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デジモンアドベンチャー Miracle Light

作者:setuna
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第89話:騒動が起きる前の一時

 
前書き
芽心奮闘の巻 

 
朝、早起きした芽心はエプロンを身につけてキッチンに立ち、早速鳥取の郷土料理の1つであるいただきの調理に掛かろうとしていた。

「よし、頑張らないと…」

材料は米、油揚げ、人参、牛蒡。

調味料は醤油、砂糖、味醂などだ。

出汁は昨日の時点で用意しているので早速取り掛かろうとした時、扉が開いてヒカリが入ってきた。

「え?お義姉ちゃん早い…まだ5時だよ?」

喉が乾いてキッチンに入ったが、芽心の早すぎる起床にヒカリは目を見開く。

「目が覚めてしまって…それに人数も多いから沢山作らないと…」

「あ、そ、そっか…今日はブイモンとアグモン達がいるもんね…」

即座に早起きしての調理理由に納得したヒカリ。

自分を含めた大輔達は育ち盛りで、デジモン達はかなり食欲旺盛だ。

確かに早起きしなければ全員満足する分は作れないだろう。

芽心は大きめの鍋を2つ出し、調理用具の準備を始めた。

「まずは米を…」

最初に米をといで、人参は小さめの短冊切り、牛蒡をささがきにしていく。

といだ米はしばらくザルに置き、刻んだ人参と牛蒡は別の皿に待機。

油揚げに切れ目を入れて熱湯をかけて油抜きをする。

「(うわあ、お義姉ちゃん、凄い手際が良い)」

ヒカリは芽心のお菓子をご馳走になった経験があるために料理は得意そうだと思ったが、予想以上だ。

そして水気を切った生米に刻んだ人参と牛蒡を合わせ、油抜きした油揚げの中に米を八分目位まで入れていく。

「え?入るだけ入れないの?」

「炊き上がった時に米が膨らむから八分目辺りが丁度良いの…この加減が難しいの、多過ぎたら油揚げが破けるし」

「そうなんだ…」

そして米を要れ入れ終えた油揚げの口を爪楊枝で塞いで、全て詰め終えた後は鍋に出汁、調味料を入れて、最後に米を入れた油揚げを入れて蓋をし、強火にしておく。

「煮立つまで、待って…煮立ったら中火にして途中に竹串で2回か3回くらい油揚げに穴を開けるんです。20分ほどコトコト煮て、汁が無くなるまで煮詰める。これで完成です」

「へー」

「お味噌汁は…」

「昨日のが残ってるから大丈夫じゃない?」

「うーん、ブイモン達の食欲を考えればこれでは足りない気が…」

「確かに…」

ヒカリもヒカリでブイモン達を食欲を考えれば新しい味噌汁を作るべきではと考え始めた。

取り敢えずいただきが完成してから味噌汁を作ろうと言う結論に達したので、完成したいただきを皿に乗せると、味噌汁作り開始…味噌汁は残った味噌汁と同じワカメと豆腐の味噌汁だが。

しばらくして完成したいただきの匂いに誘われてやって来たブイモンとそれを追いかけてきたテイルモン。

「いただきとやらの匂いに誘われてやって来たぜ~」

「へー、これがいただき…見た目は確かにいなり寿司ね。」

「後は味噌汁を作れば終わりですから」

「みんなを起こしてきてブイモン、テイルモン」

「「了解」」

朝食を始めるために全員を起こし始めたブイモンとテイルモン。

しばらくして全員がやって来た。

「どうぞ、鳥取の郷土料理のいただきです」

【おー】

皿に山盛りにされたいただきを見て全員が感嘆の声を上げた。

「ヒカリちゃんも手伝ったのか?」

「ううん、私は味噌汁以外見ていただけでした」

「まあ、いただきを知らないヒカリが手伝おうとしても足手まといにしかならないからなあ。賢明な判断って奴だ」

「足手まとい…」

ブイモンの発言に表情が引き攣るヒカリだが、言い返せないのが悔しい。

「ヒカリに何てこと言うのよ!このアホ犬!!」

「黙れハツカネズミ!!俺は事実を言ったまでだ!!この現状が長く続けば家事能力は大輔が上だからな!!パートナーとしての贔屓無しで!!」

「あうう!?」

痛い事実を突き付けられてヒカリは呻いた。

ブイモンとテイルモンの朝一の喧嘩が始まろうとした時である。

「ガイアフォース!!」

「「ゲオルグッ!!?」」

サッカーボールを両手で掴んでガイアフォースの要領でブイモンとテイルモンに叩き付けて朝食が台無しになるのを未然に防いだアグモンであった。

【と言う訳で頂きます】

早速芽心お手製いただきを頂く大輔達。

「美味い!美味いぞー!!」

「あ、ちょっとあんた!それは私の分よ!!」

「美味しいねー」

「だがーん」

「本当に美味いな…」

「うん、ふっくらして美味しい」

「うんうん、太一も良い娘を捕まえたわね」

「これは酒のつまみとしてもイケるかもな」

「あ、ありがとうございます。ど、どうですか太一さん?」

「ん?おう、美味い!!これならまだまだ食えるぞ!!」

全員からの評価は良かった。

芽心は安堵の溜め息を吐いて自分のいただきを食べるのであった。

「ヒカリもこれくらい出来ないといけないぞ」

「うっ…は、はーい」

「はいは短く!!そんなんじゃ大輔のお嫁さんにはなれないぞ!!」

「お前は舅かよ」

ブイモンの発言に太一はツッコミを入れる。

お腹が満たされた大輔達はゆっくりとしていたが、光子郎からのメールを見て表情を変えた。

メールの内容は“テントモンが一乗寺治と行方不明の子供達を発見、動き出した”とのことだ。

とうとう決着を着ける時がやって来たと、エネルギー満タンの状態で大輔達はまず泉家に向かうのであった。 
 

 
後書き
いただきは何回か食べたことありますけど美味い 
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