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邪眼の少女

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第五章

「邪眼病の一種だす」
「詳しいね」
「薬剤師だすからな」
 それで病気の知識もあるのだ、どういった病気で何をすれば治療出来るのかを把握してこその職業だからだ。
「その病気のこともわかっただす」
「そうなんだ」
「ただ、かなり珍しい病気だから」
 それでと言うのだった。
「薬の材料を集めないといけないだす」
「どんな材料かな」
「それはだすよ」
 宮子は女の子の眼病を治す薬の材料をざっと挙げた、すると魔物はこう答えた。
「全部この近くにあるよ」
「それは幸いだすな」
「じゃあ今からだね」
「材料を全部集めてだす」
 そうしてというのだ。
「女の子を助けるだす」
「そうしてくれるんだね」
「そもそもその娘がどうしてここにいるかわからないだすが」
「あっ、山の民でね」
「山に住んでいる人達の娘さんだすか」
「そうなんだ、けれどそんな病気に罹ってね」
 そうなってというのだ。
「家族から追い出されて」
「それでだすか」
「一人山の中を歩いてここに来て僕が事情を聞いて」 
 そうしてというのだ。
「可哀想だって思って一緒に住んでいるんだ」
「あんたの巣に入れてだすか」
「匿ってね、ただここに来るまでにね」
「その目でだすな」
「沢山の人や生きものを石にしてお昼にこの辺りを歩いて」
 散歩でというのだ。
「たまたま出会った冒険者や山の人や生きものをね」
「石にしていただすか」
「そうなんだ、悪気はなかったけれど」
「その事情もわかっただす、ではだす」
「これからだね」
「女の子の病気を治す薬を調合するだす」
 材料を集めてというのだ。
「そうして石になった人や生きもの達も元に戻すだす」
「そっちのお薬はすぐに調合出来るね」
「今にもだすよ、術も使えるだすし」
 こう雪路に答えた。
「石化を解く術も」
「じゃあ色々使ってね」
「そちらの問題も解決するだす」
「あれっ、僕の涙は」
「それは最後に貰うだす」
 宮子は魔物の今の疑問にはこう返した。
「それよりも困っている人達を助ける方が先だすよ。涙は何時でも貰えるだすな」
「僕が悲しいお話を聞けばね」
「なら後でオセローの話をするだす」
「オセロー?」
「私が知っているお話の中で一番悲しいお話だす」
 シェークスピアの名作の一つだ、ムーア人即ち黒人の将軍オセローが部下の姦計によって妻を疑い殺す様になる物語だ。
「それを話すだす、んだとも」
「その前になんだ」
「女の子と石になっている人や生きものを助けるだす」
 こう言ってだった。
 宮子は雪路と共にまずは魔物の紹介で洞窟の中にいる女の子と会った、怯える女の子にその辺りの事情を話して。
 女の子を見ると確かに石化能力があったがだ、それでもだ。
 能力の高い二人には効果がなくだ、都はゴブリン族の山の民の少女を診察してその病気を確かめてだった。 
 それから宮子は雪路と共に薬の材料を集めてだった、すぐに女の子の病気を治し。
 ここでも二人で術や薬で石化している人や生きもの達を救ってだった、魔物にオセローの話をして涙を手に入れた。
 そうしてからだ、宮子は魔物に話した。 
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