| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

徒然草

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

235部分:二百三十五.主ある家には


二百三十五.主ある家には

              二百三十五.主ある家には
 れっきとした主がある家には他の人が勝手に入ってきたりはしないものであります。主のいない家にはすぐに通りすがりの人が平気な顔で押し入ったりするものであります。また人の気配がないもので狐や鳥といったそうした野生の動物までも平気な様子で我が物顔で棲み着いたりもします。こだまといった妖怪の類までもが出て来るのも当然のことでありましょう。
 それと同じく鏡には色や形がありませんから全てのものをそのまま映し出してしまいます。もし鏡に色や形といったものがあるならばそれで何も映し出したりはしなくなってしまうことでしょう。
 大気は空であり何でも吸い取ってしまいます。我々の心にしても幾つもの妄想が浮かんでは消えますし消えてはまた浮かんできたりします。若しかしたら心の中は空虚なものなのかも知れません。家に主がいるのが普通である様に心にも主というものがいたならばそれでもう妄想といったものが入り込んでくる余地はなくなってしまうでしょう。そうしたものなのであります。家はともかく心までそうあったら実にせわしないものになってしまうのではないでしょうか。


主ある家には   完


               2010・1・4
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