ロックマンX~Vermilion Warrior~
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第47話:Raid
ドッペルタウンから戻ってきたエックス達はハンターベースにあるケイン用の部屋で雑談を交わしていた。
「世界中がドッペルタウンのようになれば良いんですけどね」
「大丈夫よエックス。イレギュラー化の原因であるシグマウィルスはDr.ドップラーがワクチンプログラムを作成したことで問題は無くなったし、いずれドッペルタウンのような街は増えていくわ」
「そうじゃな、わしらもより平和のために尽力せねばな」
「はい」
「あら?もうこんな時間だわ。それじゃあエックス、Dr。私は失礼します」
時間を確認したエイリアが立ち上がると、エックスも立ち上がる。
「エイリア、送っていくよ」
「大丈夫よ、研究所はそんなに離れてないもの」
「そうはいかないよ」
深夜と言っても差し支えない時間帯だ。
いくらレプリロイドでも女性である彼女を1人、夜道を歩かせるのはエックスには抵抗があった。
「嫌じゃ嫌じゃ!!エックスもエイリアもわしを置いていかんでくれーっ!!1人は退屈じゃ~」
「そんなこと言われても俺は明日の業務もありますし…」
「私も研究資料を明日中に纏めないといけないので…」
困ったように言う2人。
まるで孫に構って欲しい祖父とそれに困る孫のような図である。
襖型の扉が開いて車の用意をするために部屋を後にするエックスだが、目の前に現れたレプリロイドに目を見開いた。
「マックじゃないか?ドッペルタウンの警備は良いのか?」
「ああ、此処に来たのは任務のためなんでな」
「え?どういう…がはっ!?」
至近距離でバスターの零距離射撃を喰らって吹き飛ぶエックス。
「「エックス!?」」
「マック…?一体何のつもりじゃ?」
マックが指を鳴らして合図を送ると、ドッペルタウンの警備レプリロイドが大勢で部屋に入ってきた。
「Dr.ドップラーの命により、ハンターベースを占拠する」
「な、何ですって!?」
「ド…ドップラーの命…じゃとぉ…?」
「何を馬鹿なことを…冗談は止めて!!」
「信じる信じないはあんたらの自由だが、これは真実さ。お前達、Dr.ケインとそこの女を拘束して連れていけ」
ケインと戦闘能力を持たないエイリアは簡単に拘束されてしまい、部屋から連れ出されてしまう。
「どういうことじゃ!!説明せい!!」
「エックス!!」
ケインとエイリアを無視してマックはエックスに歩み寄る。
「これが2回もの大戦を制した英雄か…他愛もない」
ハンターベースに侵入したイレギュラーが元ハンターであるマックだったこともあり、ハンターベースは内側から瞬く間に制圧されていく。
イレギュラーハンター部隊長達もエックスやケインが人質に取られているために満足に動けず、このままハンターベースは敵の手に落ちるかと思われた時。
「成る程、大した数だな。だが所詮は数だけを揃えた烏合の衆…第0特殊部隊の敵じゃない。」
部下と共に敵部隊を見下ろすのは第0特殊部隊の隊長であるゼロである。
後ろにはゼロの部下達が控えており、ゼロは指示を飛ばす。
「作戦は先程言ったようにベース内に捕らえられているDr.ケイン及び仲間の救出とベースの奪取!!俺が囮になる。その間に各自の判断で行動せよ!散開!!」
散開する部下達を確認したゼロだが、唯一残っている副隊長であるホーネックに気付いて振り返る。
「隊長…」
「行かないのかホーネック?」
「いくら隊長と言えどもこれだけのイレギュラー相手に囮と言うのは…」
「うん?……そう言えばお前達にはこのボディになってからの俺の…精々3割程度の力しか見せてなかったよな…」
「(さ、3割!?鬼神と言われた実力で…3割っ!?)」
「特別に俺のこのボディになってからの全力を見せてやる。巻き込まれないように離れていろホーネック!!アースクラッシュ!!」
地面に拳を叩きつけ、建物を衝撃波で粉砕する。
「D・G・I班、調査に迎え!!」
突然建物が粉砕されたことにより、指揮官レプリロイドの指示によって大勢の部隊が向かう。
「何が起きたんだ?」
「油断するな…よ?」
駆け寄った次の瞬間には敵はセイバーによって真っ二つに両断されていた。
「凄い…これが隊長の今の実力なのか…流石隊長だ。惚れ直したぜ。俺にもあれだけの“力”があれば…」
ゼロの真の実力を目の当たりにしたホーネックは感嘆するのと同時に羨望の目をゼロに向けた。
「“力”が欲しいなら授けてやろう」
「誰だ!!」
聞き覚えのない声にホーネックが振り返ると、そこには見たこともないレプリロイドがいた。
「あのお方にはそれだけの才能がある」
「あのお方!?ドップラーのことか!?悪に身を委ねてまで“力”は要らん!!」
ドップラーの手先と判断したホーネックは敵に突撃するが、レプリロイドは余裕の表情だ。
「フッ…笑止…」
ビームサーベルを出現させ、一撃でホーネックを戦闘不能にする。
「な…っ!?」
「一度でも“力”を求めた者は…必ず“力”の魔力に屈服するのだ。」
そのまま気絶したホーネックと共にこの場を去るレプリロイド。
そしてゼロはベース内に突入し、迎撃してくる敵を殲滅していく。
「チッ、数だけはいるな…流石にベース内でアースクラッシュを使うわけにもいかんから面倒だ。」
近付いてくる敵にはセイバーで、離れて攻撃してくる相手にはバスターで対応していた。
しばらくするとメカニロイドに拘束されているエックスを発見した。
「エックス!!」
「良くここまで来れたなゼロ」
「マックか」
エックスを発見したゼロは駆け寄ろうとしたが、聞き覚えのある声に振り返ると、そこには裏切り者のマックがいた。
「しばらく会わないうちに随分と落ちぶれたものだな?今すぐエックスを降ろせ。今ならまだ話を聞いてやるぜ?」
バスターを向けるゼロ。
ゼロとマックのスペック差は隔絶とした差があり、マックには勝機は全くないのだが、マックは余裕の表情を崩さない。
「ゼロ、お前は自分の立場が分かってないようだな?笑わせるなよ?俺がこのスイッチを押せばエックスを捕まえているメカニロイドは奴もろとも大爆発する!!お前こそ俺の言う通りに…」
「押してみろ」
「は?」
思わぬゼロの言葉に唖然となるマックだが、ゼロは構わずにバスターを元に戻す。
「聞こえなかったのか?押してみろと言ったんだ」
「な、何だとおっ!?そ、そうか…俺が仲間だから躊躇すると思ってるのか?」
「いいや、俺はエックスほど甘くはないぞ。俺の答えは1つ…お前を倒してエックスを救うだけだ」
「舐めるなぁっ!!」
スイッチを押すマックだが、メカニロイドは爆発しない。
「な、何故だ?何故爆発しない!?」
「気付いてないのか?」
「な、何…?そ、それは…」
マックはゼロが手に持つ物に目を見開く。
「俺がセイバーを持っていることを知らなかったようだな。まあ、お前は今までハンターベースを離れていたから仕方ないだろうが…そして俺の居合いの速度は光より速い。お前の負けだ」
セイバーによって真っ二つにされたマックは自身が真っ二つにされたことに気付かぬうちに爆散した。
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