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ロックマンX~Vermilion Warrior~

作者:setuna
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第115話:RUIN STAGE Ⅱ

オメガを何とか退けたエックスとゼロは次のステージに移動していた。

エックスとゼロもオメガとの戦いで相当のダメージを受けていたが、ルインの気まぐれなのかは分からないが回復してもらったことでその動きには一切の無駄がない。

しばらく進むとエックス達のある記憶を色濃く呼び起こす光景が広がっていた。

「ここは…シグマパレス…か?」

今を遡ること数年前。

最初にシグマが反乱を起こした際に根城にしていた要塞・シグマパレス。

それを彷彿とさせる内部に何時しかエックス達は立っていたのであった。

「…成る程、ここは確かにシグマパレスだな」

エックス達にとってはシグマパレスは忘れようにも忘れられない場所だ。

何しろエックスにとっては恋人であり、ゼロにとっては大切な後輩であるルインを一度はこの場所で失っているのだから。

だからこそ不快だったのだこの場所は。

シグマパレスを模した建物…即ち…再びルインを失うと言う、否が応にも彼らにかつてのシグマパレスの戦いを意図的に想起させているように思えてならなかったのである。

「でも…今はあの時の出来事を繰り返すつもりはない…」

「ああ、行くぞエックス。さっさと第2関門とやらをクリアしてやろうぜ」

次々に襲い掛かってくるイレギュラーを倒しながら前へ前へと突き進むエックスとゼロ。

オリジナルのシグマパレスを髣髴とさせる堅牢な防衛網が敷かれてはいたが、ノーマル状態でさえあの時よりも格段にパワーアップしているエックス達の前では形骸も同然だ。

するとしばらく進むとオメガと戦った場所と同じくらいの広さの部屋に出た。

「道がないと言うことは行き止まりか?それとも…第2関門がここで…?」

『正解だエックス。ここで第2関門を行う予定だったんだが、お前達が来るのが予想していたよりも早くてな。申し訳ないがオメガの修復と強化がまだ終わっていない……ふう、少しは遅れて来ても良かったんだがな…』

「何だそれは…」

「(こういう所はルインを思い起こさせるな…)」

ルインとしての部分を見たゼロが呆れ、エックスが苦笑する。

「なら、第2関門とやらはクリアってことか?」

『まさか、ここまで来たのに何の持て成しがないと言うのは失礼だろう?代わりにこいつをお前達の相手として出す』

ルインが指を鳴らすとウィルスが現れ、それは人型の形となり、それを見たエックスとゼロは驚愕した。

「「シグマ!?」」

「こ、ここは何処だ…?私はルインにシグマウィルスを破壊されて…」

ルインによって復活させられたシグマは状況把握が追い付かないのか周囲を見渡している。

『聞こえるかシグマ?』

「こ、この声は…ルインか!?」

徹底的に叩きのめされたシグマからすれば忌々しい存在であるルインの声に天井を見上げる。

『貴様は私がシグマウィルスのデータを復元して特別に復活させてやった。私の分身であるオメガの強化修復のために代わりにエックスとゼロと戦え。』

「き、貴様の分身の強化修復のために戦えだと!?こ、この私が貴様の一部の前座となれと言うのか!?」

オメガの代わりに、つまりシグマはオメガの強化修復が終わるまでの時間稼ぎ役であることを言うも同然のことを言われたシグマは激昂する。

『…まあ、身も蓋もない言い方をすればそうなるな。まあ、貴様みたいなエックスやゼロ、私の劣化コピーには相応しい役だろう?エックスのようになれず、ゼロや私のようにもなれない貴様にはな』

「わ、私が…この私が貴様らの劣化コピーだと…!?調子に乗るな小娘えっ!!」

劣化コピーと蔑まれたシグマは怒りに表情を歪ませながら叫んだ。

『……シグマ』

先程まで感じさせた感情が一切消え失せ、冷徹な声が響いたかと思えば突如シグマは胸を押さえて苦しみ始めた。

「ぐがあああああ!!!」

『調子に乗っているのは貴様じゃないかシグマ?シグマウィルスは依然として私が支配権を握っている。つまり貴様の生殺与奪権は私が握っているんだ。その気になれば貴様など一瞬で葬ることが出来るのだぞ?今の貴様は私の力で生かされている人形に過ぎんのだ』

