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ロックマンX~Vermilion Warrior~

作者:setuna
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第31話:Feather

 
前書き
エックスのバスターは右腕でしか使えないんかな?

イレハンとかでは右腕ばっかだし 

 
オストリーグに圧倒されながらもエックスは何とか致命傷だけは避けていた。

酷いダメージではあるが、ファーストアーマーのお陰でダメージはある程度抑えられている。

エイリアが復元してくれなければきっとまともに動けない程のダメージを受けていたに違いない。

「………(つ…強い…これがシグマに認められた猛者の力なのか…)」

エックスがオストリーグの強さに驚く一方で、オストリーグもまた驚いていた。

それはエックスが未だに作動していることだ。

「(………何故、奴はまだ作動してるんだ!?俺の全力の攻撃を受け続けていると言うのに!!)何故死なないんだーーーっ!?」

確かに強化アーマーで防御力が底上げされていると言うこともあるだろうが、いくら何でもこの耐久力は数多くのイレギュラーを屠ってきたオストリーグから見ても異常であった。

再び両肩の刃を飛ばしてエックスを斬り刻むが、エックスはそれを何とか致命傷を避けながら耐える。

そして一方のゼロも攻撃を受け続けたことでボロボロではあるが、何とか耐えきってみせた。

ボロボロでありながら異様な迫力を放つゼロに敵は圧倒されてしまい、攻撃しようとした者も一睨みで黙らせてしまった。

そしてゼロはボロボロの体を引き摺って、飛行艇のある場所に向かう。

「(待っていろエックス…)」

そして場所は戻ってオム砂漠のエックスはオストリーグの絶え間ない攻撃にとうとう膝をついた。

「はあ…はあ…無駄に頑丈な野郎だ…だが、流石に立ち上がれまい!!バスターの回路は切断したからまともに戦えまい!!」

出来ることならバスターの回路ではなく右手首の神経回路を切断したかったが、ファーストアーマーの防御力のせいで厳しかったのでバスターの回路の切断のみに終わった。

バスターの回路が切断されたことで特殊武器の使用も不可能である。

「まだだ…俺にはまだ彼女の形見がある…!!」

エックスが取り出したのはZXバスターである。

自身のバスターが使えないためにこれがエックスの最後の武器だ。

「まだ…まだ戦意を失わんのか!!根性だけは褒めてやる!!しかし性根が腐ってるんだよ!!」

再び繰り出されるオストリーグの蹴り。

足に装備された刃がエックスに迫るが、エックスはダメージ覚悟でオストリーグの脚を掴んでバスターを向ける。

「肉を斬らせて骨を断つか!!しかし俺は肉と同時に骨ごとたたっ斬る!!貴様のその首をな!!作戦が甘過ぎるんだよ!!」

腕の刃でエックスの首を斬り裂こうとするが、エックスの目を見たオストリーグは思わず動きを止めてしまい、エックスの放ったチャージショットが掠る。

「勝負はまだ終わっていない!!ここで負けたら…俺が今まで倒してきた相手に…死んでいった仲間に申し訳が立たないんだ…だから俺は最後まで諦めないぞ!!」

オストリーグを吹き飛ばした後、ショットを連射して弾幕を張る。

そして飛行艇を奪ったゼロはオム砂漠に向かっていたが、シグマは追っ手の手配をするどころか気にかけてもいなかった。

「追っ手の手配はよろしいのですね」

「放っておけ、目的地前にガス欠になる。それよりあれの準備は出来ているか?」

サーゲスの問いに対してシグマはゼロは放置することにした。

どうせ時がくれば戻ってくるのだから。

「これでエックスは死ぬ…仮に生き残れたとしても奴を待つのは“生き地獄”と言う訳だ。」

「お見事でございます。シグマ様…」

そして、オム砂漠ではようやく反撃のチャンスを得たエックスが猛攻を仕掛けていた。

「くっ……クェーっ!!」

「まだまだあっ!!」

ショットを連射してオストリーグに反撃のチャンスを与えない。

「(あの目…俺はあの目に無意識のうちに恐れを感じ、攻撃の手を緩めてたのか…恐れ…違う!!)」

「逃げるか!!」

跳躍してかわしたオストリーグだが、着地点にショットを放ってオストリーグを吹き飛ばす。

「(もっと…もっと違う感情だ!!)何だ!!この感情は!?」

オストリーグはエックスに顔を向けると、あることに気付いた。

エックスの目がイーグリードと同じ信念に満ちた輝きを放っていたことに。

「反逆者がイーグリードと同じ目をしている!?だからなのか!!だから俺の攻撃は手緩くなってたと言うのか!!認めん!!友と反逆者が同じ志を持つ目をしているなどとは!!」

