートでの付き合いが一番長く、最年長の私に譲るべきじゃない？｣

｢京さんも寝言はお布団でどうぞ。付き合いの長さ=大輔君への迷惑を考えれば一番パイを手にする資格がないと思いますけど｣

｢タケルさんの言う通りです。僕にとって大輔さんはお兄さんみたいなものですから、大輔さんのために一番大きなパイは僕が頂きます｣

作り手の大輔とお茶の用意をしている賢を除いた面子の全面戦争が行われるわけだが。

｢ここは普通、年長者に譲るべきでしょう！？だから私が頂きます！！｣

京が実力行使に出るが、それを許すブイモンとテイルモンではない。

｢ネズミ！！｣

｢青蛙！！｣

｢｢最終奥義！！ブイテイルコンビネーション・ファイナル！！｣｣

ブイモンとテイルモンの凸凹コンビによる最終連携技が京に炸裂した。

｢そ、そんな…私がこんなところで…｣

｢大輔君のパイは誰にも渡さないわ｣

｢ちょっとヒカリちゃん？ヒカリちゃんも寝言は寝てから言ってね？散々食べまくっているのに自分を優先するなんて傲慢だと思わないかい？｣

｢大輔さんのパイは僕が死守します｣

｢あのー、これおやつですよね？｣

｢みんなの殺気が怖くて小さい奴さえ食べられないだぎゃあ…｣

｢フッ、アルマジモンもホークモンも甘いよ｣

｢｢？｣｣

不敵な笑みを浮かべるパタモンにホークモンとアルマジモンが疑問符を浮かべる。

｢真の勝者って言うのはね。誰にも悟られることなく動ける人なんだよ｣

｢｢へ？｣｣

パタモンが指差した先には…。

｢大輔、その一番大きいサイズの奴を貰えるかい？後、飲み物はコーヒーで頼むよ。｣

｢おう、勉強も良いけど。少しは休めよ？｣

｢ああ、ありがとう｣

【あああああ！！？】

｢何をしてるんだい？早く食べないと冷めてしまうよ｣

サラリと一番大きいサイズのパイをゲットして優雅に食する賢に全員は悔しげにする。

｢くっ、とんだ伏兵が！！｣

｢流石に賢君には勝てないわ…｣

ブイモンとヒカリが悔しそうにするが、賢が相手では分が悪いのか諦めてしまう。

｢うーん、せめてこのパイは私があぁ…｣

気絶から復活して諦めずに次に大きいサイズのパイを手にしようとする京。

｢ブイモン！テイルモン！やっておしまい！！｣

｢｢ラジャー！ブイテイルキック！！｣｣

ブイモンとテイルモンの蹴りが炸裂し、京を吹っ飛ばしてヒカリ達はそれぞれのパイを争いながらも手にした。

戻ってきた京のパイは一番小さいサイズだったのは言うまでもないだろう。