デジモンアドベンチャー Miracle Light
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第78話:漆黒の竜戦士
前書き
02の最強の敵候補(ベリアルヴァンデモン?そんな奴は知らんな)のブラックウォーグレイモン誕生。
今日もデジタルワールドでダークタワーを壊している大輔達。
取り敢えずギガハウスの件で分かったことはこれでもかというぐらいに一乗寺治に人望がないことくらいしか分からなかった。
「いやー平和だな本当に」
「そうだね、ダークタワーさえ壊せば全て終わりな訳だし…正直本当に終わりなのかなと思わないこともないんだけど…」
「ちょっとタケル君。あんまりそういうこと言わないでくれる?何かトラブルがやって来たらどうすんのよ?」
タケルの言葉に京が嫌そうに呟くが、アルケニモンとマミーモンがバギーに乗って現れた。
「やあ、ご機嫌いかがかしら選ばれし子供達」
「ん?おお、アルケニモンとマミーモンじゃないか。ドライブデートか?」
「デ、デデデデデデート!?ま、参ったなあ!!俺とアルケニモンがデートしてるように」
「見える訳ないでしょ」
「ガクッ」
大輔の言葉にマミーモンは照れるがアルケニモンに一刀両断されて崩れ落ちた。
「さて、選ばれし子供達…あのクソガキが睨み始めてることだし。本気で行かせてもらうよ」
忌々しげに呟くとアルケニモンは指をパチンと鳴らすと100本のダークタワーが浮き始め、そのまま1つとなる。
流石に100本となると肉体の構成に時間がかかるのか、すぐに実体は出来なかったが、少しして肉体の構成を終えた。
「うおおおおおお!!」
黒いウォーグレイモン…ブラックウォーグレイモンが誕生した。
「本当に究極体を出して来やがった…」
「大輔、まずは小手調べだ!!運命のデジメンタル!!」
「デジメンタルアップ!!」
「ブイモンアーマー進化、ゴールドブイドラモン!!」
ゴールドブイドラモンにアーマー進化してブラックウォーグレイモンと対峙する。
「…貴様は…強いか?」
「ん?何だお前?喋れるのか…?今までのダークタワーデジモンとは違うようだな。まずはお前の実力を見せてもらうぞ!マグナムパンチ!!」
ゴールドブイドラモンは先手必勝とばかりにブラックウォーグレイモンに殴りかかる。ブラックウォーグレイモンはゴールドブイドラモンの拳を片手で受け止めた。
「お!?」
「ゴールドブイドラモンのパンチを片手で受け止めた!?」
タケルが思わず目を見開いた。
いくら相手が究極体とは言えゴールドブイドラモンのパワーは究極体に匹敵するレベルなのだ。
それを片手で受け止めるとは…。
「強いな」
「片手で受け止めるなんて、中々やるな…!!」
ブラックウォーグレイモンは素直にゴールドブイドラモンのパワーを評価し、ゴールドブイドラモンもまたブラックウォーグレイモンを評価した。
「どりゃあああああ!!」
「………はっ!!」
ゴールドブイドラモンとブラックウォーグレイモンが攻撃を繰り出す。
ブラックウォーグレイモンの両腕のドラモンキラーがゴールドブイドラモンに掠る。
「ぐあっ!?掠っただけでこの威力か…!!」
竜の因子を持つデジモンには痛烈なダメージを与えるドラモンキラー。
以前ウォーグレイモンがムゲンドラモンを撃破する程の威力を出していたが、実際に受けるとこれほどの脅威になるとは。
「どうした?そんなものか?」
「そんなわけあるか!勝負はまだまだこれからだ!!」
ゴールドブイドラモンがブラックウォーグレイモンに足払いをかける。
「ぬっ!?」
「マグナムパンチ!!うおりゃああああ!!」
体勢を崩したブラックウォーグレイモンに拳を叩き込んで吹き飛ばし、追撃で蹴り飛ばす。
「ウォーブラスター!!」
