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邪眼の少女

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第四章

「本来はだす」
「カトプレパスに石化された人が川から離れた場所にも多いのは」
「おかしいだす」
「そうね」
 二人でこのことを奇妙に思った、そうしてだった。 
 二人で警戒しつつ川の岸辺に行くとだ、ふとだった。
 牛と豚を合わせた様な褐色の毛の草食動物の頭が出て来てだ、そのうえで二人に対してこう言ってきた。
「君達は何かな」
「喋る魔物だすか」
「僕はね」
 この世界ではこうした魔物も多い、尚日本では魔物と呼ぶが他の国ではモンスターと呼ぶ。
「そうだよ」
「そうだすか」
「それで別にね」
「私達にもだすか」
「敵意はないから」
 このことは保障するのだった。
「カトプレバスは別にね」
「あんたがそのカトプレバスだすか」
「そのっていうと」
「実はあんたの涙が欲しいだす」
 宮子は魔物、カトプレバスと自ら名乗る彼にこのことを告げた。
「惚れ薬で困ったことになってる女の子を助ける薬を調合する為に」
「ああ、涙だね」
「いいだすか」
「いいよ、じゃあ悲しいお話をしたらね」
 それでとだ、魔物は宮子に答えた。
「僕は自然と泣くから」
「その涙を持っていくといいだすな」
「そうしたらいいよ」
「わかっただす、ただ」 
 ここでだ、宮子は怪訝な顔になってカトプレバスにあらためて尋ねた。
「一つ気になっていることがあるだす」
「この川の周りのことだね」
「わかっているだすか」
「さっき言ったけれど僕は自分の身を守る時以外は目に力入れないから」
「そうして見ないだすな」
「目に力を入れて相手を見るとね」
「その相手は石になるだすな」
 宮子もこのことを確認した。
「そうだすな」
「そうだよ、けれどあくまで自分を守る時だけでいつも川の中にいるから」
「そしてその中で食べて寝てだすか」
「寝る時は外の巣に戻ってるけれどね」
「大抵は川の中にいるだすな」
「安全だからね、首が長過ぎてね」
 カトプレバスの特徴の一つであるこのことが問題だというのだ、このことはよく言われている通りだった。
「外にいたら狙われるから」
「お水の中にいるだすな」
「僕達はね」
「じゃあ周りの多くの石像は何だす」
 あらためてだ、宮子は魔物に問うた。
「誰がやっただすか」
「他に石化能力を持つ魔物がいるんだね」 
 今度は雪路が魔物に尋ねた。
「そうなんだね」
「そうだよ、実はね」
「実は?」
「僕の巣に人の女の子を匿っているけれど」
「その娘に何かあるのかい?」
「実はその娘の目にね」
 困った顔になってだ、魔物は二人に話した。
「変なことがあって」
「ああ、病気だすな」
 すぐにだ、宮子は事情を察して述べた。
「その娘は見たものが石になる病気だすな」
「わかるんだ」
「この世界の病気の一つだす」
 そうした病気だというのだ。 
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