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ゼロの使い魔 ーエルフの使い魔はインファントの守護神ー

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序章 ファイナルウォーズ
  1話 オペレーション・ファイナルウォーズ(前編)

2004年

ーーX星人母艦・マザーシップ内ーー

「ガイガーーーーンッ、起動ーーーッ!!!」

「キイイイィィィガァァァァァァン!!!」




































ーー日本・東京ーー

日本の首都である大都会・東京。高層ビルの立ち並ぶ大都会は普段、サラリーマンや観光客で賑わっているが今日は違った。

「はっ、はっ、はっ…………」

「才人、急いで!」

「ま、待ってよ!お母さん!」

母に手を引かれながら、必死に走る少年『平賀才人』。しかし、走っているのはこの二人だけではない。

ガッシャァァァン!!ドオォォォン!!

『きゃあぁーーーーっ!!』

『逃げろーーっ!!』

『助けてくれーっ!!』

高層ビルやマンション、ホテルなどの大都会に聳え立つ建物の多くが巨大な鎌…………いや、巨大な鎌を持つ怪獣によって破壊されていた。その中を才人と彼の母親は、群衆とともに逃げるように走る。

「キイイイィィィガァァァ!!」

巨大な鎌で建物を破壊するサイボーグ怪獣『ガイガン』は咆哮をあげる。地球防衛軍の戦闘機の攻撃も効果がなく、ガイガンの破壊光線『ギガリューム・クラスター』の餌食となっていく。

『現在、東京都心はガイガンの攻撃を受けています!東京全域、及び周辺地域には避難警報が発令されています!路上や建物の中は大変危険です!最寄りの地下街や地下道、避難所へ避難してください!走行中の車は直ちに停車してください!緊急避難警報です!現在、東京都心はガイガンの攻撃を受けています……………』

「キイイイィィィガァァァ!!」

逃げる人々へ道に設置させれているスピーカーから避難を呼びかけるアナウンスが流れる。しかし、ガイガンが咆哮と同時にを再び光線を逃げる人々に向けて発射する。

ドッカァァァン!!!

『ぎゃぁあああっ!!』

逃げる才人達の後方数10mにガイガンが放った光線が命中。爆発と共に何人かの人が宙を舞ったが、気にかけている余裕はなかった。

止まれば次に光線の餌食になるのは自分たちかも知れないからだ。逃れる手段はただ一つ。走るしかなかった。

ビビーーィッ!!ビビーーィッ!!ビビーーィッ!!

「キイィィガァァァン!?」

その時、後方からガイガンへ数発の三発のマイクロ波の光線が命中し、ガイガンは悲鳴をあげた。

ガイガンの後方には大量の90式メーサー殺獣光線車や92式メーサー戦車、95式冷凍メーサータンクを始めとした自衛隊のメーサー戦車部隊が展開していた。

「急いで!早く!」

「う………うん!」

ガイガンの攻撃が止まった隙に才人の母親が才人の手を強く引く。逃げる。追い詰められた人間の本能のみで彼等は必死だった。




























ーー地球防衛軍・轟天号非常用ドックーー

新・轟天号内

「いずれ此処も見つかります。打って出るしかありません!」

「尾崎、感情的になるな。轟天号は最後の希望だ」

X星人『エクシフ』が操る怪獣達に戦力である空中戦艦をことごとく沈められてしまい、対怪獣用の戦力であるミュータント部隊はX星人統制官に操られ、さらにガイガンに本部を破壊された地球防衛軍の残党は唯一修理ドックに保管されていた新・轟天号に乗り込んでいた。轟天号内にある会議室では今後の行動について議論を交われており、ミュータント兵士である『尾崎真一』はX星人と正面から戦う意見を出すが轟天号副艦長である『小室』に説き伏せられる。

「轟天号が最後の希望だと?違うな…………最後の希望はゴジラだ!」

「「「!」」」

轟天号艦長『ダグラス・ゴードン』が思いがけない発言をする。この絶望的な状況の中で世界すら破滅させる怪獣王『ゴジラ』が最後の希望だというのだ。その発言に尾崎や小室、国連の分子生物学者『音無美雪』は目を開く。