小型のガイアフォースを連射する技でゴールドブイドラモンを狙うが、ゴールドブイドラモンは跳躍してかわし、ブラックウォーグレイモンの背後に回る。
「チッ!!」
背後のゴールドブイドラモンに蹴りを繰り出すが、足を掴まれてジャイアントスイングで投げ飛ばされる。
「くっ…」
「へへ…どうだ?生まれたてのお前に簡単に負けてやらねえよ」
ゴールドブイドラモンとブラックウォーグレイモンの戦いはゴールドブイドラモンが優勢である。
「なあ、アルケニモン?どうなってんだあれ?ゴールドブイドラモンって奴は一応完全体のキメラモンに負けてなかったか?ブラックウォーグレイモンの方がキメラモンよりパワーもスピードも上だぞ?武器も強いのに」
「知らないわよ。ちょっとあんた達の誰かこの状況を解説しなさいよ」
マミーモンが疑問符を浮かべ、アルケニモンが状況解説を要求する。
「それが人に頼む態度?まあ、これに関しては私の推測が入るけど。確かにゴールドブイドラモンとブラックウォーグレイモンの実力差は確かに相当な物。でもそれを埋められるくらいにゴールドブイドラモンとブラックウォーグレイモンの経験に差があるのよ。」
アルケニモンの解説要求にテイルモンは溜め息を吐きながら解説を開始した。
「経験?」
テイルモンの言葉にアルマジモンが複数の疑問符を浮かべた。
「ブイモンは私達よりも激戦を潜り抜けてきたから、見切りの力が長けているの。だからいくらブラックウォーグレイモンが強かろうと単純な攻撃は当たらないわ。キメラモンと違ってゴールドブイドラモンとブラックウォーグレイモンは体格もかなり近いしね」
「あーっはっはっは!!ざまあみなさい、陰湿根暗の変態仮面め!!所詮変態仮面の作ったダークタワーなんかでゴールドブイドラモンを倒せるわけ無いわ!!」
ここにいない治に向かって叫ぶ京だが…。
「カッターパンチ!!」
「ガイア…フォース!!」
エネルギーを纏わせた爪でブラックウォーグレイモンを引き裂こうとするが、跳躍して背後に回り、ゴールドブイドラモンにエネルギー弾を直撃させる。
「ぐああああ!?」
「へ!?」
「ドラモンキラー!!」
「うぐっ!?」
ブラックウォーグレイモンの連続攻撃がゴールドブイドラモンに炸裂する。
しかし、先程の動きは荒削りではあるが、ゴールドブイドラモンのもの近い。
「やるな…でもこれで終わりだと思うなよ!!」
ゴールドブイドラモンとブラックウォーグレイモンの乱打戦が始まる。
ブラックウォーグレイモンのドラモンキラーに注意を払いながら、ブラックウォーグレイモンの攻撃を捌いて攻撃を繰り出していく。
「ねえ、あいつ。どんどん強くなってない?」
「ゴールドブイドラモンの動きを学習して、自分に足りない経験を手に入れているみたいね。これじゃあ時間経過でどんどんゴールドブイドラモンは不利になっていく」
「ちょ、どういうことよハツカネズミモン!!さっきあんたブラックウォーグレイモンが強かろうと単純な攻撃は当たらないって言ってたじゃん!!説明しなさいよネズミ!!」
「誰がネズミよこの凸ぉ!?だからゴールドブイドラモンの動きを学習してるって言ったし、私が推測が入るって言ったでしょハゲ娘ぇ!!」
「ハ、ハゲ!?ちゃんと毛がある…あぐう!?」
テイルモンの尻尾が京の額に勢い良く叩きつけられた。
しかもホーリーリング部分。
「京さん、テイルモンに“ネズミ”は禁句ですよ…」
伊織が呆れたように京を見遣りながら言うと、ゴールドブイドラモンがブラックウォーグレイモンに吹き飛ばされた。
「どうした?これで終わりか?」
「ふん、まさかここまでやるなんてな。久しぶりにまともな相手だ。燃えてきたぜ…」
久しぶりに会えたまともな相手にゴールドブイドラモンも闘志を燃やしていく。
「これから俺は全力で行く。俺の全力についてこれるか?」
「望むところだ」