次の瞬間に凄まじい地響きが起こり、エックスとオストリーグがバランスを崩した。

「うわっ!?」

「おっ!!」

「「何だ!?」」

震源地である方向を見遣ると、そこから大型ミサイルが姿を現した。

「この大型ミサイルは!?」

「知らんぞ…こんな大型ミサイルがあったなんて…」

「そ、そんなこと言ってる時か!?…え!?何だ!?」

突如、地面が爆発を起こし、エックスは爆発を避けながらも目を見開く。

「基地が勝手に自爆し始めた!?」

「シグマ様の命令なんだなぁ~」

「「!?」」

声のした方向にエックスとオストリーグが振り返ると、そこには大男のレプリロイドがいた。

「あ、あいつはゼロを連れ去ったイレギュラーだ!!確か名前はバイオレン…」

「オストリーグがぁ、エックスを動けなくしたらぁ、ミサイル発射してぇ、基地を壊すぅ……そしたらエックスとオストリーグは共倒れぇ~~~!!あれ~~~エックスをぉ~倒した後だったっけぇ~~~そうそう、馬鹿な駝鳥を上手く利用出来たとか言ってたなぁ~~~」

愉快そうに手を叩くバイオレンにオストリーグは目を見開く。

「何っ!?り…り……利用……!?」

「あ!これ内緒だっけなぁ~~~?」

「………オストリーグ…」

「………よ」

「え?」

シグマに利用されていたオストリーグに声をかけようとするエックスだが、それよりもオストリーグの方が早かった。

「分かんねえよぉ…俺は一体何を信じりゃ良いんだよぉ~~~」

振り返ったオストリーグの表情は途方に暮れた子供のような表情であった。

「さぁてぇ、帰ろっかなぁ~」

「貴様!待て!!」

転送されていくバイオレンにバスターを向けるが、間に合わず、バイオレンは転送されてしまう。

「くそ、先にあれを何とかしなくては!!」

「………」

俯いているオストリーグに構わずにエックスはミサイルにショットを連射するが、距離が離れているためにまるで効かない。

爆風によって、吹き飛ばされるオストリーグは最早どうすれば良いのか分からなくなっていた。

「(反逆者諸とも俺を殺そうとしたシグマ…イーグリードと同じ目をした反逆者。俺は一体何を信じたらいいんだ…一体…何を!!)」

「駄目だ…距離が離れすぎて効果がない!!空でも飛べれば…空?そうだ。今の俺は新しいフットパーツの能力を使えば空を飛べる!!」

ファーストアーマーを解除して新たなヘッドパーツとフットパーツを装着すると、鉄骨を壁蹴りで駆け上がる。

「(空!?)」

オストリーグがエックスの言葉に反応して振り返ると、エアダッシュでミサイルに突撃するエックスの姿。

「あ…見える…見えるぞ…俺の信じるべき魂がっ!!」

エックスの姿がイーグリードと重なって見えたオストリーグはようやく気付けた。

「くく…“友は心の中にいる”…か…偉そうなこと言っちまったぜ……すまなかったな…イーグリード…今までシカトしてて!!」

封印していた飛行能力を解き放ち、オストリーグは空を飛んでエックスを追い掛ける。

「今なら心の中のお前の声が聞ける。“あいつはこの世界の希望だ!!”とな!!」

そしてエックスはミサイルとの距離を後少しと言うところまで縮めていた。

「後少しだ!!」

しかしここでエアダッシュの作動時間を迎えてしまい、エックスは落下してしまう。

「く、くそ!!後少しのところで!!」

「受け取ってくれエックス!!」

「こ、これはオストリーグのDNA!?」

擦れ違い様に渡されたのはオストリーグのDNAであり、オストリーグはそのままミサイルへ向かっていく。

「これが俺の“詫び”だ!!」

「え!?オストリーグ!?何を!!止めるんだ!!これ以上お前が傷付くことは……あ!?」

オストリーグの隣に信じられないものが現れ、エックスは目を見開いた。

「(なあ、イーグリードよ…やっぱり空ってやつは良いな…忘れてたよ)」

『全く、馬鹿な奴だよ…お前と言う奴は』

「?…っ!!」

隣から聞こえてきた声にオストリーグが振り返ると、そこにいた存在に目を見開いた後に微笑んだ。

「全く…だな…」

『こうして、また一緒に飛べるのもエックスのおかげだな。』

「ああ、感謝してるよ……大した奴だぜ」

イーグリードの幻と並んでミサイルへと突撃していくオストリーグの表情は晴れやかであった。

「そんな、あれはイーグリード…俺は幻を見ているのか…?」

目を擦りながら確認し直してもイーグリードの幻はエックスのアイカメラに映っていた。

「結局、不器用にしか生きられなかったよ…」

『お前らしいよオストリーグ』

オストリーグとイーグリードはタッチした直後、ミサイルに特攻した。

「オストリーグ!!」

特攻によってミサイルは爆発し、それはオストリーグの死も意味している。

「レプリロイドの俺が幻を見るのか…?奇跡だ…」

涙を流しながらエックスはオストリーグが散った大空を見つめていた。

そしてオム砂漠から大分離れた森の中に不時着した飛行艇から少し離れた場所に倒れているゼロの姿があった。

「エックス…オスト…リーグと…戦っては…いけ…な…い…エックス…」

そのままゼロの意識は深い闇の中に沈んでいった。 
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