女神と星座の導きによりて
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星4つ 友人
早いもので、私が聖域に来てから2年経ちました。
え?早すぎないか?って?細かいことはいいのです。(キリッ)
私も7歳になり仮面を付けている事に違和感が無くなって、むしろ寒い日はこれがないと風邪を引くんじゃないかと思ってしまう程、必需品になっていました。
それはいいのですが、今日の午後、私とサガとアイオロスの三人で教皇宮に来る様にとお達しがありました。
ん、二人を呼び捨てにしてるのは二人から”さん付け”は他人行儀過ぎる!と言われてしまい、仕方なく呼ぶ事にしたのです。
そうそう、私って、覚えが良いみたいで、すぐに小宇宙を感じられる様になりました!チートなのでしょうか!?特典みたいな!あ、私、神様に会ってませんでした。転生じゃないので。
それにどうやらバランス型だったらしく、サイコキネシスも拳の強さも上達するのが早かったんですよ!
……ふっ。まぁ、世間で言う器用貧乏みたいなものですがね。
「ま !」
せめて特化型ならよかったですよ!ムウさんみたいにサイコキネシスに偏ってるとか、アルデバランさんみたいな体力系に偏るとか!
「 な!」
後は、カミュさんみたいな氷の力で戦うとか。ミロさんみたいな秘孔を突くとか。
「真名!!」
「!」
名前を呼ばれて考え込んでいた思考から浮き上がりました。
「人の話を聞いてるのか?」
双魚宮の居住部屋でテーブルを挟み、正面に座る少年。
それは双子座のサガ(今年の年初めに黄金聖闘士になりました。アイオロスと一緒にです)……ではなく、そっくりですが髪色が淡く青い。まるで南国の海の色の様です。
性格もそっくりかと言われると確かに似ていますけど、こちらの方がぶっきらぼう……かもです。まぁ、なんだかんだで優しい所はそっくりですがね。そう、彼は双子座のサガの双子の弟、カノンです。
「まったく、話をしている最中に思考に沈むんじゃない」
「ごめんなさいー」
双児宮で暮らし、サガのスペアとして隠れて暮らしている彼が、何故、双魚宮に居るのかというと、私が直接話したいし、出来れば友人になりたかったんです!
えっと、実は最初はそのつもりはなかったんですけど、理由はこのあと!チャンネルを変えたらピラニアンローズ投げちゃうぞ☆
……なんてな!気にしないでください!めちゃくちゃ恥ずかしいです!
ごほん。話を戻します。そう、そして、その道のりはそれはそれは大変でした。
まず、修行の為に聖域のコロシアムに向かう時、双児宮を通る度に視線を感じるんですよ。何故かアイオロスは気が付いてませんでした。どんだけ私を集中して見てるんですか、貴方。しかも視線を感じるのは毎日ですよ!毎日!なので、ある日を境に……まぁ、プッツンした訳ですが。私以外、居なかった時に視線を感じとったら”追いかけっこ”する事に決めました。
例えば、私も自分の中にある小宇宙を極限にまで潜ませてながら隠れ、カノンの本当に人が居るかもわからない位の微量な小宇宙の波動を辿って背後に回り、驚かしてみたりして。初めて驚かせた時は前のめりに転んで痛そうでした……。
それが何度も続けば、流石のカノンも降参してくれて……あの時はものすごくうなだれてました。「疲れた……」って呟いてましたもんね。
それからはカノンが自主的に双魚宮へ遊びに来てくれる様になりました。
どうやって来てるのかは内緒だとかで、教えてくれませんでした。いじわるですねー?
あ、ちゃんと私も時間が出来たらカノンに会いに行ってますよ。スニオン岬で会ってます。
「女官や、コロシアムに居る聖闘士達の噂によると、3人の黄金聖闘士候補が来るという話だ」
「ふむふむ」
「……その中に魚座の黄金聖闘士候補も居るそうだ」
「ふむふ……む?」
カノンさん?今、なんと?
「お前と同じ魚座の黄金聖闘士候補だ」
「んん?……おお!本当ですか!」
これはもしや、アフロディーテ、キタ━━━━━━━━?