「よく言った。それじゃあ俺は全力で行くぜ!!」
ゴールドブイドラモンとブラックウォーグレイモンが互いに向かって駆け出した。
ゴールドブイドラモンとブラックウォーグレイモンが再び激突する。
「おりゃああああ!!」
「ふんっ!!」
乱打戦に再突入。パワーはブラックウォーグレイモンだが、スピードは小柄故にゴールドブイドラモンが上回る。
ブラックウォーグレイモンの攻撃をかわしながら、拳による連続攻撃を叩き込んでいくが、ブラックウォーグレイモンがゴールドブイドラモンの攻撃を受け流し、腹部に蹴りを入れて吹き飛ばす。
「ガイアフォース!!」
「ブイブレスアロー!!」
エネルギー弾と熱線が激突し、大爆発が起きる。
しかし威力で劣るためか、ゴールドブイドラモンは僅かに吹き飛んだ。
「ふう、まさかこんな短時間で俺の動きを学習してここまで成長するとは、俺の想像以上だ。やるじゃんかブラックウォーグレイモン」
「俺は貴様に勝つ。絶対に負けん」
「へん、生まれたてがデカい口叩くじゃないか!!カッターパンチ!!」
「ドラモンキラー!!」
2体の攻撃が激突する。
互いに弾かれ、距離が離れるがブラックウォーグレイモンは構わずエネルギー弾を放つ。
「カッターシュート!!」
風の刃を放ち、エネルギー弾を両断する。
両断されたエネルギー弾は爆発を起こし、ゴールドブイドラモンは再び距離を詰めてブラックウォーグレイモンと殴り合う。
「凄いブラックウォーグレイモン…あんなに強いゴールドブイドラモンと互角…それ以上…」
ヒカリが思わずブラックウォーグレイモンの強さに呟く。
「良いわよブラックウォーグレイモン!!そのネズミネズミと失礼な金ピカ犬ドラモンをボコボコにして頂戴!!」
「テイルモン、君はどっちの味方なの?」
何故か敵のブラックウォーグレイモンを応援しているテイルモンにタケルはジト目で見遣る。
「ふん、今回に限ってはブラックウォーグレイモンの味方をさせてもらうわ。今までネズミネズミと連呼した罰よ!!」
「本当に仲良いんだか悪いんだか分からないよね」
今回に限り、日頃の恨みからかブラックウォーグレイモンの応援をすることにしたテイルモンに呆れるタケルであった。
「ドラモンタックル!!」
「ぐはっ!?」
体当たりを喰らって仰け反るゴールドブイドラモン。
そして即座にエネルギー弾を直撃させて吹き飛ばす。
「ゴールドブイドラモン!!大丈夫か?」
大輔がゴールドブイドラモンに駆け寄る。
「ああ、まさかここまで急成長するなんてな…大輔、そろそろ俺達も本気中の本気でやろうぜ」
「ああ、俺達の全力全開を見せてやろうぜ」
大輔がD-3を握り締め、暗黒のデジメンタルを3つ起動させる。
「ブイモンワープ進化、デュナスモン!!」
暗黒のデジメンタルの力で究極体に進化したデュナスモンは、ブラックウォーグレイモンを見据えると一気に力を放出した。
「ぬう!?」
「この姿になったからにはお前はもう俺には勝てない。お前には2つの選択肢がある。俺と戦うか、それとも逃げるか」
「その選択肢ならば…答えは1つ!!」
ブラックウォーグレイモンがガイアフォースを放つための構えを取る。
「貴様と戦い、勝つ。それだけだ!!」
「へっ、よく言った!!ドラゴンズロア!!」
「ガイアフォース!!」
デュナスモンとブラックウォーグレイモンのエネルギー弾が激突するが、今度はブラックウォーグレイモンが力負けして吹き飛んだ。
「ぐおおおお!?」
吹き飛ばされたブラックウォーグレイモンはすぐに停止するが、既にデュナスモンは背後にいた。
「はあっ!!」
デュナスモンの乱打がブラックウォーグレイモンに叩き込まれる。
一撃一撃があまりにも重すぎる。
ブラックウォーグレイモンのクロンデジゾイド合金の装甲に罅が入っていく。
「ぐあああ…!?」
