ロックマンX~Vermilion Warrior~
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第32話:Utopia
オム砂漠での激闘から一週間が経ち、エイリアは新たなフットパーツのバックアップを取りながら、オストリーグに斬り刻まれて大破したファーストアーマーを労るように触れた。
「ありがとう、あなたのお陰でエックスは無事に帰って来れたわ」
もうこれを修復するくらいなら新しく造り直した方が早いと断言出来るくらいには酷い状態である。
「エイリア、ファーストアーマーだけど…」
「この損傷具合だと、修復よりも一から復元した方が早いわ。でもエックスの装備も充実してきたし、もう要らないわね」
「そう、ありがとうエイリア。君が用意してくれたアーマーのおかげで助かったよ」
実際にエイリアがファーストアーマーのレプリカを用意してくれなければもっと任務中に苦労していただろう。
「良いのよ…あなたにばかり負担をかけているんだもの。これくらいはさせて頂戴。」
「うん…」
そしてメンテナンスルームにバスターの回路の修理を終えたケインが入ってきた。
「おお、エックス。バスターの回路の修理は終わったぞ。これで何時も通りにバスターが撃てるようになるはずじゃ」
エックスの腕にバスターの回路を組み込み、エックスは腕に意識を集中させると腕はバスターに変形した。
「ありがとうございますケイン博士」
腕が無事にバスターに変形したことでエックスは安堵してケインに礼を言う。
どれだけの戦いを重ねても戦いを好きにはなれないエックスだが、このバスターはライト博士の形見とも言える物でもある。
「フフフ…それだけじゃあないぞい!!今までは右腕しか変形させられんかったが、これからは違ぁ~う!!少し回路を弄ったことでこれからは左腕もバスターに変形するぞい!!」
「え?」
試しに左腕に意識を向けると確かに左腕がバスターに変形した。
「凄い、これなら以前よりも敵への対応が素早く行きますね。と言うことはダブルバスターも可能なんでしょうか?」
エイリアが感嘆するように言うとエックスは両腕をバスターに変えようとするが左腕のバスターが元に戻り、そして右腕がバスターに変形した。
「あれ?」
「元に戻ってる?」
「左、右…」
何度か繰り返してみるが、どうやら両腕の変形は無理なようだ。
「あのぉ…Dr…両腕一緒でないとあまり意味がないんじゃありません…?」
「いやあ、エックスの回路は複雑でのぉ~両腕の同時変形は無理じゃったんじゃ。これが精一杯なんじゃよエイリア」
エイリアのツッコミにケインは困ったように笑う。
「あ、いえ…でも前よりは動きやすくなりましたよケイン博士」
「そう言ってもらえると助かるわい。が!わしも天才と呼ばれた男!!今に夢の五連バスターにしてやるぞい!!」
モニターに映し出された五連バスター装備のエックスの想像図の姿には流石のエックスもツッコミを入れざるを得ない。
「人のボディを玩具にしないで下さい!!」
「メカニロイドみたい…」
ケインはエックスに足蹴にされ、エイリアは100年後の並行世界の汎用レプリロイドのようなエックスの想像図にドン引きしていた。
「(しばらく辛い戦いが続いておったエックスもエイリアも余裕を失っておったが…ようやく笑いおった。そうじゃ、わしの理想郷は嘗ての天才科学者、トーマス・ライト博士が目指したような人とレプリロイドが仲良く暮らせる平和な世界じゃ)」
その中にはエックス達は勿論、連れ去られたゼロや未だに修理の目処が立っていないルインも含めてだ。
「理想郷じゃ~平和な世界じゃ~へへへ…」
「「怖い…」」
急に笑いだしたケインにエックスとエイリアはおま同時に引いてしまった。
次の瞬間に警報が鳴り響き、エイリアが監視カメラの映像をモニターに映す。
「侵入者かいのう?」
「またカウンターハンターでしょうか?」
コンソールのキーを滑るように叩いていくエイリア。
少ししてモニターには研究所付近で1人の女性型レプリロイドが倒れているのが映し出された。
「何じゃい?あのレプリロイドは?エックス、助けて来るんじゃ」
「はい」
エックスが走っていき、レプリロイドを研究所のメンテナンスルームに連れていく。
しばらくすると彼女が目を覚ました。
「う…」
「気がついた?」
「ここ…は?」
「大丈夫かい?」
エックスが声をかけると彼女はエックスにしがみついた。
「助けて下さいエックス様!!」
「あっ!?」
エックスにしがみついた彼女の姿に一瞬だけエイリアは動揺したが、直ぐに切り替えて彼女に歩み寄る。
「お…落ち着いて欲しい。どうしたんだ?」
「あなたのボディを見る限り、あなたは中央コンピューター施設のマザーセンターに所属しているレプリロイドよね?何故この研究所に?」
「エイリア…何か機嫌が悪くないか?」
微妙に不機嫌な感じがするエイリアに疑問符を浮かべながら尋ねる。
「別にそんなことはないわ」
「そう?なら良いんだけど…」
エイリア本人が違うと言うなら違うのだろうと判断したエックスにケインは溜め息を吐いた。
「ふう、エックス。お前さんと言う奴は女心を理解しとらんのう!!」
「え?」
「私の名前はシルキー…あなたの言う通り、中央コンピューター施設のマザーセンターに所属しているレプリロイドです。マザーセンターにある私達が管理している大型CPU“マザー”がシグマの手の者によってウィルスに侵されてたんです………」
「何ですって…?マザーは世界中のCPUの中心になっている…それが完全にウィルスに感染したら…」
「はい、世界中のCPUが狂って大パニックとなってしまいます」
「エックス、急いでマザーセンターに向かうのじゃ!!」
「了解!!」
「私もハンターベースに戻ります!!」
エックスとエイリアは研究所の転送装置を使ってマザーセンターとハンターベースと自分達が向かうべき場所に向かうのであった。
後書き
しかし五連バスター装備のエックスはメカニロイドっぽかったな
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