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女神と星座の導きによりて

作者:草ナギ
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星28 聖域の日常3

 あの双魚宮での再会から一年経ちました。
 聖域に来て私は何をして過ごしているかというと……

 「サガ……サガ!起きてください」

 「むっ……」

 まずは何故かサガの抱き枕兼、目覚まし時計役になってます。
 え?何故そんな事に?って?私が知りたいですよ。
 最初はさて寝るかーってなった時に悪サガが私を抱えてベッドに運ばれて抱きしめられたのが初めでした。
 正になんでやねんでしたよ。
 え?身体の関係になった?青少年達よ!すまんな、すまん!そんな艶やかな関係になっておらんのですよ!
 純粋に人肌恋しいだけみたいな感じで抱きしめられてました。
 最初の朝、起きたらその時は先にサガが起きていて、ベッド下でガックリと項垂れて何かブツブツと顔を真っ赤にさせて呟いてました。
 なんて言っていたんでしょうね?聞こえませんでしたよ。
 それから毎夜、夜になると悪サガは私を自身の寝室に連れて行き、抱き枕にするのが日常化してきました。
 てっきり、サガへの嫌がらせ(実際、最初の頃元のサガに戻った際、すっごく狼狽えてました)にやっている事なのでは?と思っていましたが、意外と違う様で私を抱き締めてぐっすり眠ってました。
 私ってマイナスイオン的なものでも発してるんでしょうか?
 まぁ、とりあえず、元のサガも日にちが経つに連れて、慣れてきたのか今ではぐっすり寝ています。
 ちなみに、こんな風にサガが眠れるようになったのは実は半年前の事でして、それまでは執務室で書類と睨めっこしてました。
 まさに徹夜で。
 悪サガが仕事をしないので、本当にサガが出てくる時でないと仕事が進まず、仮面が無かったら目の下の隈は直にバレるでしょうね。
 そんな訳で、私は教皇直属の秘書みたいな事をする事に。
 ……私、何やってるんでしょうね?
 沙織やアイオロス、星矢達が心配なのにサガを助ける事をしている……。
 ……うう、だって、ほっとけないんですもの!
 なんていうか、再会してしばらくした時にちょっと久しぶりにクッキーを焼いたので、サガに差し入れに行ったんですが、そこで一心不乱に書類と向き合っているサガを見て

 「大丈夫ですか?サガ。後は分かる範囲で整理位はしておきますから、焼いたクッキーでも食べて休憩して下さい」

 そう言ったら、懸命に動かしていた手を止めてこちらを見つめたかと思うと、ポロッとサガの目から涙が出てきて静かに泣いていました。
 すっごく驚きましたね!
 詳しく話を聞くと、ディーテとシュラが手伝ってくれるらしいのだが、黄金聖闘士の役目もあるので偶にのみ手伝ってくれていたのですが、思ったよりも忙しくなってしまったので、長い間ずっと一人で処理していたそうで……。
 デス君?彼がお手伝いすると思いますか?
 私は思いません。ええ、全くもってしないでしょうね。
 そんでもって感動して泣いてしまったとか……。
 どんだけですか!?サガ、マジで精神的に参ってますね!?
 とりあえず、精神的に疲れているのであればと、双魚宮にディーテに頼んでおいたハーブティーの茶葉を取りに向かい、サガの元へ戻ってお茶を入れました。
 ハーブティーには心を落ち着かせる効果があるので今のサガには丁度いいでしょう。
 ストレスやイライラ、不安と不眠で悩む方にはお勧めです。
 ただ、ブレンドを間違えると逆効果だと聞きました。(城戸邸の使用人さんから教わりました)
 気を付けなければ!
 まぁ、とりあえず教わった通りに淹れたので大丈夫でしょう。
 そして、それがキッカケとなって手伝う事になりました。
 やってみて分かりましたが、毎日ちゃんと仕事をしていれば徹夜しなくても夕方には終わって後は自由時間が出来るみたいですね。
 おのれ、悪サガ。
 それで、微力ながら私も手伝う事によって睡眠が出来るようになった、という訳です。
 しかし、何故悪サガは私を寝室に連れて行くのか……、謎のままです。
 まぁ、それは良いのです。慣れましたので。
 一番苦労したのは聖域に居る黄金聖闘士達です。
 特に私の存在を知っているアルデバラン。
 彼にはこっそりと素早さを上げる為の訓練表をこっそり渡したり、たまにこっそりと会いに行ったりしました。
 え?正体がバレないのかって?
 大丈夫です!何故なら、仮面を付けている姿しかアルデバラン以外の年少組は知らないからです!
 聖域を通る時、聖域の新しい女官として特に喋らず、挨拶はお辞儀をする感じですね。
 あまり喋る姿も見せていないので声も聞かせていない訳で。
 なので、バレる心配は無問題!(多分)
 
