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神葬世界×ゴスペル・デイ

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第一物語・前半-未来会議編-
  第十一章 抗いの行く先《1》

 
前書き
 取っ捕まったセーラン無視し、お仲間スタート。
 始まります。 

 
 世界時歴一〇八二年、四月二日。
 雨の日来の中、西一番外交区域にある日来学勢院高等部に続く大道を一人の少女が歩いていた。
 日来では長莵神社の巫女候補であり、その神社の娘である美兎だ。
 加護を自分を囲むように展開し、彼女には雨が当たらない。
 急ぎ足で歩き、雨でぬかるんだ地を蹴る。
 空には監視艦が飛び、日来の地を見下ろす。
 それを見上げながら、足を前に運び進む。
 日来学勢院高等部に着くまでに、小等部と中等部の校舎が見える。
 自分が歩いている大道から、校庭が見えるように造られ雨のなか外で遊んでいる子ども達が、自分に手を振ってきたり、挨拶をしたりする。
 皆偉いですよねえ、私のクラスのほとんどの人は挨拶しなきゃ挨拶なんてしませんよ。
 そんなことを思いながら、手を振り替えしたり挨拶したりと大忙しだ。
 長莵神社の娘ということで、いつの間には有名になっていた自分。
 嬉しいが、困ることも多々ある。
 そう考えていると、水が流れる音が聞こえてくる。
 雨ではない、日来各地に流れている小川の音だ。
 雨のせいでその流れはいつものような穏やかな流れではなく、泡立ち荒く流れている。
 高等部の校門は、西一番外交区域と東一番居住区域の間に通っている、今歩いている大道の奥を左に曲がり小川を越えた先にある。
 美兎は大道を曲がり小川を越え、校門のなかへと入った。
 すると校門に入ってすぐ、声が聞こえてきた。
「これは美兎殿、お早う御座る」
 校門に入り、数歩歩いた右に植えられている木々の幹、雨宿りのように枝の下にいる侍装飾の少女がいた。
 おかしな挨拶をした、その者は、
「魅鷺さんお早う御座います。そんな無理して“御座る”語尾にしなくても」
「拙者、侍を目指す者ゆえ」
「せめて“御座る”の前に“に”をつけるか何かした方がいいですよ」
「左様に御座るか」
 美兎は挨拶を交わし、彼女に近づく。
 その彼女も加護を展開させ、雨を避けている。
 崩壊世界では“傘”と呼ばれるものを歩行中に使い、雨や雪をしのいでいたとされる。
 しかし、今は加護を使いしのいでいる。
 時代の流れですかねえ。
 雨の音を聞きながら、会話を始める。
「雨のなか一人でなんてどうしたんですか?」
「流れる雨は心の涙の如く、長はどうしたものかと一人悩んでいたで御座る」
「私達は日が変わるまで取り調べを受けていましたが、セーラン君は立場上の関係で直接監視に置かれたんですよね」
「うむ、他の皆は教室にいるで御座るよ」
「では魅鷺も一緒に、一人でなんて寂しいですよ」
「そうで御座るな、では参ろう」
「はい」
 そう言い、二人はぬかるんだ地面を歩き始めた。
 歩いている間、色々を話した。
 主にしたのは監視の話。
 昨日のあの後に日来に来た黄森の増援が、監視を始めたらしい。
 父からも聞いたが、神社に務める身分ゆえか黄森の監視化に置かれ、思うように発言出来なかった。
 地上にも黄森の隊員が歩き周り、監視をしている。
 長がいない学勢院はどうでもいいのか、今ここに監視を行っている隊員はいない。
 空には横型車輪陣というものが、ワイバーン級戦闘艦十艦により構成されが回っている。そしてドレイク級戦闘艦は航行しながら監視を行っている状態だ。
