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徒然草

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198部分:百九十八.揚名介


百九十八.揚名介

百九十八.揚名介
 揚名介という名誉だけを目的とする官職があります。それは国務を司ることがありません。そして場名目というものもあります。これは地方における揚名介といったものです。やはり名誉だけの感触であります。こうした官職があると政事要略にあります。これは惟宗充亮殿が著された平安期の法の制についての書でありますがその書の中にあります。はっきりと申し上げますとどうでもいいことであります。
 名誉ばかりで何もすることがない、こんなことが面白いのでしょうか。とても面白いとは思えません。何かするべきことがあってこその役職です。それなのに何も司ることがないというのでは何の意味もありません。そんな役職はあるだけ無駄でありますがそれに就くということもまた何の意味もないことであります。実に空虚なことであります。それに就いて悦に耽っている人がいるとするならば幾ら立場がある人でありましても実に下らない人であります。人は何かをしてこそのものです。それで何もすることがないのに名誉だけが欲しくそれを手に入れてしまう、実に恥ずかしいことであります。ですからこんな役職はどうでもいいことであります。むしろあるだけ害があるのではないでしょうか。そう思うのですがあるのですから実に情ないものであります。


揚名介   完


               2009・11・28
 
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