『転生特典はガチャ~最高で最強のチームを作る~』
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六話目
「裕斗!」
「はい!」
リアスの言葉に従い、彼女の眷属の騎士である木場が自身の神器の力で作り出した剣を構え、視認できない速さでかける。
「祐斗の役割は『騎士ナイト』。特性はスピード。『騎士』となった者は速さが増すの。そして、祐斗の最大の武器は剣。それが祐斗の力。目では捉えられない速力と、達人級の剣捌き。二つが合わさる事で、祐斗は最速の騎士となる」
リアスの言葉に『おぉー』とでも言うような表情を浮かべているイッセー。
確かにビルドでもフォームによれば木場の速さを視認するのは難しいだろう。だが、
「今のオレとの相性は悪すぎたな」
「っ!?」
左腕のクリーナーを上げて無理矢理引き寄せる。元々パワータイプではない木場がそれに抗う事などできる訳は無い。
どんなに素早く動こうとも動けなくして仕舞えば意味は無く、体制が崩れていれば達人級の剣の腕前も発揮出来ない。クリーナーボディと木場の相性は最悪と言って良いだろう。
「……吹っ飛べ」
だが、別の声が響く。リアスの眷属の戦車である小猫。彼女は小柄ながら木場とは正反対の純然なパワータイプ。クリーナーの吸引力の影響の少ない側からなら十分に接近できる。
木場へと意識が向いていた隙にライオンクリーナーの懐へと飛び込み、
「ま、待った!」
慌てて彼女を止めようとするライオンクリーナー。だが、彼女の拳はライオンボディの胸部分に直撃する。
「次は小猫ね。あの子の駒は『戦車』。『戦車』の特性は到ってシンプル。バカげた力と、屈強なまでの防御。あの慌てようなら……」
リアスの説明とビルドの慌て様から、これならと言う表情を浮かべるイッセーとリアス。だが、彼が心配していたのは、
「……くっ! な、なんで……」
「いや、このボディってかなりの強度だから素手で殴ったら危ないって言おうとしたんだけど」
ビルド・ライオンクリーナーを殴った小猫は拳を押さえながらしゃがみ込む。彼女の拳の骨にはヒビが入り血が吹き出ていた。一方、拳を受けた側のライオンクリーナーは仮面で表情こそ分からないが、寧ろ殴った側を心配してさえいる。
ライオンクリーナーのライアチェストアーマーは武器を使った物理攻撃をほぼ通さない、ダメージを与えられるのは自身の爪ライアメタルクローのみと言うトンデモ性能なのだ。生身の相手が素手で殴れば怪我をするのは相手の方だろう。
ライオンクリーナーとしては全力で、しかも素手で、そんな自分のボディを殴ろうとしたから慌てたのだ。
「小猫ちゃん!」
「っ!」
木場の言葉に反応して拳の痛みをこらえながらライオンクリーナーから離れる小猫。
新たに作り出した2本目の魔剣と合わせて両手に持った魔剣を地面に突き刺して吸引力に耐えていた木場だが。
「魔剣創造ゥ!!!」
意を決して両手の剣を手放して地面に手を触れてライオンクリーナーへと向けて大量の魔剣を作り出す。
剣と言うよりも刃の草原とでも表すべき物が作り出されたライオンクリーナーを飲み込んでいく。
(そもそも、連中と戦う理由ってのも無いんだよな。丁度いい、向こうが目眩ししてくれたんだ、これを利用して……退かせてもらうか)
自身の周囲に現れた魔剣をライオガントレットを振るって安全地帯を作ると素早く新しいフルボトルを二つ取り出す。
『オクトパス!』
最初はライオンから桃色をしたタコのオクトパスフルボトルへ、
『ライト!』
掃除機から薄黄色のライトフルボトルへと変え、
『ベストマッチ!』
『Are you ready?』
「変身!」
『稲妻テクニシャン! オクトパスライト! イェーイ!』
新たに変身するのはタコとライト、墨を吐く生物と発光するツールの、一見ミスマッチなベストマッチの組み合わせによるフォーム、『仮面ライダービルド・オクトパスライト』。
「それでは皆さん」
左肩の発光装置「BLDライトバルブショルダー」から光を放ち視界を奪うと、墨でリアス達を包み完全に視界を閉ざす。
「オ・ルボワール」
視界を奪ってそのままさっさと廃墟から逃げ去っていくオクトパスライト。ご丁寧に入り口から、だ。
そして、廃墟から出るとマシンビルダーを使って走り去る。
暫く走らせた所でビルドドライバーを外して変身を解除して礼服とシルクハットから私服に着替え、アイマスクを外す。派手な変装を解けば目立つ事もないだろう。
(手札の幾つかは見られたけど、フォームの多さには平成ライダートップ級のビルドだから、それは問題ないか)
ライオンクリーナーとオクトパスライトの力を知られたとしても今更二つ程度知られた所で問題はない。
(それよりも)
マシンビルダーのスマホの画面(巨大)に映し出された『原作イベント遭遇特典、ガチャ十一連(10回+オマケの一回)チケット』の文字。
(関わり合いになるメリットはあるって事か)
深く関わるのにははぐれ悪魔の30体分の価値はあるというのは分かるが、正体を知られると言うデメリットはある。
(まあ、上手くそこは調整してみるか)
面白い考えが浮かんだと言う笑みを浮かべる四季。
思い浮かべるのは以前作って見たスクラッシュドライバーの事だ。それの使い道が出来た。