 だから空を見れば、必然的に艦が目に入る。
 他の話しは日来の行方。これは美鷺本人もあまり詳しくはなかった。昨日の会議の結果、日来は独立宣言をした。今回はこれが始まりとなり、今に至る。これに関しては覇王会の方で、色々とやっていたようだ。
 後は世間話やら、愚痴などだ。
 何だかんだで高等部校舎に着き、昇降口で加護を解く。
 淡い青の結界が上から下に向かって、砕け散るように消滅していく。
 木材で出来た床を歩き、自分達の教室を目指す。
 土足のまま歩くが、加護により汚れていないので心配はない。
 床を打ち、音を奏でながら階段を上がる。
 日来学勢院の校舎は三階建てで出来ており、学年が上がるにつれ、階が上へと教室が上がる。
 つまり自分達三年生は一番上、三階に教室がある。
 螺旋状の階段を上がり、三階の床に足を着く。
 階段はまだ屋上に繋がるためあるが、屋上に上がるには外と中を遮る扉の鍵を開けなければならず、その鍵は教員が持っている。だから屋上に上がるには、教師の承認が必要になる。
 ついでに、防犯用の術式が仕込まれているため鍵が掛かっている状態で無理に扉を開けようとすれば……、どうなるかはその時のお楽しみだ。
 自分達は階段から前に出ると、左に広がる廊下がある。
 自分達の教室、三年一組の教室は廊下を進み、書道部の教室と空き教室の次にある。
 それを基準に、右に行くにつれ二組から四組まで続く。
 美兎と魅鷺は歩き、三年一組の後ろドアを左へスライドさせ、教室内へと踏み込んだ。



「えーっと、皆さん何やってるんですか?」
 教室へ入った美兎が目にするのは、何も変わってないいつもの風景だ。
 いや、全員揃っているところはいつもとは違うが。
 ある者はゲームをし、ある者は弁当を食べ、ある者は雑誌を読んでいる。
 長が監視されているので、少しは気にしているかと思っていたがそれはなかった。
 唖然とした美兎の様子に、後ろドア近くの席にいた機関部三人組がそれぞれのタイミングで振り向いた。
「来たんだね、魅鷺は先に来てから外に行ってたから美兎が一番最後。昨日に続き」
「継叉君達、機関部は今日は早いんですね」
「……まあな……」
「アタイら取り調べで遅くまで捕まっていただろ? だから今日は無理して来なくってもいいって大人の連中から言われたんさ」
「ついでに言っておくと機械関係は監視下に置かれてる。武装を防ぐためだろうね」
「長莵神社もそうでしたよ、夜中も監視しててなかなか眠りにつけなかったですよ」
「ははは、それは困ったもんだ」
「笑い事じゃないですよう」
 むすっとした美兎に謝るように、笑いながら機関部三人組の煙管をくわえた少女、入直が右手を眼前に垂直にやり謝る。
 入直の席の右、継叉はボルトを磨きその後ろに座るジューセンに仕上がりを見せる。
 ジューセンは頷くだけで、それを返した。
 作業で使うものなのだろう。
 後ろに立っていた魅鷺は自身の席に座り、小刀の手入れをしている。
 一応、武装関係持ち込み禁止なんですけどねえ。
 学級委員長である自分は、それを取り上げるのが正しい行動なのだが、如何せん相手はあの魅鷺だ。自分のものを無理矢理取り上げると、地のそこまでそれを取り戻そうとむちゃくちゃな行動をする女の子だ。
 危険だ。
 そう判断し、目にしなかったことにする。
 そんな素振りをしながら、自分の席に移動し座る。
「ねえねえミトチーはどう思ってんの」
「え、何がです?」
 席に着くと同時に、同じ列の右側に座る魔術師少女のマギトが話しかけてきた。
 いつもの微笑顔で訪ねてきたので、何かと思う。
 ふふふ、と笑っている彼女を見ながら尋ねてみる。
「何かに話してたんですか?」
「セーランのことだよん。ミトチーは昔馴染みの知り合いなんだよね」
