ある晴れた日に
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24部分:噂はそよ風の様にその一
噂はそよ風の様にその一
噂はそよ風の様に
学園生活ははじまった。まずは騒がしいながらも和気藹々としていた。
「ねえ少年」
教室で咲が笑顔で明日夢に声をかけてきた。
「昨日のプリクラだけれどね」
「あれがどうかしたの?」
朝から上機嫌の咲に対して明日夢は実に不機嫌な様子であった。
「昨日のプリクラが」
「あんたのお店のプリクラじゃない」
明日夢の家はゲームセンターもやっている。そこにはプリクラも置かれているのだ。
「それで何でその態度なのよ」
「忘れたいのよ」
「折角一緒に撮ったのに」
「一緒だから余計によ」
怒った顔になる明日夢だった。
「昨日のことは忘れたいのよ」
「昨日?いい日だったじゃない」
不機嫌な明日夢に対して咲は実に上機嫌だった。
「ホークス勝ったし」
「ベイスターズは負けたじゃない」
不機嫌の理由はやはりこれだった。
「ものの見事に。よりによって巨人に」
「ああ、だからなの」
咲はベイスターズのことにはあまり興味がないようだった。
「それでなのね」
「そうよ。八対二」
「こっちは同じ点数でオリックスに大勝利」
やはり咲は笑顔だった。
「よかったわ、本当にね」
「何でベイスターズ今年は弱いのよ」
やはり不機嫌な顔のままである。
「あれだけ無残に。主砲もストッパーもいなくなったし」
「主砲って?」
「ウッズ」
口を尖らせて言う。
「中日に取られたしクルーンはよりによって巨人に」
「こっちだって小久保さん巨人に強奪されたことあるわよ」
咲もこの話になると途端に不機嫌になるのだった。
「その前には工藤にね」
「巨人許すまじ」
明日夢の不機嫌の度合いがさらに高まっていく。
「あの連中だけは絶対に許さないわ」
「まあ思い出しても仕方ないけれどね。小久保さんは戻って来たし」
「クルーンは戻って来てないわよ」
「それを言えば仕方ないけれどね」
咲にしろ色々と思うことがあるので納得して頷いていた。
「まあねえ。それでね」
「プリクラね」
「そうそう、ほら」
笑顔に戻って明日夢にそのプリクラを見せる。明日夢が写真の右側にいて咲が左側にいる。見れば二人共笑顔だ。明日夢はエプロンで咲はピンクハウスの派手なものである。
「これ。よく撮れてるわよね」
「あっ、確かに」
明日夢もそのプリクラを見て笑顔になる。
「いい感じね。エプロンがあれだけれど」
「エプロンが駄目なの?」
「これお店の制服だから。休み時間だから怒られなかったけれど」
「よく似合ってるじゃない?」
「そうかしら」
「何か小学生みたいでね」
「まあ背はね」
自分が小柄なことはあまり気にしてはいないようである。
「別にどうでもいいし」
「いいの」
「あんただって背はあまり」
「まあ一五五あるからいいのよ」
だから特に気にしてはいないといった感じの咲であった。
「咲一五七よ」
「私一五五」
やはり明日夢の方が低い。
「背が低いのは別にいいのよ」
「そうなの」
「この時は。それにしても」
プリクラの写真で笑っている自分の顔を見ていた。
「笑顔になってるわね、ちゃんと」
「はい、じゃあこれあんたにあげるね」
「あんたの分は?」
「もうプリクラ帳に貼ったわよ」
にこりと笑って明日夢に語る。
「昨日のうちにね」
「早いわね、また」
「家に帰ったらすぐにね」
「そうなの。あたしあまりプリクラ撮らないから」
「家がやってるのね?」
「あんた達程じゃないのよ」
ここで咲以外についても言うのだった。
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