「本当だ。しかし、何故そこで喜ぶんだ。お前の立ち位置を脅かす存在だぞ?」
「何言ってるんですか!カノン!これはある意味、義理の弟?妹?が出来るというおいしい展開!逃しません。逃がしません」
その発言を聞いたカノンはすごい勢いでテーブルに突っ伏してしまいました。
テーブル、壊さないでね?
「お、お前というヤツは!……いや、お前はそういうヤツだったな。すまない」
すまないとか言っておきながら、突っ伏したままで「くっくっく……!」って笑ってるの、見えてるし、聞こえてますよ。
「もし、そいつが魚座の黄金聖闘士に選ばれたらお前はどうする……?」
おおっと?いきなりですね。なんかシリアスを醸し出してきました。そんなの決まってます。
「私は隠居しようかな。って思ってますよ」
「は?」
「んで、時々姉弟子としてその子が迷ってたらアドバイスしてあげるんです!目指せ!ツッコミもボケもかませる助言者!」
「……真面目に聞いてるんだが?」
おおっとぉ?(二回目)ちょっとお怒りですか。カノンさん。うーむ、怒り方からしてちょっと”激おこぷんぷん丸”寸前ですかね?
「別にふざけてませんよ?私がもし選ばれなくてもその子は立派に勤めを果たしてくれると信じます。私は私で思ったまま、気の向くまま私自身が信じた道を進むだけです」
なんですか、その豆鉄砲食らったみたいな表情は。
今度は私が”おこ”になりますよ!
「お前は本当にそれで良いのか」
「もちろん、負けるつもりはありません。それに”もしも”ですよね?」
「”もしも”だが、本当になってしまったら……そんな役回りで良いのか?」
うーむ、なんかいつもより絡んできますね……。
むむ?もしや……・
「カノン、サガと何かありました?」
「……」
無言、顔を私から逸らしました。
図星の様ですね。わかりやすい双子だことー!!
わかりやすい仕草をする所もすっごいそっくりですねー。
「愚痴ならちゃんと聞きますよ。どうかしました?」
「……」
よっぽど言えないのか、無言を貫いてますね。
一体、本当にナンジャラーですよ。
仕方ないですね。
「うーん、カノン」
「……?」
「ここにカノンが気に入ってるクッキーがあります」
「!」
お、釣れた。ふっふっふ、まぁ、まだ10歳の子供ですからね。
実は機会があった時に女官さんに手伝ってもらいながら、趣味の一つであるお菓子作りをしてたりします。
ただ、極偶にしか作れません。この時代で、しかも聖域に砂糖は貴重品なので滅多に手に入りません。
だからこそ、女官さんに無理を言ってロドリオ村にて密かにお店で取り置きしてもらってます。私はやる時はやる女なのです。(ドヤァ)
むふふ、砂糖さえあれば後は 薄力粉、無塩バターがあれば簡単に作る方法があるのですよ!
もちろんアイオロスとサガにもあげてますよ。二人も気に入ってくれてます。仲間外れはいかんのです。
「これを手に入れたくば、白状する事です。大丈夫。誰にも言いませんよ」
「……くっ」
おおう、なんか悔しそう。
あれ?なんか顔が赤くなってきてます?
「カノン、風邪でも引いたんですか?」
「は?」
「顔が真っ赤ですよ?」
「……!!」
驚いた顔のまま固まってます。
どうしたんでしょう?
「あのー、カノンー??」
「あ、う、くっ」
すっごい汗です!?だ、大丈夫でしょうか?
「用事を思い出した!今度また来る!その時ソレをもらうからな!」
そういうと光速の如く走って行ってしまいました。
何故カノンが光速で動けるのかというと、サガが黄金聖闘士になった時に、カノンもまた双子座の黄金聖闘士として認められたそうです。
それはそうですよね。この言い方は好きではないのですが、サガのスペアなので同じように修行させられていたらしいですし、サガの物腰も習わされていたとか。徹底してますよね。カノンの人格、全否定してますよ。そりゃぁ、闇落ちしますわ。
でも此処ではそういう兆候ないんですよね。良い事なんですが、何故でしょう?
……もう一度言いますけど、カノンは本当に大丈夫でしょうか?
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