「昔っていっても、セーランが日来に来たときからですけどね。まあ、好きですよ友人的には」
「中等部のときには好き好きだったじゃない」
「何ってんですか!?」
 声が大き過ぎた。
 はっとして周りを見渡してみると、クラスの皆がこちらを見ている。
 自分の左側の席に座る灯のせいだと思いながらも、顔が徐々に熱を持つことを感じる。
 ファッション雑誌を持つ灯が笑いを得ながら自身の後ろ、そこにある席におとなしく座っている美琴を見る。
「琴姫この恋愛巫女、昔あなたの彼氏好きだったのよ。きっと陰口叩いてたわよ、性格悪いわよねえ」
「でも、こくはくのとき、てつだってくれたよ?」
「我慢しなくてもいいのよ。はい、飛び込んできなさい」
「だいじょうぶだよ。うん、ありがと、よしよし」
 後ろを向き手を広げる灯の頭を、美琴は優しく撫でる。
 立場がおかしいと感じるが、面倒なのは避けたいので突っ込まない。
 犬のように機嫌のいいので、そのままほっとくことしにた。
 ついでにこちらを見ている皆を両の手を払うように動かし、視線を外すように促す。
 ほっとした美兎を見て、マギトが机を寄せてきた。
「そういえばそうだったねえ、もうセーランに興味なし?」
「そういう恋愛的なものはないですよ。それにセーラン君には今、心から好きな人が居ますし」
「宇天学勢院の長だよね」
 その言葉に教室内は静まる。
 ゲームのBGMが聞こえるが、プレイしてた少年は周囲の空気に流され、ゲーム機の電源を落とす。
 静まり返る教室はいつもと違うと感じ、以外と皆心配してたんだと思う。
 そのなかでも、マギトは話し続けた。
「ねえ皆はどう思う?」
「どう思う、とは何がだ」
 丸金堂の営業用映画面《モニター》を見つめているアストローゼが言った。
 彼は父が経営してある店の品物の調達を任せれているのか、品物の個数表に数字を打ち込んでいた。
 打つ音が終えると、交代するようにマギトは声を出した。
「皆はセーランの恋人相手に賛成かどうかってこと。だって相手は奥州四圏に属する辰ノ大花だよ、独立宣言した日来と何かと関わりたくないでしょ」
「相手がどう思ってるかは知らんが、私は賛成だ。もし告白が成功したら辰ノ大花の支援を受けることが出来る可能性が大幅アップするのだからな! 価値ある話じゃないか!」
「アッちゃんの理由と同じだから私もさんせーい」
 アストローゼの右側に座るニチアが手を挙げ、皆にアピールをする。
 だって、と言葉が続く。
「セーランもハッピー、皆もハッピーなんだよ? それに支援という強力なサポートも得られるかもしれないしね」
「だが待て、それは確かに美味しい話だが昨日の映画面から聞こえたら黄森の言葉が気になる」
「宇天学勢院の長が死ぬ、てことだね」
 飛豊の言葉に、レヴァーシンクが言葉を付け足す。
 漫画を読み進めながらも、周りの様子を気にしていたようだ。
 その言葉に飛豊は頷き、声が皆に届くようにと席を立ち教卓へと進む。
 教卓に着き、話し始めた。
「告白が成功したら確かにいい方へと進むだろう、しかし黄森の言葉も無視できない。これに関してちょっと気になることがあってな……」
「それは何で御座るか」
「去年の冬の始まりのころに竜神の血族、つまり宇天学勢院の長についての会議が行われたと噂で聞いたことがあってな。黄森の社交院が極秘に持ちかけたことらしい」
「なんでやんのさ」
「それは私には分からない。だが、この会議の内容は」
 それは、
「竜神の力を国戦力とし活用するというものだ」
 だが、ここで美兎は疑問に思う。
 竜神はその名の通り、この世に存在した全ての竜を統べる神だ。
 全竜と呼ばれたレヴァイアサンとは別の存在だ。
