ロックマンX~Vermilion Warrior~
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ロックマンX3
第46話:Doppel Town
前書き
X3編スタート!!
エックスが退院してから数日後、ケインに連れられてエックスはエイリアと共にドッペルタウンへと足を運んだ。
ドッペルタウンとはかつてケインの助手であったDr.ドップラーによって最初のシグマの反乱以前から発案されており、つい最近になって生まれた21XX年の楽園である。
自然と科学が互いを支え合い、共存をしているその姿にエックスは周囲を見渡して微笑んだ。
「凄いな…人工のものとは言え自然が満ちていて、機械の力で自然を支えている。人間とレプリロイドが穏やかに暮らせる場所が地上に出来るなんて…ライト博士が見たら喜ぶだろうな」
「そうね、ライト博士は平和を愛する伝説の科学者だもの。ドッペルタウンだけとは言え、目に見える形で人間とレプリロイドの共存が見られる場所は喜びそうだわ」
エックスの強化アーマーを解析し、その修理とレプリカ製造をしているためにエックスからライト博士の人物像を直接聞いているエイリアもエックスの言葉に頷いた。
「エックス、セカンドアーマーのレプリカの使い勝手はどう?ファーストアーマーのレプリカよりはマシな仕上がりにしたつもりだけど…」
前回の戦いのレプリカアーマーであるファーストアーマーは防御能力しか再現出来ていないと言う申し訳程度の強化しか得られなかったが、セカンドアーマーはファーストアーマー以上の仕上がりにはしてみた。
まあ、オリジナルと比べれば申し訳程度の性能しかないわけだが。
「うん、充分頼りになるよ。ありがとうエイリア…君には任務の時のオペレートと言い、アーマーのレプリカのことも君には本当に世話になりっぱなしだ。ありがとう…」
「…私でもあなたの力になれてたのね…でも…(ここにルインがいたらあの子も喜んでたでしょうね)」
何となく想像出来る。
このドッペルタウンの街並みを見てはしゃぎ回るルインの姿を。
「エイリア?」
黙りこんだエイリアにエックスは疑問符を浮かべる。
「いいえ、何でもないわ…エックス…この街が出来たのはあなたがシグマを倒したからよ。あなたがいなかったらこの街は作られなかった…」
「そ、そんな…大袈裟だよ」
「大袈裟じゃないわ。あなたは私達みんなの英雄…」
「よお、エックス!!」
「うわっ!!?」
背中を強く叩かれたエックスは目を見開いて振り返ると、そこにはイレギュラーハンターの仲間であり、ドッペルタウンの警備に配属されたマックである。
「何するんだマック…痛いじゃないか…」
「良いじゃないか、この色男。B級から特A級に昇進しただけじゃなく第7精鋭部隊の隊長に就任しただけでは飽きたらずにこんな美人さんまでパートナーにしやがって…正直羨ましいぜ」
「パートナー?エイリアは俺専属のオペレーターじゃないぞ?ゼロや他のみんなのオペレートも」
「いやいやそうじゃなくてだな…あーもう、いい。とにかくドッペルタウンはどうだ?退屈な場所だろう?」
エックスの言葉に呆れるマックだが、エックスはドッペルタウンの街並みを見遣りながら笑みを浮かべた。
「何を言ってるんだよマック。俺もこういうところで働きたいさ」
「そうね、自然が満ちていてゆっくり研究出来そうだわ」
「ほーか、ほーか。エックスもエイリアもわしん所で働くんは嫌か?」
「ケイン博士…」
「そんなこと言ってないじゃないですか…」
いじけるケインにエックスとエイリアが呆れたように見つめる。
「年寄りが拗ねても可愛いげがないな」
「だーれが年寄りじゃ!!」
「あ、Dr.ドップラー」
からかうように言う老人の声にケインは怒鳴り、マックは即座に敬礼し、老人の名前を言う。
「ドップラー博士…」
「Dr.ドップラー…レプリロイドをイレギュラー化させるシグマウィルスのワクチンプログラムを作成した天才科学者レプリロイド…やっぱり本物は風格が…」
「久しぶり」
「元気だった…」