 「ふむー、この一年、こっそりするのが慣れてしまいましたね」

 「姉さんの事が知られたらサガや私達が困るからね。悪いけど、我慢してもらうしかないんだよ」

 「分かっていますよ。それにしても、花園が残っていたのはありがたかったですね。ディーテがお世話してくれたお蔭です」

 そうなんです。私が居なかった七年間、ディーテが私の花園のお世話をしてくれていたんです。とても嬉しかったですね。

 「薔薇を育てるついでだよ、ついで」

 「ふふっ、はい。そういう事にしておきますね」

 「本当なのに……」とちょっと拗ねた様に呟いていましたが、分かってしまいますよ。
 ちゃんと植物の種類別に肥料を与えていた事、雑草も抜いてくれていた事、色々して下さっていたのが、まるわかりな状態でした。
 綺麗でしたもの。
 
 「それにしても、姉さん、元々お茶を入れるのが上手かったけど、やっぱり更に腕を上げたよね。前に居たところでは使用人の様な事をしていたからかな?」

 おおっと、また来ましたね。探りが。
 
 「ふっふっふー、こう見えてメイド見習いを卒業して正式なメイド業をしていたんです。流石にお茶の入れ方ぐらい覚えますよ」

 「サガの話では”お嬢様”とやらに仕えてたって聞いたけど?」

 「ええ、孫娘さんでしたよ。可愛い方でした」

 「心残りはないの?その”お嬢様”には」

 「ありますよ。すっごく楽しくて遣り甲斐のある”仕事”でしたから」

 「”仕事”……ねぇ」

 「他に例えようがないですよ?」

 「ふむ……」

 ちょっと納得いかなそうな顔をしていますが、これ以上は喋るつもりはありませんよ?ディーテ。

 「まぁ、いいか。あ、姉さん、紅茶お替り」

 「はいはい」

 そうしてお茶会は続き、夕方近くになるとそろそろサガの仕事がひと段落します。
 お手伝いするハズの私が何故ディーテとお茶会をしていたのか。
 純粋にお休みだったんですよ。
 それ以外にありませんて。
 そして、サガはお仕事が終わるとお風呂に入りに行きます。
 そこに出くわさない様に気を付けます。
 またまた何故かって?
 清い関係ですけど、悪サガには時々貞操の危機にさらされた事、何度かあるんですよ。お風呂で。
 何故か寝る時は大丈夫なのに、お風呂場でって。どういうことなの?
 そう、聞きたいです。はい。
 まぁ、そういう危機が何度かあった時はサガが助けてくれていましたが、私自身もお風呂場に行かない様に気を付けてます。
 時間も把握してますからね。
 お風呂はサガが元々お風呂好きだったので元は一緒の悪サガもお風呂が好きみたいなんですよね。
 昼間もたまに入ってますし。
 本当、好きですねぇ……。まぁ、お風呂は心の?命の?洗濯とも言いますし。
 サガには必要でしょうね。
 ストレス的な意味で。
 ファイト!サガ!負けるな、サガ!応援してますよ! 
 

 
後書き
もう一年か。早いなぁ……。
はい、すみません。
短いうえにまるで中途半端な終わり方してますね。 
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