 その竜神との間に子を持ったのが、辰ノ大花を治める委伊達だ。
 だから委伊達の家系は、竜神の血を最も強く継いだ者に今後の辰ノ大花を託す。
 神の血が流れている者は神人族と呼ばれ、この種族は如何なる理由があっても殺してはならない。
 その力を活用するのは、神州瑞穂防衛のためなのだから納得がいく。だが、
「何故死なせる必要があるのでしょうか?」
 その言葉に、皆は耳を傾けた。
 本日二回目、皆さんよく見ますねえ。
 手を頬に当てくねくね動き出した美兎を見て、皆少し引いた。
 それに気づいた美兎の顔は、赤面真っ赤になった。
 紛らわすように咳払いをし、気を取り戻し話しに入る。
「活用するならば普通は死なないですよね? ですが黄森は死ぬ、と言っていました。おかしいですよね、どこに死なせる理由があるのでしょうか?」
「確かにな、だが神人族を殺しではなく消滅させこの世から解放した事例がいくつかある。事実上は解放と言われているが死と同じだ。」
「じゃあ黄森が言っていた消える、て解放つまり死ぬってことですか!?」
「ロロアの言う通りだ。だが黄森が宇天学勢院の長を殺す理由が解らない」
「解らなくても理由はあるんじゃない? 黄森はここ最近辰ノ大花との付き合いが悪いらしいからね。それで逆らったらこうなるぞ、ていう見せしめなんじゃないの?」
「それは宇天学勢院の長を殺そうとしているからではないのか」
「時期的に一致するしね。君は黄森が殺そうと思っているのかい? 奥州四圏の他の三地域を無視して」
「ああ、そうだが」
 読んでいる漫画のページを捲り、レヴァーシンクが顔を上げた。
 掛けている伊達眼鏡をかけ直しながら、周りを見渡す。
 ほとんどの者が頷き、こちらを見ている、
 それを確認し、成程と笑みを浮かべる。
「ならその理由を覇王会を代表し、そうだね……、ネフィアにでも説明してもらおうかな」
「え、わ、わかくしがですの!? り、了解しましたわ」
 ネフィアは立ち上がり、床を靴で打ちながら、華麗な足運びで教卓に向かう。
 先に教卓にいた飛豊に軽く一礼し、その横に着く。
 白の髪を揺らし、黄金の瞳を皆に向けた。
「いいですの、辰ノ大花と昔馴染みの付き合いの嗚虎や、中立姿勢を崩さない色宝甲盾はまず殺すわけがありませんわ。殺す可能性があるのだとしたら黄森と繋がっている朱鳥天ですが、案外おとなしめの地域ですので可能性は低いですわね。
 以上のことで最も可能性が高いとしたら黄森ですの。神州瑞穂の主戦力、奥州四圏の更に主戦力であるがゆえに、他地域からの反論はあるでしょうが邪魔する者は無いでしょうし」
「――ということだ。解ったかい皆」
「ちょっといいかな」
 レヴァーシンクの声に、一人の者が手を挙げた。
 一番前の窓際の席に座る、しっかりとした体つきの金髪男子。
 グレイだ。
 外は雨の音が響き、教室に入ってくる日の光は弱い。
 彼は座ったまま話した。
「黄森が殺ることは解ったが、何時行われる?」
「何時かは分からないな、それに関しては黄森の方から報告があるんじゃないかと思っている。何も告げないで行うのは流石にヤバイからな。それに神州瑞穂内だけでやるだろうが、仲裁権を持つ二印加奈利加《トゥーエン・カナリカ》が介入することが考えられる」
「興味本意でやってくるだろうね、あっちは仲裁権を盾にすれば逃げられるからね」
 そう言い、レヴァーシンクは漫画に顔を戻す。
 それと交代し、グレイの妹のテイルが机から身を乗り出す。
「だけどセーランは黙ってないよね、想い人殺される訳だし」
「妹よ、よく理解しているな」
「これでも恋については人並みに知ってるからね!」
 グレイの後ろの席に座る、テイルは胸を張る。
 いやいや、それは普通のことだぞ!?