「オ飲ミ物ハイカガデスカ」
挨拶をしようとした直後にドリンクを配って回る業務用メカニロイドが間に入った。
「「うおりゃああーっ!!」」
「アレ」
即座にメカニロイドは頭部を残して分解されてしまい、ケインとドップラーの作る装置の材料にされてしまう。
因みに飛んでいった頭部はエックスが回収した。
「どうじゃ、超時空推進機じゃぞい」
「フッ、こっちは強力P・P波発生機だ。」
「す、凄い…業務用メカニロイドのパーツだけであんな装置が造れるなんて…!!」
「エイリア、感心するところがそこなのか?」
装置の大きさを見て、明らかにメカニロイドのパーツだけでは造れなさそうな物にエックスには見えるのだが、ツッコむだけ野暮か…。
「お主のメカには品がないのーっ」
「老人的でセンスのないメカですなーっ」
「世紀の天才が子供みたいだ…」
「ついてけないな~…」
「流石はDr.ドップラーとDr.ケイン…凄まじい技術力だわ…」
ケインとドップラーの張り合いにエックスとマックは呆れ、エイリアは2人が造った装置を観察していた。
張り合っていた2人だが、ケインとドップラーは笑みをうかべる。
「素晴らしい街じゃの、やったの~ドップラー」
「ありがとうケイン。今の私があるのもあなたのお陰だ……そう!あれが完成している。見に来ないか?」
握手を交わし、ドップラーが笑みを浮かべてエックス達を案内してくれる。
因みに業務用メカニロイドは元に戻っている。
「オ飲ミ物ハイカガデスカ」
エックス達が案内されたのは巨大メカニロイドが安置されているドックである。
「「これは…」」
「出来上がったか!マオー・ザ・ジャイアント!!」
目を見開くエックスとエイリア。
隣のケインは巨大メカニロイドを喜びながら見上げる。
「マオー・ザ・ジャイアント?」
「「そう!わしら初の共同製作じゃ!!」」
「ええ!?それってつまり天才科学者2人の技術の結晶と言うことですか!?」
マオー・ザ・ジャイアントの正体にエイリアは目を見開いてその巨体を見上げる。
この時代を代表する科学者2人の技術がこのメカニロイドには注ぎ込まれていると言うことなのだろうか。
「このドッペルタウンの守護神というところだな」
「でも…ほら。守護神なら女神像とかの方が良かったんじゃ…」
守護神と言うにはマオー・ザ・ジャイアントのあまりにも充実した装備や重装甲にエックスは少し表情を顰める。
「確かに守護神にしては物々しいと言うか…」
「ん?やはりお前さん達もそう思うか?わしも女神像を建てることを考えたんじゃがな」
「エックス君、君のそのバスターと戦時中に纏う強化アーマーは飾りかね?その“力”で君は“平和”を勝ち取ったのではないかね?平和は確かに素晴らしい。しかし平和に浸っているだけでは我々は腐っていくだけである。その腐った心に“喝”を入れる為にも“力”が必要なのだよ」
「…………」
その言葉にエックスは何も言えずに俯き、エイリアはそんなエックスを心配そうに見つめる。
「まあ、魔除けみたいなもんじゃて。」
こうしてドッペルタウンを見て回ったエックス達は帰る途中でケインとドップラーの関係について聞いていた。
「わしはドップラーと共に沢山のレプリロイドやメカニロイド、ライドマシンと言った開発をしてきた。しかしわしはドップラーの才能を隣でずっと見てきた。そんなあやつが自分の才能を活かせるようにわしはドップラーを解雇してあやつ専用の研究室を与えて以来、わしらは親友として今日までやってきた…マオー・ザ・ジャイアントにしても奴なりの哲学じゃて、分かってやってくれや」
「ええ、分かっています。ドップラー博士の言っていることも正しいですから…力が無ければ得られない物、守れない物があることくらい…分かってますから」
「まあ、とにかくドップラーは良い奴じゃよ。虫も殺せんような奴じゃからな」
こうしてハンターベースへと帰っていくエックス達。
ドッペルタウンに誰も知らない悪意が膨らんでいくことに気付かぬまま。
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