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ドリトル先生と日本の鉄道

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第二幕その三

「蒸気機関車の時代は終わったよ。ただこの車両はね」
「保存状態いいね」
 ホワイティがまじまじと見て言いました。
「随分と」
「そうだね、奇麗に磨かれてて」
 チーチーは黒く輝くその状況に唸っています。
「清潔だね」
「えらく手入れされているね」
 トートーが観てもそうでした。
「大事にされてるんだね」
「この保存状態のよさは凄いわね」
 ダブダブの口調はしみじみとしたものでした。
「大事に保存されてるってわかるわ」
「しっかりした博物館だけれど」
 ガブガブはこう思うのでした。
「館員さん達も丁寧にお手入れしているんだね」
「相当古い車両なのに」
「まるで新品みたいよ」
 チープサイドの目から観てもです。
「一度も走っていない様な」
「そこまで凄い手入れね」
「これ普通に七十年位前の車両だよね」
 老馬はこう言ったのでした。
「それがこの奇麗さってね」
「何ていうか」
 ポリネシアはしみじみとして言ったのでした。
「館員さん達の愛情も感じるわね」
「愛情がないとここまでの手入れは出来ないね」
 ジップもしみじみとした口調でした。
「細かいところまでだしね」
「いいもの観てるね」
「そうだね」
 オシツオサレツは二つの頭でよく観ています。
「ただ懐かしいだけじゃなくて」
「ここまで手入れされていることも凄いね」
「どうもね」
 先生は皆で言うのでした。
「この館員さん達の中にかなり真剣な鉄道マニアの人達がいるね」
「そうだね」
「そのことは間違いないね」
「だからここまで手入れしているんだね」
「愛情があるからこそ」
「しかもいいマニアの人達だね」
 このこともわかる先生でした。
「愛情がないとね」
「ここまでは出来ないね」
「只のお仕事じゃないね」
「お仕事はお仕事って割り切ってるんじゃなくて」
「これはね」
「愛情を感じるよね」
「うん、この愛情はね」
 本当にというのでした。
「素晴らしいよ」
「全くだね」
「この博物館の館員さん達の中にはね」
「真剣なマニアの人達がいるね」
「そうだね」
「そう思うよ。この蒸気機関車にしても」
 これもというのです。
「真剣な愛情を注いでいる人達がいるね」
「あっ、今来たよ」
「その館員の人がね」
「ここに来たよ」
 見れば若い男性の館員さんが来ました、その人は蒸気機関車のところにワックスや箒、タオルといった掃除用具を一式持って来てです。
 そうしてです、すぐにでした。 
 脚立も使って蒸気機関車の隅から隅までお掃除をはじめました、それの動きも目も凄いものでして。
 先生もです、唸って言いました。
「凄いね」
「うん、本気だよね」
「本気で愛情を感じるね」
「蒸気機関車に対する」
「冗談抜きの愛情を感じるよ」
「全くだね」
 先生も思うのでした、そして館員さんもです。
 先生達に気付いてお掃除を中断してそうして先生達のところに来てそのうえでこう言ったのでした。
「ドリトル先生ですね」
「うん、そうだよ」
 笑顔で応えた先生でした。 
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