「ゴジラが最後の希望………!?」

「そうだ。ゴジラ、すなわち地球最強の兵器だ』

「そ、それは………危険すぎます。ゴジラは世界を破滅させる」

「破滅する世界なんかもうない!」

「しかし、もしゴジラも操られていたら…………」

「大丈夫、ゴジラにM塩基はないわ」

「何だ、それは?」

「X星人、ガイガン、そして風間少尉の身体に付着していたエビラの破片………全てからM塩基が検出されたわ。勿論、ミュータント部隊もね」

ゴジラまでもがX星人に操られるのを恐れた小室に美雪が付け加える。

M塩基。それは地球人の中ではミュータントのみが持つ特殊塩基だ。このM塩基はテレパシー能力に強く作用する性質があるため、X星人はM塩基が埋め込まれた他の生物を思うがままに操ることが可能となる。

だが、ゴジラにはM塩基はない。仮にゴジラにM塩基を打ち込んでもG細胞が破壊してしまうために操ることはできないのだ。

「つまりM塩基をもった者はあいつらに操られるということか」

「そのとおりよ。X星人は何処かで怪獣を遺伝子操作したか、一から作り出して自分達のコントロールに従うようにした」

「じゃあ、何で俺は平気だったんだ?」

「コントロールされなかった。大事なことはそれよ!」

M塩基はミュータントにもある。しかし、ミュータントである尾崎は何故かX星人に操られなかった。だが、今更そんなことを気にしてもしょうがない。コントロールされなかったことがとても重要なことなのだ。

「これで決まりだ!ゴジラに怪獣の相手をしてもらい、そのあいだに俺があの生意気な宇宙人をぶっとばす!」

「仮にゴジラを使って敵をたおしたとしても、そ のあとどうするんです?」

「その後は………そのまま奴を倒す」

「そんな簡単に………」

X星人を倒した後は怪獣を倒すために利用したゴジラを倒すゴードンの作戦に小室は呆れたように呟く。

世界中で暴れている怪獣を排撃するために世界を破滅させてしまう危険を承知の上で強力な力を持つゴジラを使おうとしているのである。言うならば毒をもって毒を制すという発想だ。仮にゴジラを使って敵を倒したとしてもすぐにゴジラと戦って倒すのである。そんなのは言葉通り簡単にできる筈がない。

「………それで、あんた等はどうするんだ?この作戦に乗るのか?日本政府、自衛隊…………そして、機龍隊!」

ゴードンは会議室に設けられている二つのモニターに向けて上記の台詞を吐く。

二つのモニターにはそれぞれ二人の人間が写っていた。一人は自衛隊『特殊戦略作戦室』の特佐である『黒木翔』だった。もう一つのモニターには『3式機龍・メカゴジラ』を扱う『機龍プロジェクト』のリーダーでもあり内閣総理大臣でもある『五十嵐隼人』が映っていた。機龍が設けられている八王子駐屯地の司令部にいる彼の隣には機龍隊隊長『富樫』の姿もあり、さらに後方には機龍隊の隊員がズラリと並んでいるのもわかる。

《つまりこういうことかね?これからわざわざゴジラを連れてきて怪獣達と闘わせている間に、方法はまだわからないがとにかくX星人を全滅させる。それからゴジラを倒すと?》

モニターに映る五十嵐がゴードンに問う。

「………そうだ。俺等だけでもこの作戦を行っても構わないが…………よければあんた等の力を借りたい」

『………………………………』

ゴードンからの答えにモニター側も轟天号側もシーンと静まる。

《………ゴードン大佐。お言葉ですが、いくらなんでもそんな余裕は今の我々にはありませんよ。今、自衛隊はガイガンを必死で抑えてます。結果がどうなるかはわかりませんがいずれにせよ、X星人の攻撃で自衛隊も機龍隊も大きな被害を受けるのは明らかです。仮にX星人に勝ったとしてもゴジラと戦う戦力はもうその時は流石にありませんよ》

静まった空気を破ったのは黒木だった。ここで自衛隊や機龍隊がガイガンを倒し、X星人を破ったとしても大きく戦力を失うのは目を見るよりも明らか。そんな状態でゴジラと戦う余裕はないと彼は読んでいた。

「勝つ?いや、もう我々の勝ちはもう無いに等しい。もう世界は終わりだ。この戦争には負けしかない。これはもう誇りの問題だ。隠れて死ぬか、戦って死ぬかだ。まぁ……まだゴジラという最後の希望がある以上、まだ負けた訳ではないがな」

《しかし、そもそもですね………ん?はい、もしもし………》

ゴードンに反論しようとする黒木だがそこへ電話が入る。

《あ、辻森さん………何ですって?ディメンション・タイドの復旧が完了?しかも、いつでも発射可能ですと!?》

『!』

「ディメンション・タイド?」

「ブラック・ホール兵器です。三年前に日本政府はその兵器を使ってゴジラを消滅させようとしました。しかし、ゴジラと戦ったメガギラスに破壊されてしまって………作戦は失敗に終わりました」