全身に叩き込まれた打撃にブラックウォーグレイモンは目を見開く。
そしてデュナスモンの大振りの蹴りがブラックウォーグレイモンの顎を捉え、凄まじい勢いで吹き飛ぶ。
「おりゃあ!!」
キメラモンとの戦いでも繰り出した拳圧がブラックウォーグレイモンに炸裂する。
「ぐはあっ!?」
背中に受けたブラックウォーグレイモン。
かなりの硬度を誇るはずの盾が砂糖菓子のように粉砕された。
「ブラックウォーグレイモンがあんなあっさり!?同じ究極体だろ!?」
「ブラックウォーグレイモンも確かに究極体としては強いけれど、生まれて間もない。激戦を潜り抜けたブイモンが進化したデュナスモンに勝てると思うのは大きな間違いだよ」
マミーモンの驚愕した言葉にワームモンが説明する。
「ブラックウォーグレイモン…!!くそう、究極体に進化するなんて卑怯よブイモン!!ゴールドブイドラモンのまま戦ってブラックウォーグレイモンに返り討ちに遭いなさいよー!!」
「あんたどっちの味方よ?」
思わずアルケニモンさえテイルモンの発言にツッコミを入れてしまった。
「ぐおおおおおお!!」
咆哮を上げながらブラックウォーグレイモンは瓦礫から飛び出した。
デュナスモンの攻撃で既にかなりボロボロだが、まだ闘志は衰えていない。
「立ったか。根性はあるな」
「(速い…俺が全く反応出来ない程に…ならば…)」
ブラックウォーグレイモンの体が閃光を作り出す。
全てのエネルギーを広範囲に放出して勝負を決めるつもりなのだろう。
「成る程な、確かにそれなら俺でもかわしようがない。でもな…」
デュナスモンも自らの姿を巨大な飛竜に変えていく。
「全身からのエネルギー放出系の技を使えるのはお前だけじゃないんだぜ…」
「え?ちょっ…あれやばくない?」
京が巨大な飛竜のオーラと化したデュナスモンを冷や汗を流しながら見つめながら呟いた。
「うん、やばい。下手したらこのエリア一帯が跡形もなく消し飛ぶかもね」
【え…?】
ワームモンの言葉に全員が目を見開いた。
「消し飛べ…!!うおおおおおおおお!!!!」
「ブレス・オブ・ワイバーン!!!!」
「嫌あああああ!?」
ブラックウォーグレイモンのエネルギーとデュナスモンのエネルギーが激突し、エリア一帯が吹き飛んだ。
数十分後、吹き飛ばされて気絶していた大輔達が起き上がる。
「痛ててて…」
「思いっきり巻き添え喰らっちゃったね…」
「みんな生きてるかい…?」
「な、何とか…」
「と言うか良く生きてましたね僕達…」
「ピクピク…」
京が頭にタンコブ作っているが命に別状無し。
と言うか良く生きてるなと自分の耐久力に感動した。
「ふう、少し熱くなりすぎた。反省反省」
デュナスモンは着地して仰向けに倒れるブラックウォーグレイモンを見つめる。
「俺の…負けだ…」
「ああ、それじゃあな」
「な…っ?ま、待て…」
「ん?」
倒れるブラックウォーグレイモンに背を向けて去ろうとするデュナスモンを呼び止める。
「何故、とどめを刺さない…?」
「お前が他のダークタワーデジモンと違って心を持った奴のようだからな。」
「心…?」
「後、お前と戦っていて楽しかったんだ。お前みたいに正々堂々と挑んでくれる奴なんてあんまりいなかったしな。正直お前を倒すのが惜しいんだ」
「……………」
「特訓すればお前はもっと強くなるぞ。それじゃあな!!」
デュナスモンは翼を広げて吹っ飛んだ大輔達の捜索を開始した残されたブラックウォーグレイモンは呆然とした後、ゆっくりと立ち上がった。
「おかしな奴だ…だが嫌いではない…」
ブラックウォーグレイモンはよろめきながらもゆっくりと前進した。
因みに巻き添えを喰らったアルケニモンとマミーモンは気絶していた。
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