「ぬ…ぐぐぐ…」

激痛が失せるとシグマは悔しげに天井を睨んだ。

『それにシグマ。これは私からの貴様への温情でもある。幾度も煮え湯を飲まされてきた相手だ。雪辱を晴らす機会を誰よりも欲しているだろう?そしてもし万が一お前がエックス達を倒せたら私への復讐のチャンスを与えよう。あそこまで完膚なきまでに叩きのめされ、今では私の人形に堕ちたんだ。私に対して相当鬱憤が溜まっているはずだが?』

「…………」

それに関してはシグマも一切の反論が出来ない。

最初の反乱を除けばエックス達への復讐もシグマの目的の一部となっていた。

それにルインに対する鬱憤も相当の物なのだから。

『まあ、精々頑張ることだな。一応言っておくが…あの爺が貴様に与えたガンマ…ファイナルシグマWの力は削除している』

「なっ!?」

切り札であるファイナルシグマWを削除されたことにシグマは目を見開く。

『………たまにはウィルスや他者の力に縋らず、自分だけの力でエックス達と最後まで戦え……!!』

凄まじい威圧感を孕んだ声に流石のシグマも反論を封殺されてしまう。

今まで数多くのレプリロイドを利用してきたシグマが今は逆にルインに利用されている。

しばらくしてルインの気配が消え、エックスは複雑そうにゼロは嘲笑を浮かべながらシグマを見据えた。

「ふん、自業自得だな。今まで罪なき者を弄んできた貴様には似合いの姿だ」

「シグマ、お前の置かれた状況には同情はする…だが、お前に利用され、死んでいった仲間達の為に俺達はお前を倒す!!」

ルインがイレギュラー化するまで数多くのレプリロイドを利用してきたシグマが今度は利用される立場となってしまったことにシグマは屈辱で顔を歪めながらもエックスとゼロに向き直る。

「……プラズマチャージショット!!」

シグマ「ヘルスパーク!!」

エックスのプラズマチャージショットとシグマのヘルスパークが激突する。

先程のルインの言葉を信じるなら、シグマはあの凄まじい巨体を誇るファイナルシグマWとやらの力は失っているため、今までと違ってこのシグマを倒せば完全にシグマが死ぬと言うことを意味している。

「ぬあああああっ!!!」

しかしそれはシグマにとって後がないと言うこと。

シグマウィルスの支配権をルインに掌握されてしまった今、蘇る術はないと分かっているシグマは今まで何処か余裕があった時とは違い、必死であった。

シグマはウィルスの力を纏った突進を繰り出してくる。

「今までと違って随分余裕がないなシグマ!!三日月斬!!」

衝撃波を纏わせた回転斬りを回避と同時に繰り出すゼロ。

「ぬうう!!」

「喰らえ、ガイアチャージショット!!」

怯んだ隙にエックスはアルティメットアーマーからガイアアーマーに換装し、ガイアチャージショットを連射する。

ガイアアーマーは機動性は歴代のアーマーの中でも低い上に特殊武器を使えないと言う制約があるが、強力なギガアタックと射程が短いとは言えチャージの時間が短く、フルチャージショットが連発出来ると言うデメリットを補って余りある攻撃性能と防御性能を誇る。

「ぬうう!!調子に乗るなエックス!!ヘルブレイド!!」

シグマが放つ大型の衝撃波。

ルインに放った時は一瞬で無力化されてしまったが、今度はエックスに直撃した。

「ぐあっ!ぐっ、まだだあ!!ガイアインパクト!!」

拳にエネルギーをチャージし、それをシグマの腹部に叩き込むエックス。

流石のシグマもガイアアーマーのパワーは耐えられず、勢い良く吹き飛ばされる。

「これで終わると思うな!!ダブルチャージショット!!」

続いてゼロも追撃のダブルチャージショットを放ち、シグマに直撃させる。

「ぐっ…ふ、ふふふ…流石は最強のイレギュラーハンター達だ。如何にこの私と言えど命を懸けねば勝利は覚束ぬか」

「シグマ、今度こそケリを着けてやるぞ!!シグマウィルスによる不死性とガンマとやらの力を持ったあの姿を失った今の貴様を倒せば…!!今度こそ終わりだ!!」

「貴様ら如きが私に勝てると思っているのか?思い上がるな!!」

「ビームスピア!!」

ファルコンアーマーに換装し、フリームーブとエアダッシュを絡めた機動で死角を突いて貫通力に優れたスピアでシグマを貫こうとするが、シグマウィルスのバリアでスピアを防ぐシグマ。

