高知の洞窟
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第二章
「今日は本当にです」
「ブロントサウルスやね」
「そちらをお楽しみ下さい」
「そうさせてもらうわ」
四人も頷いてだ、そうしてだった。
実際にステーキを中心とした恐竜料理を楽しんだ、するとだった。
案外柔らかくだ、しかも。
「鶏肉に似てるな」
「そんな味やね」
「脂身も程々で」
「ええ感じやね」
食べてみるとだ、それでだった。
美味くだ、それで言うのだった。
「ソースもええ感じやし」
「ちょっと匂いするけどな」
「美味しいな」
「そやな」
「これやったら」
紗枝は仲間達と共に食べつつ仲間達に言った。
「ステーキもう一枚食べられるな」
「そやね」
「ステーキもう一枚ずつ注文して」
「他のも食べような」
「それにな」
さらにだった、紗枝は述べた。
「シチューもグリルもあるし」
「煮込みもな」
「そうしたのも食べてような」
「飲みながら」
「いや、こっちもな」
赤ワインも飲んでだ、紗枝は言った。
「美味しいな」
「甘口でな」
「飲みやすくて」
「ええ感じやな」
「こっちももう一本やな」
こう言ってだった、そのうえで。
紗枝達はワインも楽しんだ、四人で恐竜料理とワインを楽しみ心ゆくまで飲み食いしてだった。その後で。
街に出て神託の情報収集をはじめた、この時にだった。
四人のところに如何にも胡散臭い身なりと外見のノームの中年の男が来てこんなことを言ってきた。
「お嬢ちゃん達今暇かな」
「いや、暇やないで」
「うち等冒険者やさかい」
「ここにも冒険で来たから」
「正直忙しいで」
「そうか、じゃあ仕方ないな」
男は四人の話を聞いてだ、こう言った。
「このお話はいいな」
「それどんな話やねん」
紗枝は自分に背を向けた彼にすぐに声をかけた。
「一体」
「いや、実は私はね」
ここでだ、男は。
紗枝達に向き直ると自分の身分証を見せてきた、そこにはこう書かれていた。
「カラカス大学考古学部教授エンリケ=ベルガンサ?」
「そうだよ」
男は紗枝ににこりと笑って答えた。
「それでこれからここにある洞窟の一つに行くんだ」
「へえ、あんた考古学者かいな」
「それも新進気鋭のね」
「自分で言うんやな、しかし」
ここでだ、紗枝も三人も彼の姿をあらためて見た。見れば見る程だった。
「詐欺師にしか見えへんな」
「私が詐欺師?」
「ほんまにそう見えるわ」
こう彼自身に言うのだった。
「胡散臭いな」
「そうかな」
「そや、喋り方とかな」
「これでも真面目な学者だよ」
「ほな趣味は何や」
「読書と音楽鑑賞だよ」
この二つだというのだ。
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