帰宅後、既に寝ているであろう二人を起こさない様に地下格納庫の中のナデシコCの中にあるラボに行くと、新しいスクラッシュドライバーの設計図を引き最後に『(弱)』の文字を綴る。
意図的にスペックを大きく引き下げ、更に一度変身解除すれば再生不可能なレベルで内部がスクラッシュゼリーを巻き込んで自壊する様に調整した代物だ。
正規の開発者の桐生戦兎の能力のおかげで性能の改悪は簡単に出来た。自壊機能は苦労したが、其方も比較的早く終わる。
「良し」
次にドラゴンフルボトルの成分をゼリー状にする準備をする。意図的な劣化を加えて通常は青のドラゴンスクラッシュゼリーが、劣化版では赤くなるだろう。
正規版を作った場合取り違えたくないので色などのすぐに分かる違いを持たせておきたいのだ。
「劣化型スクラッシュゼリーの設計完成」
通常のフルボトルよりも強力な筈のスクラッシュゼリーでありながら、これなら通常のフルボトルでも対応できる程度のスペックに抑えられる。
「これをイッセーに渡して、その程度の干渉で原作への介入ってことになるか試すのも良いだろう」
フルスペックのスクラッシュドライバーとスクラッシュゼリーをイッセーに渡して後々面倒になっても困るので、一度だけの使用が終われば勝手にスクラッシュゼリーを巻き込んで自壊してくれる様にしておいたので、万が一の事は少ないだろう。
悪魔側に自分の技術が渡る、と言う点が問題だが、この世界ではフルボトルの成分を入手できるのは自分だけなのでそれも問題はない。
スクラッシュドライバーだけでは駄目なのだ、スクラッシュゼリーと両方があってこそ初めて仮面ライダーには変身できる。
一通り作業を終えると今更になるが眠気を思い出し、自室に戻るのも面倒になったのでそのままナデシコCの居住エリアの一つを利用して就寝した。
翌朝、朝食を取った後、休日を利用して詩乃と雫の二人とともにガチャ部屋に佇む四季の姿があった。
「それで戦力の底上げになるから、早速貰ったチケットを使う訳ね」
「ああ、せっかくのチケットだからな」
「ちょっと楽しみ」
初めての光景にワクワクとした様子の雫と、楽しみと言う様子の詩乃。希望があれば自分の代わりに回しても良いと言ったが、今回は四季に譲るそうだ。
「じゃあ」
十一連ガチャを回して機械から排出される11個のカプセル。手に手に入ったのは、
『ビルドのハザードレベル1』×5
先ず、その内五つは見事にダブった。しかし、一つ使用する事にハザードレベルの取得と一上昇する便利なアイテム。しかも、ノーリスクでだ。
この場にブラッドスタークが居るなら絶対に欲しがるだろう。これだけでハザードレベル5は確定する。
そして、次の二つは、
『桜井小蒔の技』
『美里葵の術』
これだった。共に今四季がお世話になっている龍麻の力と同じ魔人学園シリーズのヒロインの二人の力だ。弓術の技と回復の術の二つ。
「じゃあ、こっちは詩乃に」
「ええ。でも、こんなに簡単に貰うのはちょっと気が引けるわね」
詩乃が手に入れたのは純粋な技だけで無く桜井小蒔自身がそれまで磨いて来た技術も含まれている。そんな技術までも簡単に貰ってしまうのには思う所が有るのだろう。
「なら、私はこっち。良い?」
「ああ」
雫が希望したのは残された術の方。科学が関係していない純粋な魔法と言っても良い力に微笑みを浮かべる。
そして残りの三つは、
『ハザードトリガー』
「ヤッベーイのが来た!?」
当然ビルドに変身できる四季の物だが、ラビラビタンタンになれない限りは、ビルドの戦力強化ではあるが使うに使えないのが出てしまった。暴走スイッチである。
そして、残念ながら残りの二つはラビラビタンタンのフルボトルでは無かった。
「えっと、これって」
「悪い、オレもなんって言って良いか分からない」
「ドンマイ」
カプセルの中身に対してなんと言って良いか分からないと言う表情の詩乃と、納得したと言う様子の四季、そんな四季を励ましている雫。
カプセルの中身は、
『天之麻迦古の弓(東京魔人学園)』
ガチでヤバイのがまた来た。日本神話に登場する弓である。こんな物持ってて日本神話にケンカを売ってしまわないかと不安になるし、神話に出て来るような武器が二つある事になるが、一応は魔人学園に登場する武器になるので、この世界のものとは違うが。
「一応、詩乃に使って貰うしかないけど」
この中で弓が使えるのは詩乃だけだが、
「あ、ありがとう。でも、こんな貴重な物簡単には使えないんだけど」
女の子に送るには色気のないプレゼントになってしまった。取り敢えず、お蔵入りが決まった瞬間だった。
そして最後は、
『天叢雲(魔人学園)』
「「「………………」」」
またまたヤッベーイのが来た。この世界にも存在している武器で誰も剣、それも日本刀は使えない。
即座に使用者が決まらない内にお蔵入りが決まった瞬間だった。
そして、最後の一個に四季は視線を向ける。
ある意味危険物との連続エンカウントのトドメとしては妥当なものだろう。
その中に有るのは微妙に形の違うビルドドライバーとハザードトリガーの色違い。
『エボルドライバー+エボルトリガーセット』
セット販売されたエボルドライバーとエボルトリガーだった。エボルボトルはないが、十分に危険な品物だった。
「エボルトでも現れる予兆なのか、これ?」
思わずそう呟いてしまう。
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