女神と星座の導きによりて
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番外 サガ
あの子と初めて会ったのはアイオロスが先だった。
私が8歳の頃、ロドリオ村で、突然私とアイオロス、カノン以外の大きな小宇宙を感じたのが全ての始まり。
それは黄金聖闘士特有のオーラでありながら、威圧感を感じさせず、むしろ近くの者を温かく包み込み安心させてくれる様な穏やかな小宇宙。
一緒に来ていたアイオロスと別行動をとっていたが、気になって、この小宇宙の居所を探した。探していた小宇宙の近くに、もう一つの小宇宙を感じる。
……これは、アイオロス?
少し急ぎ足になりながら二つの小宇宙を辿ってみると、裏路地に居る事が分かり、覗き込むとアイオロスに寄り掛かる幼い女の子が居た。
件の力の元はその女の子からの小宇宙だった。
「アイオロス」
そう声をかける。
すると二人してこちらを向いた。
「ああ、サガ。待たせてしまってすまない」
「それは良いが、どうかしたのか?」
まさに気付いたばかりという風に装ってしまった。
私は何を言っているんだ、素直に言えば良いではないか。
アイオロスに、その女の子、”真名”と名乗ったのだと教えられた。
そして、不意に真名が私を見た。
な!?……美しい。いや、まだ美しいというよりも、愛らしいと言った方が良いか。可憐だと思う。こんな子が存在していた事に驚く。
む?何故か胸のあたりが苦しい……何故だ?このサガがまさか、こんな異常事態に陥るとは。
帰ったらカノンに聞いてみよう。あいつならば私よりも様々な本を読んでいるから詳しいはずだ。
一旦、思考を切り替える。とにかく、この子の内に秘めている小宇宙を調べなければ。
「サガ。この子から”あの小宇宙”を感じるんだ。もしかしてっと思うんだが」
「ふむ、確かにこの子からアレに似た小宇宙を感じるな」
やはりというか、間違いなく真名から黄金の輝き。黄金の小宇宙を感じる。
これは直ぐにでも教皇にお目通りしてもらわねば。
「真名」
真名へ手を差し出す。新しく覚えたばかりの瞬間移動だが、もう難なく扱う事が出来る様になっている。
そして、真名を連れ、聖域に連れて行くのだった。
□■□■□■□■□■□■
「っと、いう事なんだが、カノン。この胸の内の靄の様なモノがなんなのか、わかるか?」
「は?」
あれから双魚宮にて、魚座の黄金聖衣が真名に反応して輝くという様を見た。そして、教皇にお目通りし、これから魚座の黄金聖闘士候補として修行する事になった真名。
そんな真名もいい加減、疲れただろうと双魚宮で宮から近ければ好きにしてもいいと言い、双児宮に帰ろうとした時。
《明日からお願いします!》
笑顔で今日あった事の礼を言いながら、改めて挨拶をする姿は、離れた分近付き、抱きしめてしまいたい衝動を抑えてアイオロスと共に返事を返すだけに留まった。
「サガ、本気で言っているのか?」
「 ? 本気も何もないが……」
それがどうした?っと聞き直すとカノンは深いため息を吐き、横目で私を見る。
「マジかよ……。こいつ、天然か。本当にこのカノンと双子の兄弟か?」
とても小さな声で呟くモノだからよく聞こえなかった。
「カノン、すまない。声が小さくて聞こえなかった。もう一度言ってくれ」
今度は先ほどよりも深いため息を吐かれる。
む?本当に一体なんなのだ。
「カノンよ。私はまさか病気なのか?なんなのか知っているなら教えてほしい!」
双子座の黄金聖闘士候補として病など冗談ではない!
「サガよ」
「な、なんだ」
「本っ当に知りたいか?」
「ああ、どんなに重い病でも私は打ち勝つつもりだ」
「…………はぁ~」
「……」
「こいだ」
ん?
「こいだ。と、言ったぞ」
”こい”??
「最近、教皇がお飲みになっている黒い……」
「”コーヒー”な」
「あの、東洋の魚の……」
「それは”鯉”だ……」
カノンが頭を抱えて唸っている。
「~~~っ!こいだ!恋!!病は病でも恋の病だ、愚か者!!お前は!あの!魚座の候補の小娘を愛しているんだよ!!」
「な……」
なんだと!恋の病!?真名を愛しているだと!!?
「何を、言っている。このサガがあの子に恋などと……。馬鹿な……」
「ああ、馬鹿なんだよ。大馬鹿野郎」
何やらカノンから陰鬱な雰囲気が漂っている。お前、大丈夫か?
「カノン、随分陰鬱だが、大丈夫か?」
⦅ぷっつーん⦆
「ん?」
何か聞こえなかったか?
「サぁ~ガぁ~!そぉういうのはぁ……お前の専売特許だろうがぁっ!!」
あ、キレた。
「星の砕けるさまを見よ!!」
「させるか!!」
お互いに鏡を合わせたかの様に技を繰り出す。
「「ギャラクシアンエクスプロージョン!」」
この日、久しぶりの大喧嘩に発展していったのであった。
後書き
ちょっと無理矢理感あったやも……すみません……。
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