G(ゴジラ)消滅作戦か…………」

ディメンション・タイドがわからないゴードンに小室が説明する。

黒木に電話をかけたのは防衛省内にある『対G特殊部隊』の対ゴジラ戦闘部門『Gグラスパー』隊長である『辻森桐子』だった。彼女からの報告によるとかつて『メガギラス』の超高周波によって故障したディメンション・タイドが三年の時を経て修理が完了し、しかも、いつでも発射可能だという。

「これは嬉しい吉報だな。嘗てあんた等がやろうとした作戦がもう一度できるんだ。ゴジラ消滅っていう選択肢も増えたって訳だ」

《待て。そう結論を急ぐ訳には……………》

《いや、いいだろう。君の作戦に乗ろう》

《総理!?》

辻森から齎された吉報にゴードンは笑みを浮かべながらモニターに向けて言う。そんな彼に五十嵐が映るモニター内にいる防衛庁長官『土橋』が彼を止めようとするが五十嵐が遂に折れたようにゴードンの作戦に協力を決意した。そんな彼に土橋や機龍隊の面々はどよめいた。

《しかし、総理………!!》

《今後、どれほど多くの禍いが降りかかるか………そんなことはわからない。だが!今、わずかな希望に賭けて日本を…………いや、世界を救おうとする同胞達を見殺しにはできない。我々は…臆病者ではない!》

《総理…………》

《機龍を出動させる!!地球防衛軍、その作戦……我々も乗ろう!ここに日本政府が承認する!そしてこの戦いをゴジラとの………いや、怪獣との最終決戦とする!!》

「フッ…………」

五十嵐の号令にゴードンは笑みを浮かべる。さらに五十嵐は黒木に作戦への賛同を呼びかける。

《黒木君。君もそれでいいな?》

《わかりました。ゴードン大佐、自衛隊もその作戦に参加します。なら、最後はディメンション・タイドによるG(ゴジラ)消滅作戦になりますね?》

「ああ、そうだ。これで決まりだな。なら、自衛隊はそのまま東京で暴れるガイガンを抑えといてくれ。機龍隊には自衛隊の援護を頼む。そして我々は………これからゴジラを迎えに行く」

「了解」

《了解しました》

《わかった。富樫君、聞いたな?すぐ準備にかかれ!》

《了解!よし、お前等!行くぞ!》

《了解!!》

ゴードンの指示に小室が頷き、黒木と五十嵐も彼の頼みを聞き入れる。さらに五十嵐の指示を受けた富樫が部下と共に機龍発進の為、支援用航空機『しらさぎ』に乗り込む準備に動き出した。

《特佐。我々も準備を………》

《わかってます。スーパーXⅢの発進準備を急いでください。それと辻森さんにいつでもディメンション・タイドを発射できるよう伝えてください》

《了解しました》

黒木もすぐにスーパーXⅢに乗り込む為に動き出す。日本を………いや、地球と人類を守る為にそれぞれの組織は動き出した。



































数分後

ーー地球防衛軍・轟天号非常用ドックーー

新・轟天号内

「アルファシステム以上無し!」

「データシステム以上無し!」

「発進準備完了!」

ーー八王子駐屯地・3式機龍ドックーー

「総員配置!機龍、発進準備!」

「航空管制室!機龍の発進に備えよ!しらさぎ 1 、2 、4号機発進準備!」

『機龍!発進準備!』

ーー立川基地ーー

スーパーXⅢ内

『リフトアップ開始』

管制室からの声を合図に、スーパーXⅢを乗せたリフトは回転しながら上昇していく。

『メインバス、ローカルモード』

『GNCコントロール、作動』

着々と出撃の準備が整う中、スーパーXⅢ内でも黒木を含めた乗組員が調整を行っている。

「最終フライトチェック、完了」

了解(ラジャー)