 飛豊は心のなかで突っ込んだ。
 今日一日は雨の予報だ。
 予報よりも早い降りだったにも関わらず、今日まで長く続くのは四月の月では珍しい。
 そんな不思議な雨の日、空は雨雲で覆われている。
 雨音を聞きながら、飛豊は話を進める。
「セーランの奴は何やるか分からないからな。だが今あいつは黄森の直接監視されてるからな」
「確かそれは西二番貿易区域に一番遠い東二番貿易区域だったな」
 機竜が言う。
 東二番貿易区域は、日来の東側にあり西貿易区域よりも大きく造られついる。
 西貿易区域から斜めに突っ切った、日来の東南方向に存在する。
 それゆえ、最も危険が少ない場所だ。
「トオキダニと言う通りだな、今や貿易区域は押さえられているからな」
「貿易の仕事出来なくて父困ってたヨ」
「それに関しては社交院が色々と手を打ってはいるがな」
「馬鹿長はどうしてるのかしらね」
 灯は窓を眺めた。
 これを聞き、飛豊は視線を灯に向けた。
「……!?」
 その時、空を行く艦から声が聞こえた。
 昨日の告白の後に日来に配備された、ドレイク級戦闘艦だ。
 非常事態を告げる警報が鳴り、日来の空が慌ただしくなる。
『非常事態、非常事態! 本日八時四分、直接監視対象の日来学勢院覇王会会長逃亡!! 繰り返す、本日八時四分に直接監視対象の日来学勢院覇王会会長逃亡!!』
 轟く加速音、響く警報、揺れる大気。
 それは地上で監視を行っていた隊員にも伝わり、緊迫した空気が流れる。
 各隊員はその場の判断で、日来覇王会会長を見つけ出し捕らえることを優先した。
 長銃を構え、それぞれの監視担当範囲に散らばる。
 それと同時に雨が強く降りだし、日来の地を濡らす。
「あの馬鹿長、何やってんだ!」
「落ち着きなよ飛豊、きっとセーランが行く場所は、西二番貿易区域に停泊している辰ノ大花の戦闘艦だね」
「どうしますの、今なら先回り出来ると思いますわよ?」
「行ってどうなるわけでもないが行くしかないな。おい貴様ら、ここでじっとしていられるか!」
「無理で御座る」
「私も同意見だ」
「アタイらもそうだよ、なっサエル?」
「お、おうよ、行ってやるぜ! へ? 本当に行くの、ちょ、待って――」
 入直がサエルの襟を掴み、後ろのドアを壊す勢いで開けた。
 抵抗するゲーマーを機関部三人組が連れ出し、先に教室から出ていった。
 それに続くように、皆も教室の外へ出ていく。
「ったく、あの奴は」
「ふふ、好きな子を前に平然としてられないのが男と言うものですわよ」
「どうでもいいからさっさと行くよ。覇王会繋がりで僕達も捕まるかもしれないんだから」
 レヴァーシンクの言葉を聞き、それから皆を追うように走り出す。
 階段を下り、昇降口を目指す。
 床を打つ音はリズムを奏で、急ぎ足で進む。
 見えてきた光は、昇降口から入って来ていた。
 その光は弱く周りは薄暗いが、自分達が目指す方向を示すように皆を導いた。
 床を蹴り飛ばし、昇降口を抜ける。
 それから少し遅く、加護を展開し雨から身を守る。
 次に校門を目指した。
 校門を抜け左に曲がれば、そこから一直線に走り抜ければ目的の場所へ着く。
 飛豊は遅く出たこともあって、皆より後ろを走る。
 そして、後方に走る飛豊は見た。
 校門の出前、そこに皆は立ち止まっていた。
 そこへ息を切らせながら、皆に近づいた。
「おい、皆どうしたんだ」
 速度を徐々に落とし、最後は歩く。
 立ち止まっている様子を確認するように、周りを見渡す。
 一体どうしたんだよ。
 そして立ち止まる自分達に、女性の言葉が飛んだ。 
 

 
後書き
 逃げ出すセーランの様子は無視して下さい。
 簡単に説明すると、黄森の隊員と隠れんぼしてます。
 作中でもあった、神人族を殺してはならないのは、神に近い存在だからです。
 しかし、神に近いゆえに恐れられる場合があり、解放という言葉を用いて殺す場合があります。
 理由は色々あるんですけどね。
 次回もお仲間回です。 
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