「小賢しい真似を!その程度の攻撃で私を倒せると思うな!!」

シグマが回し蹴りを繰り出し、エックスを弾き飛ばす。

「喰らえ!疾風!!」

数少ない遠距離攻撃である疾風でシグマを攻撃するが、高速で迫る分身すら片手で受け止めるシグマ。

「エックス!ゼロよ!ここが貴様らの死に場所となるのだ!!ヘルブレイド!!」

シグマは再び衝撃波を放つ。

しかも今度は単発ではなく連発だ。

「滅閃光!!」

対してゼロも滅閃光を繰り出して衝撃波を相殺する。

エックスはファルコンアーマーから再びガイアアーマーに換装してシグマの懐に入り、ギガアタックの発動体勢に入った。

「喰らえシグマ!!ガイアショットブレイカー!!」

ガイアチャージショットのエネルギーを更に凝縮、射程を極限まで限定したことで超絶的な破壊力を誇るエネルギー弾をシグマに繰り出す。

「ぐああああ!!」」

ガイアショットブレイカーをまともに喰らったシグマのボディに無数の亀裂が入る。

「これで終わりだシグマ!!ルインに会う前に貴様はここで倒す!!」

「ルインを連れ戻すためにまず俺は…お前を超える!!」

エックスがアルティメットアーマーに換装してバスターブレードで斬り掛かり、ゼロもZセイバーで斬り掛かるがシグマは両腕にウィルスを纏わせて2人の剣を受け止めた。

「ぐうう…っ…ルインと言い…貴様らと言い、揃いも揃ってこの私を前座扱いか。調子に乗るな若造共がっ!!」

ルインに続いてエックス達にすら前座扱いを受けたシグマの怒りは凄まじく、エックスとゼロを弾き飛ばした。

「シグマウィルスの支配権を奪われたと言うのならルインの力を上回るまでシグマウィルスの進化を続けるまでのこと!!この私を侮辱した報いは必ずルインに…」

「ふざけるな!!」

シグマが言葉を言い終わる前に滅閃光のエネルギーを纏わせた拳による一撃を喰らわせるゼロ。

「ぐは…っ!!己…ゼロ…!!」

「何を逆恨みしてやがる!!貴様の置かれた状況も…ルインがイレギュラーと化したのも…全て貴様のしたことが原因だ…貴様の自業自得だろうがっ!!」

セイバーを振り下ろすゼロだが、シグマは何とか受け止めて反撃しようとするが、それよりも早くゼロがロッド用のセイバーを抜いてシグマを斬り裂く。

「ぐうっ!!二刀流だと!?」

「俺は貴様を絶対に許さん!!曲がりなりにも王を目指していたなら潔く散れ!!」

「黙れ!!ヘルブレイ…」

「ノヴァストライク!!」

シグマが衝撃波を繰り出す前にエックスはノヴァストライクでシグマを吹き飛ばす。

「ぐ…が…」

「シグマ…もう眠れ。これ以上堕ちていく姿を見たくない」

エックスはブレードを展開し、エネルギーを圧縮する。

アルティメットアーマーのもう1つのギガアタック・ギガブレードがシグマに炸裂した。

「ぐわああああああああ!!お…己、エックス!!ゼロ!!!ルイーーーーン!!!!わ、私は…ま…」 

ギガブレードの衝撃波を喰らったシグマはエックス達の怨嗟を吐き出しながら消えた。

念のために警戒は怠らずにいたが、シグマが今まで通りのように新たな姿を見せる気配もない。

「終わった…か…」

「正直あまりにも呆気ないと思うが…そのようだな…」

『シグマ…貴様も今度こそ終わりだな。エックスの劣化コピーとして生を受け、私達のプログラムに感染し、その力を利用して己の野心を達成しようとしても私達以上の存在にはなれなかった…貴様は本当に見事な道化だった。滑稽な程にな』 

侮蔑の言葉を叩き付けるルインにエックスは悲しげに天井を見上げた。

『丁度オメガの強化修復が終わったところだ。エックス、ゼロ。早く次のステージに来い。オメガが貴様らと戦いたがっているぞ』

それだけ言うとルインの気配は消えた。

それと同時に回復が施され、エックスとゼロは再び万全の状態となる。

エックスとゼロは互いに頷きあいながら次のステージに移動するのであった。 
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