『カタパルト、準備完了』

「ロック解除」

『カタパルト、オープン』

天井と正面の壁が前へと展開され、出撃用のカタパルトがスーパーXⅢの前に出来上がる。

『発進ライン、オールクリア』

地球を怪獣から………X星人から救う為、三つの超兵器が今飛び立とうとする。






























新・轟天号内

「今、ゴジラは何処にいる?」

「現在、オーストラリアのグレートバリアリーフに反応を確認!Gはそこにいます!」

「よし………まずはグレートバリアリーフだ。ゴジラを迎えに行くぞ」

『了解』

艦長のゴードンからの質問にゴジラの反応をレーダー確認していた乗組員に確認する。乗組員からの答えにゴードンは最初の目的地をグレートバリアリーフと決めた。

「これは人類の存亡を賭けた最後の戦いだ」

『……………………………』

《……………………………》

《……………………………》

《……………………………》

《……………………………》

ゴードンの声が轟天号内の乗組員達、さらにモニターや通信機を通じて八王子駐屯地にいる五十嵐を始めとした機龍プロジェクトチーム、しらさぎに搭乗した富樫隊長率いる機龍隊、スーパーXⅢのコックピットにいる黒木、さらに出撃はないもののディメンション・タイドを持つGグラスパーの隊長辻森が所属する対G特殊部隊のメンバーに響き渡る。

「その名も、オペレーション……ファイナルウォーズ!!」

ゴードンが嘗てない作戦の名前を宣言した瞬間、轟天号のエンジンが起動。轟天号は船首ドリルで壁を地面を破って外界へと飛び立つ。目的地はゴジラがいるグレートバリアリーフ。

ーー立川基地ーー

《スーパーXⅢ離陸されたし。作戦の成功を祈ります》

「ありがとう」

管制室からの応援を聞いた黒木は普段と変わらない表情で返事をする。

「スーパーXⅢ、テイク・オフ!!」

スラスターを蒸かして力強く空へ飛んだスーパーXⅢは東京で暴れるガイガンの元へと向かって行った。

ーー八王子駐屯地・3式機龍ドックーー

しらさぎ2号機内

「輸送ワイヤー降下」

約一年にもよる修復を終え、地下ドックから地上へリフトアップされた3式機龍《改》にしらさぎ2号機としらさぎ4号機が機龍の首と尻尾に輸送用のワイヤーを降下させていく。

《八代!これよりガイガンの相手をする黒木の援護に向かう!轟天号が戻ってくるまでにガイガンの足止め………いや、ガイガンを殲滅しろ!》

「了解!機龍起動!!」

隊長の富樫からの命令に機龍のオペレーター『八代茜』は機龍を起動させると、機龍の目に光が灯った。

やがて輸送ワイヤーが固定され、機龍は二機のしらさぎに牽引されて飛び立つ。機龍の標的は黒木が操縦するスーパーXⅢと同じくガイガンであった。














人類を…………地球を守る為に発動した最終作戦『オペレーション・ファイナルウォーズ』は始まる。その作戦の行方を知る者は誰もいない。




















同時刻

ーー太平洋・インファント島ーー

「地球が…………こんなことになるなんて」

「ガイガンが見つかった時点で薄々嫌な予感はしてたけど…………」

インファント島から地球で起きてる大惨事を感じたエリアス姉妹の『モル』と『ロラ』は小型型モスラ『フェアリー』に乗り、深刻な表情をしていた。

「…………それでどうするんだい、あんた達は?このまま、宇宙人のすることを指を咥えて見ているのかい?」

そんな二人に怪獣ロボット『ガルガル』に乗る彼女達の長女『ベルベラ』が尋ねる。彼女は呑気そんな言葉ではいるが心の中ではX星人に蹂躙された地球を見て、深刻な様子でいた。

「このまま私達も黙って見てる訳にはいかない!ロラ、私達もでるわ!ベルベラ、貴方もお願い!」

「OK、了解したよ。私もガイガンと宇宙人を放ってはおけないからね。ガルガル、行くよ!」

「グルルルッ!!」

三姉妹のモルの頼みに人類を地球の癌細胞とみなして忌み嫌っているが地球を破壊するX星人やガイガンを倒す為にベルベラも協力を決意。ガルガルに指示を与え、行動を始めようとしていた。

「「モスラ……………」」

「ファァァァァ……………!」

フェアリーに乗るモルとロラが手を合わせて祈りを捧げるとそれに答えるかのように島の奥が光りだす。そして、その光はインファント島上空へと羽ばたくように飛び立った。

「ファァァァォォッ!!!」

インファント島の守護神『モスラ』はマッハ6の飛行速度で飛行する。目的地は東京。嘗て先代の自分を倒したガイガンに仇討ちをする為に。そして、なりよりこの地球を守る為に…………インファント島の守護神はここに飛び立ったのである。
 
 

 
後書き
これから宜しくお願いします!ゼロの使い魔とゴジラとのコラボ一度書きたかったので………。 
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